【開催報告】医療政策サミット2021(2021年5月22日)
*****最終報告書を作成し、発表しました。(2021年8月24日)
詳しくは、当ページ下部のPDFファイルをご覧ください。
日本医療政策機構は、2021年5月22日に「医療政策サミット2021」を都内会場とオンライン配信のハイブリッド形式で開催しました。
「医療政策サミット2021」では、「あるべき医療提供体制の今後 〜新型コロナウイルス感染症で表面化した課題を踏まえて〜」、「医療政策・経済学からみたCOVID-19パンデミック」、「医療DXの未来」、「グローバルパネル:国家の危機下における科学と政治の役割」の各セッションにおいて、それぞれの立場が考える課題の解決策、期待や展望について、議論を深めました。
開会の辞
田村 憲久(厚生労働大臣)
趣旨説明
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
セッション1:「あるべき医療提供体制の今後 〜新型コロナウイルス感染症で表面化した課題を踏まえて〜」
新型コロナウイルス感染症の拡大により医療現場が逼迫し、国民皆保険制度の充実した日本において、これまでになく多くの国民が医療資源は有限であることを実感しています。そして、日本の医療提供体制における課題も表面化しました。パンデミックや災害等の突発的・一時的な医療需要の増大と、高齢化に伴う医療・介護需要の拡大に向けた平時の医療提供体制のバランスのとり方や、医療機関や医療従事者、行政が担うべき役割に関して議論が行われています。新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた、今後求められる医療提供体制の在り方とは何か、それぞれのリーダーが各立場から意見を述べ、議論を深めました。
パネリスト
迫井 正深(厚生労働省 医政局長)
高橋 弘枝(公益社団法人 大阪府看護協会 会長、公益社団法人 日本看護協会 地区理事)
永井 良三(日本医療政策機構 理事、自治医科大学 学長)
中川 俊男(公益社団法人 日本医師会 会長)
モデレーター
小野崎 耕平(特定非営利活動法人 日本医療政策機構 理事、聖路加国際大学公衆衛生大学院 医療政策管理学分野 教授)
ランチセッション:「医療政策・経済学からみたCOVID-19パンデミック」
多くの科学的エビデンスやデータに基づいた、日本、そして世界各国におけるCOVID-19パンデミックの状況に関する知見を共有しました。
スピーカー
津川 友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部(内科)・公衆衛生大学院(医療政策学) 助教授、日本医療政策機構 理事)
セッション2 「医療DXの未来」
新型コロナウイルス感染症は日本のデジタル化の遅れを露呈させました。保健所におけるマニュアルでの感染者対応やデータ管理、自治体での特別定額給付金の交付など、情報収集・分析・政策実行の各過程において課題が見つかりました。マニュアルや連携不十分なシステムで情報処理を行う体制が、担当者の業務負荷を高め、迅速で効率的な対応を困難にしています。このような状況を打破すべく、デジタル庁のもとで推進される日本社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)に大きな期待が寄せられています。特に、医療分野においては、長年議論されてきたPersonal Health Record(PHR)やElectronic Health Record(EHR)に関連する個人情報保護、データ共有、リアルワールドデータ利用等の各課題を乗り越え、その先にあるイノベーティブな日本の未来を実現することが期待されます。セッション2では、各界からみた医療におけるDXの可能性・目指すべき方向性について、議論を深めました。
パネリスト
安宅 和人(慶應義塾大学 環境情報学部 教授、ヤフー株式会社 CSO)
黒田 知宏(京都大学医学部附属病院 医療情報企画部長、京都大学大学院 医学研究科/情報学研究科 教授)
志済 聡子(中外製薬株式会社 執行役員 デジタル・IT統轄部門長)
平井 卓也(デジタル改革担当大臣、情報通信技術(IT)政策担当大臣、内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度))
モデレーター
原 聖吾(株式会社MICIN 代表取締役、日本医療政策機構 フェロー)
セッション3 「グローバルパネル:国家の危機下における科学と政治の役割」
新興感染症の蔓延のような国家的危機においては、政治のリーダーシップが求められます。今年は東日本大震災・福島原子力発電所事故から10年の節目の年でもありますが、このような災害や事故、新興感染症拡大下のような国家の役割が増大する中で、「政治」と「科学」の役割はいかにあるべきでしょうか。また、私たちは歴史の教訓から学びを生かせているのでしょうか。新型コロナウイルス感染症下においては、各国のリーダーシップに注目が集まりました。しかし、これまで政治と科学の切り分けに成功してきた国でも、今回は意思決定プロセスの独立性が担保されず批判を浴びるなど、不確かな状況下において世界中で試行錯誤の日々が続いています。このような未曾有の危機下において政府が方針を決定する際に、政治家と科学者がどのような役割を担い、説明責任を果たし、国民に透明性を持ったコミュニケーションを行うべきなのか、両者が相互に尊重し共同関与するためにどのような整理や検証が有効か、海外の視点を含めたグローバルな視野で検討しました。
パネリスト
大曲 貴夫(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長)
尾身 茂(独立行政法人 地域医療機能推進機構 理事長、新型インフルエンザ等対策推進会議 議長)
黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
ピーター・ピオット(日本医療政策機構 シニアフェロー、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院 学長)
モデレーター
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
閉会の辞
黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
代表理事・黒川清より、参加者の皆さまへの感謝と、これからの時代に向けた想いをお伝えしました。
主催:特定非営利活動法人 日本医療政策機構
共催:国立大学法人 政策研究大学院大学 グローバルヘルス・イノベーション政策プログラム
協賛:中外製薬株式会社
後援:厚生労働省、文部科学省
(写真:井澤 一憲)
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