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【開催報告】プラネタリーヘルス専門家会合「健康な地球・健康な人々:アジア太平洋地域における気候変動と健康をきっかけとした新たな協力体制の構築に向けて」(2023年11月2日)

【開催報告】プラネタリーヘルス専門家会合「健康な地球・健康な人々:アジア太平洋地域における気候変動と健康をきっかけとした新たな協力体制の構築に向けて」(2023年11月2日)

気候変動が激化するにつれて、地球全体における健康への影響がますます顕著になってきています。2023年7月、国連事務総長であるAntónio Guterresは、2023年7月の気候観測データが「様々な指標における記録を塗り替える可能性がある」とし、「地球全体が沸騰する時代が到来した」と警鐘を鳴らしました。事実、世界気象機関(WMO: World Meteorological Organization)は、7月の最初の3週間が「我々の記録において最も暑い3週間だった」とコメントしています。このような気候変動の激甚化、特に過去最高の海水温度と10年ごとの温暖化の傾向は加速度を増しており、各国政府は気候変動と健康に関する包括的な対応に迫られています。

アジア開発銀行(ADB: Asian Development Bank)は、2021年に2019年から2030年までの間に累計1,000億ドルをADBの独自財源から気候変動対策に提供するという新たな目標を発表しました。そのうち340億ドルは気候変動への適応や強靭性強化に充てられることが決まっており、特に保健分野では、ADBは「保健システムの気候変動に対する回復力を向上させ、低炭素保健システムの開発を支援すること」に焦点を当てており、2023年のG7広島サミットやG20ニューデリー・サミットやドバイで開催される国連気候変動枠組み条約(UNFCCC: United Nations Framework Convention on Climate Change)第28回締約国会議(COP28)のモーメンタムと連携し「気候と健康イニシアチブ」を立ち上げることが予定されています。

日本政府は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言したとともに、2022年5月には「グローバルヘルス戦略」において気候変動と健康についても外国・経済・安全保障の観点からも重要な政策課題であると取りまとめています。また、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN: Association of Southeast Asian Nations)の50年にわたる友好協力の節目を迎えており、特に日本政府が国際的な議論を牽引してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)へ環境への配慮も強化した新たな次元の「ASEAN健康イニシアチブ」に対する複合的な取り組みへの期待は高まっています。そして、2024年には気候変動の影響を大きく受けている太平洋の国々と地域の安定と繁栄に焦点を当て「太平洋・島サミット(PALM)」が予定されているだけでなく、プラネタリーヘルスに関する保健システム研究シンポジウムも長崎で予定されており、保健医療制度や政策の科学的、実務的視点からの取組を共有し、地域や国を超えた協力が促進されると考えられています。

本会合を通じて、G7広島サミットや国連総会などにおいて日本政府が果たした役割を再確認するとともに、今後、日本がアジア太平洋地域において、多様なステークホルダーとの緊密な連携を推進し、持続可能で強靭なヘルスシステムの構築を推し進めていく際に、果たすべき役割や課題について議論しました。

 

■プラネタリーヘルス専門家会合「健康な地球・健康な人々:アジア太平洋地域における気候変動と健康をきっかけとした新たな協力体制の構築に向けて」会合動画(1:40:22)

 

【開催概要】

  • 日時:2023年11月2日(木)16:00-17:30
  • 形式:対面(オンライン配信なし)
  • 会場:東京都千代田区大手町1-9-2大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階 Global Business Hub Tokyo Field
  • 言語:日本語・英語(同時通訳あり)
  • 参加費:無料
  • 共同主催:アジア開発銀行、長崎大学、日本医療政策機構
  • 後援:国立大学法人 政策研究大学院大学 グローバルヘルス・イノベーション政策プログラム、グローバルヘルス市民社会ネットワーク、独立行政法人国際協力機構(JICA: Japan International Cooperation Agency)

 

【プログラム】(敬称略・順不同)

16:00-16:10 開会挨拶

永安 武(長崎大学 学長)

稲垣 彩子(アジア開発銀行 人間社会開発セクター部 上級グループ長)

16:10-16:25 基調講演1 気候変動と健康を取り巻く議論の変化と新たな試み
パトリック オセウェ(アジア開発銀行 人間社会開発セクター部 保健課長)

<講演資料>基調講演1 気候変動と健康を取り巻く議論の変化と新たな試み

16:25-16:40 基調講演2 新グローバルヘルス戦略が示す気候変動と健康課題への取組と展望
伊藤 直樹(内閣府 グローバルヘルス大使、健康・医療戦略ディレクター/外務省 特命全権大使(広報外交、国際保健、メコン協力担当))

<講演資料>基調講演2 新グローバルヘルス戦略が示す気候変動と健康課題への取組と展望

16:45-17:20 パネルディスカッション「マルチステークホルダーによる気候変動と健康への対策と求められる国際連携」

パネリスト:
吉富 萌子(厚生労働省大臣官房国際課国際保健・協力室 国際協力専門官/健康・生活衛生局水道課 課長補佐)
稲場 雅紀
(アフリカ日本協議会(AJF)共同代表 国際保健部門ディレクター/グローバルヘルス市民社会ネットワーク 代表)
坂元 晴香(東京女子医科大学 国際環境熱帯医学講座 准教授)
相賀 裕嗣(長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授)
西村 恵美子(独立行政法人国際協力機構 人間開発部 グローバルヘルス・チーム 課長)

モデレータ:
渡部 明人(アジア開発銀行 人間社会開発セクター部 保健スペシャリスト)

17:20-17:30 閉会挨拶・閉会の辞

黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)

鴨下 一郎(内閣官房参与(健康・医療戦略)/元環境大臣)

 

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