【調査報告】「コロナ禍における日本政府の対策に関するアンケート調査」(2021年12月14日)
日本医療政策機構は、国際保健(グローバルヘルス)の文脈におけるワクチンを含む政府の国際的な支援のあり方、そしてそれへの理解についてインターネットでアンケート調査(対象者:1,000名、全国、男性494名:女性506名、18歳~79歳)を2021年10月6日から10月11日にかけて実施しました。
昨今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19: Coronavirus Disease 2019)のワクチン政策における議論のなかで、世界的な感染拡大(パンデミック)との闘いを収束させるためには、地球規模で人々の健康を考え、国際的な連携により開発途上国における感染症対策をする必要があります。また、世界保健機関(WHO: World Health Organization)による第2回特別総会(Special Session on WHA)においても、グローバルヘルスの文脈におけるワクチンの公平な分配の重要性が再確認されています。しかし、国連開発計画(UNDP: United Nations Development Programme)の「Global Dashboard for Vaccine Equity」によると、高所得国では2人に1人がワクチン接種をしている一方で、低所得国では依然として18人に1人しかワクチンを接種できていないことが示されています。このことは、低所得国におけるワクチン未接種者の健康や経済・社会に影響を与えるだけでなく、世界全体においても新たな変異ウイルスの出現の可能性やグローバルなバリューチェーンによりつながっている経済社会活動にも大きな影響を与えると考えられています。
今回の調査では、日本は先進国の一員としてワクチンに関する国際的課題にどう取り組むべきか、日本人のワクチン政策に対する意識についてアンケート調査を実施しました。
本調査結果の概要は、以下の通りです。
1. ワクチンの公平な分配について
アフリカ大陸などワクチン接種が進んでいない状況についてどう考えるかを聞いたところ、「世界経済の観点から世界的に普及させるべき」であるとの回答が過半数(54.5%)を占め、また「国により差があるのは不公平」(34.8%)という回答も多くみられました。
2. 日本政府による他国へのワクチン供給などの施策について
日本政府の新型コロナウイルスワクチンの供給を必要としている国や地域へのワクチンの無償提供についての考えを聞いたところ、約9割(86.6%)が支持していることが明らかになりました。
3. 国際課題に対する日本の果たすべき役割について
日本政府は国際的な課題に対してどのような役割を果たすべきだと考えるかを聞いたところ、回答者の約半数(46.5%)が「主要な役割」を日本政府へ期待していることが分かりました。
4.日本政府による他国へのコロナウイルス感染症対策支援への優先事項について
日本政府の他国へのコロナウイルス感染症対策支援として、資金援助とワクチン現物の供給、どちらを優先すべきだと思うかを聞いたところ、資金面の援助(14.5%)に対して、ワクチン現物援助(57.0%)が重要と考える人が大きく上回りました。
5.グローバルヘルスという言葉の認知度について
「グローバルヘルス」という言葉を知っているか、またその意味を理解しているかを聞いたところ、回答者の8割以上(83.0%)はグローバルヘルスという言葉やその意味を知りませんでした。
日本政府は健康・医療戦略推進会議において「グローバルヘルス戦略」の策定を進めており、2022年6月までにとりまとめることを表明しています。今回のパンデミック対応から得た教訓を戦略の中に盛り込むとともに、持続的な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)などの達成も考慮し、国民の理解も得ながら進めていくことが求められます。
※調査の詳細は、下記のプレスリリースをご覧ください。
報告書の全文は、後日、本ページに掲載予定です。
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