【政策提言】子どものメンタルヘルス予防・支援のための4つの提言~HGPIが考える子どものメンタルヘルス政策~(2022年6月24日)

日本医療政策機構 こどもの健康プロジェクトでは、公益財団法人日本財団の助成金のもと、「子どもを対象としたメンタルヘルスプログラムの構築と効果検証」を実施し、報告書を公表いたしました。効果検証による結果と、シンポジウムにおける多様な専門職を中心とした議論を基に、子どものメンタルヘルス支援に必要な4つの提言を公表いたしました。
■子どものメンタルヘルス予防・支援のための4つの提言
提言1:
全ての小中学生に対して学校における実践的なメンタルヘルス教育の導入と継続的フォローアップを実施すべき
- メンタルヘルス教育のさらなる充実に対する小中学生の高いニーズに応える必要がある
- 予防的な観点から、全ての小中学生に対して同水準の認知行動療法に基づく教育を提供する仕組み作りが必要である
- メンタルヘルス教育で習得した内容を小中学生の日常生活に根付かせるため、教諭・支援する心理師への研修を通じたメンタルヘルスリテラシーの向上と小中学生への継続的なフォローアップが必要である
提言2:
子どもの包括的なメンタルヘルス予防・支援のため地域での分野を超えた多職種連携を推進すべき
- 子どものメンタルヘルス支援を学校や教諭のみに依存するのではなく、学校は外部との連携を強化し、より開かれた場所となるべきである。さらに地域・福祉・医療等の領域を超えた多職種での連携、社会全体での支援が必要である
- 子どもに関わる大人、特に支援職に就く全ての人へのメンタルヘルスに関する教育機会が提供される必要がある
- 子どもの健康に関するデータを分野や組織を超えて共有し、さらなる連携強化と効果的な支援・介入を推進すべきである
提言3:
社会経済的な家庭状況の差異に関わらず、全ての子どもにメンタルヘルス予防、早期発見・介入が届く体制を構築すべき
- 就学後の健康診断、特に思春期健診によるメンタルヘルス課題の早期発見・介入とデジタル技術を用いたメンタルヘルス支援には社会経済的な家庭状況に関わらず教育・医療・福祉等の支援の狭間を埋める可能性があり、今後さらにエビデンスに基づき頒布、拡大するべきである
- 専門家による正しい情報提供と若い世代のメンタルヘルスに関する経験談の発信を促進し、子どもを含めた人々へメンタルヘルスに関する当事者意識を喚起するべきである
提言4:
小中学生のニーズに合わせた政策の推進を目的に、省庁間・領域間の分断をなくし、エビデンスに基づいて効率的に資源を配分・活用すべき
- 課題の切り分けや別々の省庁や部署での対応ではなく、人を中心に据えたライフコース全体で考えメンタルヘルス政策を推進するべきである
- 科学的エビデンスに基づいた長期的なメンタルヘルス対策の制度設計を実施するべきである
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