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【論文発表】「日本の医師の気候変動と健康に関する知識、態度、実践」が学術誌 Journal of Public Health に掲載(2024年7月15日)

【論文発表】「日本の医師の気候変動と健康に関する知識、態度、実践」が学術誌 Journal of Public Health に掲載(2024年7月15日)

「日本の医師の、気候変動が健康に及ぼす影響、気候変動に特化したアドバイスの提供、気候変動政策へのアドボカシーに関する知識、態度、実践(Knowledge, attitudes, and practices of Japanese physicians relating to climate change impacts on health, delivery of climate-specific advice, and advocacy for climate change policies)」が学術誌 Journal of Public Health に掲載されました。

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)のプラネタリーヘルスプロジェクトと東京大学SPRING GX は、気候変動と健康、持続可能な保健医療システム、気候変動政策に関する意見を集めるため、日本の医師を対象に自記式質問紙票によるオンライン調査を共同実施しました。調査は2023年11月21日から27日にかけて実施され、日本全国で診療に携わっている1,100人の医師から回答を得ました。

主な調査結果

  • 気候変動と健康に関する教育へのアクセスは限られている
    • 6.5%が医学部で気候変動と健康に関する授業を受けたと回答し、11.6%が気候変動と健康に関する専門的なトレーニングを受けたと回答した。

  • 医療施設には環境に配慮した医療の取り組みが不足している
    • 所属している施設において持続可能な医療の取り組みを支援しているかどうか尋ねたところ、37.5%のみが支援していると回答した。

  • 医師は気候変動政策に関するアドボカシー活動に関与する意欲がある
    • 73.9%の回答者が気候変動政策を強化するために医療従事者が主導するアドボカシー活動に個人的に参加することを検討すると回答した。

 

ヘルスコミュニティは気候変動への取り組みを加速する上で重要な役割を担っています。医師は気候変動の健康への影響と対応策を理解し、その必要性を伝えるのに適した立場にあります。また、医師は科学的専門知識と社会的影響力を活かして、患者をはじめ一般の人々に気候変動に関する健康教育を広めることができます。これにより、患者の健康の向上と気候変動の緩和の両方に寄与します。それだけでなく、医師は所属する施設内で持続可能な取り組みを促進するために、システムレベルでの政策変更を提案することもできます。

本研究に参加した医師の大多数(87.9%)は、気候変動が人間の健康に与える影響を認識しており、51.4%の回答が日本の患者における健康影響を実感しています。さらに、多くの医師は、気候変動が健康に与える影響について、医師が患者を教育する責任があることも認識しており、半数以上(56.7%)の回答は、医師は気候変動が健康に与える影響について患者に助言するべきだと同意しており、59.7%の医師は、患者がより持続可能なライフスタイルに変容するため、患者の手助けをすることができることに同意しました。

しかし、医師の意欲と実際の行動の間には、大きな隔たりがあります。気候変動に関する健康アドバイスやアドボカシー活動を行う際に障害となっている要因として、主に情報や資源の不足(54.4%)、知識の不足(52.7%)、時間の不足(51.7%)を挙げ、次いで施設からのサポート不足(26.8%)と回答しました。



医師は、日常的に患者の相談に乗り、社会的な信頼を得ています。個人的にも、社会的にも大きな影響力を持っており、持続可能な未来を実現するための変革の担い手として、重要な役割を果たすことが可能ですい。しかし、そのためには、教育や実施のための支援などをより充実させる必要があります。

本研究は、HGPIのプラネタリーヘルスプロジェクトの取り組みに基づいており、五十嵐ナーヤ ハーパー(HGPIプログラムスペシャリスト)、鈴木秀(HGPI シニアアソシエイト)、ケイヒル エリ(HGPI プログラムスペシャリスト)、島袋彰(HGPI アドジャンクトフェロー)、菅原丈二(HGPI 副事務局長)、橋爪真弘(HGPI プラネタリーヘルス アドバイザリーボードメンバー、東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学 教授)が参加しました。

掲載された論文はこちらからご覧いただけます。

 

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