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【開催報告】プラネタリーヘルスプロジェクト「プラネタリーヘルス~持続可能な地球環境を確立するために~」第1回アドバイザリーボード会合(2024年5月13日)

【開催報告】プラネタリーヘルスプロジェクト「プラネタリーヘルス~持続可能な地球環境を確立するために~」第1回アドバイザリーボード会合(2024年5月13日)

日本医療政策機構は、プラネタリーヘルスプロジェクト2024年度第1回アドバイザリーボード会合を2024年5月13日に開催いたしました。

当機構では、プラネタリーヘルスに関する議論を前進させ、人と地球環境の健康に資することを目的に、2022年度にプラネタリーヘルスプロジェクトを立ち上げ、アドバイザリーボードによる議論を進めてきました。2024年度もアドバイザリーボードでの議論をもとに、様々な取り組みを予定しております。

現在、気候変動をはじめ、生物多様性の喪失、環境汚染など多くのプラネタリーヘルスに関する地球規模課題が存在しており、喫緊の対策が必要とされています。日本においても、「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」(2023年12月19日改定)や、第六次環境基本計画(2024年5月21日閣議決定)にプラネタリーヘルスの視点が盛り込まれるなどプラネタリーヘルスに関する注目は高まっています。プラネタリーヘルスに関する課題を解決していく上では、現在議論が進められているグリーン・トランスフォーメーションを目指す「GX2040ビジョン」や第7次エネルギー基本計画において、人と地球環境の健康に資する目標設定が行われることも重要です。自然災害が多く、少子高齢化社会を迎えている日本においても独自の課題をマルチステークホルダーで設定し理解を広めていくことが、今後の議論を深め、課題を解決する上で必要です。

2024年度第1回会合では、3名のメンバーから課題意識と取り組みについて議題提供をいただき、事務局からは今年度の全体目標および取組みの方向性について共有しました。
今年度の全体目標や取組みは昨年度のアドバイザリーボードを起点とした知見やアイディア等を反映させつつ以下のように定めています。


今年度の全体目標:
プラネタリーヘルスの理念の推進により、人間の健康の促進とより持続可能な社会の実現に貢献する

本プロジェクトで取り扱うテーマ(例):

以下3つの柱を中心に、アドバイザリーボードや外部のステークホルダーと連携しながらプロジェクトを実施しています。

  1. 気候変動:
    医療機関・ヘルスケアバリューチェーンの脱炭素化、気候変動に強靭なヘルスケアシステムの構築、極端な高温/低温への対応と健康障害、気候変動とメンタルヘルス、気候変動と薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)、気候変動資金に関する取組み、国内・国際組織との連携、本領域に関する調査や提言など

  2. 生物多様性の喪失:
    ワンヘルス、人獣共通感染症、都市緑地とウェルビーイング、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD: Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)などの国際枠組み、遺伝子情報の取り扱い、生物多様性に配慮したヘルスケアシステムなど

  3. 環境汚染:
    公害対策(大気・水・土壌汚染・マイクロプラスチック・PFASなど)、医療廃棄物の削減と適切な処理、持続可能で健康な食料システム(プラネタリーヘルスダイエット)、金融セクターなどとの連携、医療廃棄物のリサイクルにつなげる議論など


本プロジェクトの具体的な取り組み(例):

以下5つの枠組みを活用しながら、2024年度のプロジェクトを実施する。

  1. プラネタリーヘルスに関する情報の収集・共有
    プラネタリーヘルスに関する最新の情報を収集し、現状の問題点や改善すべき課題を把握し、アドバイザリーボードなどを通じて共有する。

  2. 政策立案に関する調査・研究・提言
    プラネタリーヘルスの観点から、政策立案に必要な調査・研究・提言を行う。例えば、国内のステークホルダーの意識調査や気候変動・生物多様性の喪失・環境汚染が健康に与える影響などについて、科学的な根拠などに基づいた提言を実施する。

