活動報告 調査・提言

【パブリックコメント提出】薬剤耐性(AMR)プロジェクト「令和7年度 東京都都民による事業提案制度(都民提案)」事業案(2025年5月30日)

【パブリックコメント提出】薬剤耐性(AMR)プロジェクト「令和7年度 東京都都民による事業提案制度(都民提案)」事業案(2025年5月30日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)薬剤耐性(AMR)プロジェクトは、東京都財務局による「令和7年度 都民による事業提案制度(都民提案)」について、事業提案を提出いたしました。なお、既に提案の募集は終了しております。

都民による事業提案制度(都民提案)は、「都民が提案し、都民が選ぶ」ことで都民の声を直接施策に反映させる新たな都政参画の仕組みであり、従来の発想に捉われない新たな視点から都政の喫緊の課題を解決することを目指しています。2025(令和7)年度の提案募集は4月4日から5月30日まで行われ、結婚・妊娠・出産・子育て支援、若者支援、防災対策・安心安全な暮らしの実現、女性活躍、脱炭素社会の実現、デジタルシフトの推進など、幅広い分野で事業案が受け付けられました。

本制度では、都内在住・在勤・在学の15歳以上の個人および都内に活動拠点を有する法人・団体が提案者となることができ、1事業あたり2億円以内(原則単年度事業)という条件のもとで事業プランを提案できます。提案された事業案は都による審査を経て、2025(令和7)年7月下旬から都民によるインターネット投票が実施される予定であり、その結果を踏まえて2026(令和8)年度予算案への反映が図られる見込みです。


柔軟な発想で東京都の課題解決を目指す都民提案

近年、社会経済情勢の変化や気候危機の深刻化、少子高齢化などにより都政を取り巻く環境は予想しえないスピードで変化しています。東京都はこうした時代の変化に対応するための施策に、都民一人ひとりの声を直接反映させることで、従来の発想にとらわれない新たな視点から、東京都が抱える喫緊の課題の解決を図るため、本制度を導入しました。当機構では、細菌(病原体)が、抗菌薬の使用に伴い変化し、抗菌薬の効果が小さくなる薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)を防ぐ観点から、都政におけるAMR対策の政策強化を提言しております。こうした活動を踏まえ、このたび都民提案制度を通じて提案した事業案も、地方自治体によるAMR対策や子育て世代における抗菌薬の適正使用に向けた意識向上などに焦点を当てた内容となっています。提出した事業案の概要は以下の通りです。

AMRの発生および拡大防止を目指したHGPIの事業案

テーマ1:こどもDXを基盤としたAMR対策プッシュ型学修⽀援
東京都が進める「こどもDX」施策と連携し、子育て世代や保護者層に対して抗菌薬の適正使用などのAMR対策に関する情報をプッシュ通知で配信する仕組みの構築を提案しました。小児における不適切な抗菌薬使用が依然として多い中、「医療費が無料でも不要な抗菌薬は使わない」といった意識の醸成を図り、保護者自身の行動変容を通じて子どもの健やかな成長を支えるとともに、将来にわたり持続可能な医療と社会全体の健康を実現します。具体的には、健診や予防接種、給付金の案内などと連動し、必要なタイミングで分かりやすい情報を定期的にプッシュ型で通知します。これによりAMRに関する正しい知識を日常生活に自然に取り入れられるように支援します。将来的には、AMR対策関連情報を含む医療健康情報を一元化した子育て支援医療健康情報レジストリ(仮称)の構築も視野に入れています。既存の⼦育て⽀援レジストリ(※)と統合的に運⽤することで、より総合的な総合的な⼦育て・健康⽀援の基盤を強化できます。こうした施策は、国の母子保健情報のデジタル化の方向性にも合致し、ヘルスリテラシー向上に寄与する基盤形成も期待できます。


都民提案に関し、詳しくはこちらをご覧ください。

あわせて、東京都をはじめとする各地方自治体では、広報誌や公式ウェブサイトなどを通じて、11月の「AMR対策推進月間」に合わせて特集ページを設けるなど、より積極的な学修支援・啓発活動も期待されます。

※ 子育てに関する給付金や相談窓口など、都内各区市町村と東京都の子育て支援制度に関する公開情報を一覧化したもの。国・東京都・区市町村と様々な主体が支援制度を提供しているため、子育て当事者にとって必要な情報が分散し、「知りそびれ」「申し込みそびれ」「貰いそびれ」といった3つの「○○そびれ」が発生しやすいという課題に対応するために構築されました。民間のアプリ事業者との連携を通じて、利用者の特性や状況に応じて必要な情報を先回りで届けています。

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