【調査報告】医療の満足度、および医療政策への市民参画に関する世論調査(2023年2月7日)
日付:2023年2月7日
タグ: 世論調査

日本医療政策機構は医療の満足度、および医療政策への市民参画に関する世論調査の結果を発表しました。
今回の世論調査は、日本の全人口(年齢、性別、地域)を代表する1,000人を対象として、2022年3月に実施しました。
調査では、医療への満足度として下記の各項目における満足度について「満足」〜「不満」までの4件法で回答を得ました(図1-1)。
最も満足度の低かった項目は医療制度の分かりやすさ、次いで保険料の負担額となりました。保険料の負担額については現在、社会保障における給付と負担の見直しのため全世代型社会保障改革が進められています。そこで、保険料の負担額に対する満足度に関してその内訳を見てみると、顕著な年齢差は認められませんでした(図1-2)。
一方、今回の調査において最も満足度の高かった項目は日本の医療保険制度の特徴である国民皆保険制度(国民全員が公的医療保険に加入している)、次いでフリーアクセス(医療機関へのアクセス)に関する項目となりました。
これらの結果から、現在の医療保険サービスについて一定の満足度は得られているものの、医療制度の理解がなされていないことにより、その負担に対する納得感が得られていない状態であると考えられます。そのため、医療制度についての理解向上を図ることが、医療の満足度向上に寄与することを示唆していると考えられます。
図1-2
また、医療政策に声を反映できる機会があると感じているかどうかについての設問(図2)では、「反映する機会がある」と回答した方が1割に満たない結果となりました(グラフ内左:n = 73名/N=1000名)。しかし、「(反映する機会が)ありそうだが、自分が参画できる形になっていない」と答えた方が全体の4割程度(グラフ内中央:n = 380名/N=1000名)であり、その内訳を見ると、74%が医療政策に自身の声を反映したいと考えているということが明らかになりました。
この結果は、医療政策への患者・市民参画(PPI: Patient and Public Involvement)のニーズの高まりを示していると考えられます。パブリックコメントや公聴会の実施をはじめとした政策決定過程への参画方法の多様化を進めながら、その方法を広く周知することで、患者・市民参画をより進めていく必要があるのではないでしょうか。
図2
当機構では市民主体の医療政策の実現を目指し、患者・市民参画についての政策提言を行っております。
【政策提言】NCDアライアンス・ジャパン「患者・当事者プラットフォーム」プロジェクト「政策形成過程における患者・市民参画のさらなる推進に向けて ~真の患者・市民主体の医療政策の実現を目指して~」
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