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【申込終了】(オンライン開催)HGPIセミナー特別編「カビが引き起こす感染症と薬剤耐性対策を考える ~薬剤耐性真菌という新たな脅威」(2024年8月23日)

【申込終了】(オンライン開催)HGPIセミナー特別編「カビが引き起こす感染症と薬剤耐性対策を考える ~薬剤耐性真菌という新たな脅威」(2024年8月23日)

真菌とはカビや酵母、キノコなどが該当し、人類が最も古くから認識し、活用・共存してきた微生物の一つです。真菌は、動植物の死骸などの有機物を分解して地球環境を整えるだけではなく、酒、味噌、チーズなどの醸造や発酵食品の生産、ペニリシンなど医薬品の製造にも貢献し、今でも我々の生活を陰から支えています。

一方で、真菌の中には、免疫の低下に伴い人間の身体に害を及ぼす真菌症と呼ばれる疾患群を引き起こす種類も存在しており、こうした真菌は病原真菌と呼ばれています。病原真菌による真菌症はその感染症の発症部位から、水虫のような皮膚疾患として発症する表在性真菌症と、ムーコル症やカンジダ症など臓器にまで及ぶ症状を引き起こす深在性真菌症に大別され、特に深在性真菌症は命に係わる重篤な病状に発展する恐れが高いと言われています。なかでも、臓器移植や、がん化学療法、自己免疫疾患に対する免疫抑制等、免疫機能の低下や全身状態が悪化している状態では深在性真菌症が大きな脅威となります。

本来、深在性真菌症は抗真菌薬で治療が可能ですが、近年では抗真菌薬が効きにくい薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)を獲得した真菌が出現し、世界的な問題になっています。とりわけ、カンジダ・アウリス(C. auris)という真菌への警戒感は強く、2009年以降、病原性の高いC. aurisの薬剤耐性真菌(以下、海外株)が世界各国で報告されはじめました。米国では2022年に2300人以上がC. aurisの海外株に感染しており、感染者の粗死亡率は最大72%と推定されています。C. aurisの海外株は既に多くの抗真菌薬に耐性を示しており、危機感を抱いた世界保健機関(WHO: World Health Organization)は、同じく2022年に初めて「公衆衛生に脅威をもたらす真菌リスト」を公表するに至りました。

2023年5月には日本国内でもC. aurisの海外株による死亡例が初めて報告され、厚生労働省も注意喚起を発出しています。C. aurisはもともと2009年に日本で槇村浩一氏が慢性中耳炎患者の耳漏から発見した菌種であり、国内では病原性の低い菌株(以下、日本株)のみが確認されていました。国内に病原性の高い海外株が流入した背景には、現代の国境を超える盛んな人口移動の影響があると考えられており、人やモノの往来がますます盛んになる近い将来、国内での海外株の感染拡大が懸念されるところです。

世界で薬剤耐性真菌対策の必要性が高まる中で、日本でも同様に議論を発展させる必要があります。例えば、真菌は真核生物であり、細菌やウイルスと比較するとヒトと細胞の構造が近いため、真菌「だけ」に効果のある医薬品や真菌「だけ」を特定する検査機器の開発には独自の困難が伴いますまた、真菌は環境中で長期間生存するため感染対策にも工夫が必要です。このような真菌特有の課題について、広義のAMR対策のなかでどう位置付け対策を進めるかについても再考する時期が来ています。

HGPIでは、2016年よりAMR対策に向けた議論を開始し、AMR対策に向けた政策推進に寄与すべく活動を継続しています。本セミナーが、今後のAMR対策に向けた包括的な議論の一助となることを期待しています。

 

【開催概要】

  • 登壇者(順不同):
    槇村 浩一
    氏(帝京大学 医真菌研究センター 副センター長・教授)
    宮崎 義継
    氏(国立感染症研究所 真菌部 部長/ハンセン病研究センター長)
    山岸 由佳
    (高知大学 医学部 臨床感染症学講座 教授)
  • 日時:2024年8月23日(金)18:00-19:30
  • 形式:オンライン(Zoom ウェビナー)(アーカイブ配信なし)

    ※当日の投影資料および公開可能なアーカイブ映像については、後日個人賛助会員の皆様限定で配信いたします。

  • 言語:日本語
  • 参加費:無料
  • 定員:500名

 


■登壇者プロフィール

槇村 浩一 氏(帝京大学 医真菌研究センター 副センター長・教授)
東京医科大学卒業 帝京大学大学院細菌学、同大医学部第一内科(1990年)、米国Tampa Bay Research Institute、ウイルス学講座 客員研究員(1991年)を経て、1996年より帝京大学医真菌研究センター 講師、2011年より同大医学部教授。2021年から同大医真菌研究センター 副センター長・教授。この間、国際宇宙ステーション日本実験棟 微生物研究主任を務めた。研究テーマは、ヒトの健康を障害する真菌全般。フィールドは院内環境に留まらず動物園から古代遺跡に及ぶ。

宮崎 義継 氏(国立感染症研究所 真菌部 部長/ハンセン病研究センター長)
内科学、特に感染症内科学・医真菌学・呼吸器内科学の専門家。2013年より国立感染症研究所の真菌部設置に伴い部長に就任。2019年からはハンセン病研究センター長との併任。厚生労働省の薬事審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会の委員も務める。
国立感染症研究所には、2007年に生物活性物質部部長として入職。国立感染症研究所入職前は、長崎大学の医学部および医学部付属病院において、検査部および第二内科の講師を務めた。1995年米国国立衛生研究所フェロー。1994年伊万里市市民病院勤務。
1988年長崎大学医学部卒業。医学博士(長崎大学)。

山岸 由佳(高知大学 医学部 臨床感染症学講座 教授)
順天堂大学医学部卒。小児科医として岐阜大学医学部附属病院および関連病院で研修・研鑽を積み、2008年4月より愛知医科大学病院の感染制御部、2013年より感染症科(新設)の医師として研鑽を積んだ。2016年より愛知医科大学大学院医学研究科 臨床感染症学 准教授、2017年4月教授(特任)を経て2021年7月より現職の高知大学医学部附属病院 感染症科(新設) 教授および高知大学医学部附属病院 感染管理部 部長に着任。また2022年~高知大学医学部 臨床感染症学講座(新設) 教授を併任している。医師、医学博士。
日本臨床検査医学会 臨床検査専門医 日本小児科学会 専門医・指導医 日本感染症学会 感染症専門医・指導医などの資格を有している。
学会活動は幅広く、現在、日本化学療法学会 理事、日本医真菌学会 理事、日本性感染症学会 理事、日本外科感染症学会 理事などの役職も担っている。

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