  3. 政策実施に関する支援
    プラネタリーヘルスの観点から、政策実施に必要な支援を行う。地域での健康づくりや、環境保全、脱炭素化に関する取り組みの政策化に向けた取り組みなどを行う。

  4. 普及啓発活動の推進
    プラネタリーヘルスに関する情報の普及啓発活動を推進する。医療従事者を筆頭に、市民や企業、患者団体などに向けた啓発活動を行うことで、プラネタリーヘルスの理解を深め、より持続可能な社会の実現に向けた行動を促進する。

  5. 国際連携の推進
    プラネタリーヘルスは国際的な問題であり、国際連携が不可欠である。当機構は、国内外の関連機関や団体との協力関係を築き、国際的な視野でのプラネタリーヘルスの推進に努める。

 

<第1回アドバイザリーボードの様子>

 

■第1回アドバイザリーボード

17:00-17:05 趣旨説明とこれまでの取組

菅原 丈二(日本医療政策機構 副事務局長)

17:05-17:15 今年度の予定について

鈴木 秀(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)

17:45-17:45 各委員よりご挨拶(自己紹介・本年度の活動に期待すること)

17:45-18:30 プラネタリーヘルスに関する課題意識の共有

佐々木 隆史(みどりのドクターズ 代表理事)
永田 翔(環境省 大臣官房環境保健部 企画課 熱中症対策室長)
鹿嶋 小緒里(広島大学 IDEC 国際連携機構プラネタリーヘルスイノベーションサイエンス(PHIS)センター長/広島大学大学院先進理工系科学研究科環境保健科学研究室准教授)

18:30-18:55 全体討議

18:55-19:00 今後のスケジュール・その他

鈴木 秀(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)

 

アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順)

【産】

有馬 覚(第一三共株式会社 サステナビリティ部 企画グループ)
西場 洋介(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 医療政策・渉外本部 パブリックアフェアーズ&サステナビリティ部)
光武 裕(アストラゼネカ株式会社 ジャパンサステナビリティディレクター)

【官】

井上 肇 (厚生労働省 大臣官房 国際保健福祉交渉官)
神ノ田 昌博(環境省 大臣官房 環境保健部長)
永田 翔(環境省 大臣官房環境保健部 企画課 熱中症対策室 室長)

【学】

鹿嶋 小緒里(広島大学 IDEC 国際連携機構 プラネタリーヘルスイノベーションサイエンス(PHIS)センター長/広島大学大学院 先進理工系科学研究科 環境保健科学研究室 准教授)
近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 社会疫学分野 主任教授)
中村 桂子(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 国際保健医療事業開発学分野 教授)
南齋 規介(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域 領域長)
橋爪 真弘(東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学 教授)
夫馬 賢治(信州大学 グリーン社会協創機構 特任教授 /株式会社ニューラル CEO)
山本 尚子(国際医療福祉大学 大学院 教授/国際医療協力 センター長)
山野 博哉(国立環境研究所 生物多様性領域上級主席研究員)
渡辺 知保(長崎大学 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授 兼 学長特別補佐(プラネタリーヘルス))

【民】

工藤 泰子(総合地球環境学研究所 客員教授)
菅原 聡(一般社団法人Green innovation 代表理事)
中野 夕香里(公益社団法人 日本看護協会 常任理事)
原口 真(MS&ADインターリスク総研 上席フェロー/MS&ADインシュアランスグループホールディングス TNFD専任SVP)
細川 秀一(公益社団法人 日本医師会 常任理事)
松尾 雄介(公益財団法人 地球環境戦略研究機関 ビジネスタスクフォースディレクター)
渡部 明人(アジア開発銀行 人間社会開発セクター部 保健スペシャリスト)
一般社団法人みどりのドクターズ

【スペシャル・アドバイザー(ユース)】

アジア医学生連絡協議会日本支部(AMSA Japan: Asian Medical Students’ Association Japan)
日本国際保健医療学会学生部会(jagh-s: Japan Association for Global Health, Students Section)

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