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【開催報告】「国際潮流と日本のメンタルヘルス政策」グローバル専門家会合(2019年12月18日)

【開催報告】「国際潮流と日本のメンタルヘルス政策」グローバル専門家会合(2019年12月18日)

 

*****最終報告書を作成し、発表しました。(2020年4月21日)
詳しくは、当ページ下部のPDFファイルをご覧ください。

 

日本医療政策機構では、京都大学大学院医学研究科先端国際精神医学講座との共催、さらにはジョンズホプキンス大学の協力により、「国際潮流と日本のメンタルヘルス政策」グローバル専門家会合を開催致しました。

 

日本医療政策機構「国際潮流と日本のメンタルヘルス政策」プロジェクト 全体概要

メンタルヘルス政策は世界的に進展を見せ、WHOが定めるメンタルヘルス・アクションプラン(2013~2020年)などを通して、国際連携や国際比較のなかで、好事例の共有などが進展しています。日本においては、2004年に策定された「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において「入院医療中心から地域生活中心」という政策理念が掲げられ、その実現に向けた施策が推進されてきました。また2013年からの第6次医療計画においては、重点疾病のひとつとして位置づけられ、精神障害に罹患した人が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が進みつつあります。

日本において精神科を利用する総患者数は、約392.4万人(2014年)(入院:約31.3万人、外来:約361.1万人)と増加傾向にあり、この患者数は、いわゆる4大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)よりも多い状況です。これらの患者数は、精神科が扱う疾患やケースが多様になってきていることも関係しており、入院加療が必要な重度な精神障害であるケースから、睡眠障害や依存症、軽度うつなど、日常生活のなかで感じられるメンタルヘルスも含まれています。このようにメンタルヘルス領域およびメンタルヘルス政策そのものの再定義もふまえ、政策の進展が期待されています。

このような状況のなか、国際的な状況と比較すると、各精神疾患への国民理解や啓発、当事者ニーズに基づくアプローチ、当事者のサービスデザイン・提供への参画、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて多職種と官民が連携した患者支援体制の構築、さらには予防も含めたライフコースに基づいたメンタルヘルスケアの構築など、今後、さらに取り組みの強化が期待される政策領域も多く存在します。そのためには、国際潮流をベースとした変革が急務である一方で、既存の医療提供体制からのスムースな移行を可能にすべく、既存のステークホルダーへの変革に際するインセンティブの付与や、医療経済的視点からの再評価、「精神科特例」など現状の政策状況に関する再考などを踏まえた効果的な政策誘導も期待されています。

これらの社会的要請をふまえ、日本医療政策機構では、「国際潮流と日本のメンタルヘルス政策」プロジェクトを始動させ、当事者や既存のステークホルダーを含めた国内外の当分野における産官学民のオピニオンリーダーや関係団体にヒアリングを実施してきました。また、キーオピニオンリーダーにアドバイザリーボードとして結集していただき、日本のメンタルヘルス政策における現状の課題や論点を抽出し、その課題に対する解決の方向性を検討しています。

この度、このように抽出されつつある課題や論点と、その解決の方向性について、アドバイザリーボード・メンバーを中心とした国内外の有識者が意見を表明するグローバル専門家会合を開催致しました。当専門家会合は、京都大学大学院 医学研究科 先端国際精神医学講座と日本医療政策機構の共催、ジョンズホプキンス大学の協力により実施し、それによりトップアカデミアおよび産官学民のマルチステークホルダーが結集して議論するなかで、メンタルヘルス政策の進展の必要性と次の打ち手を国内外に発信するきっかけとしていきたいと考えています。

さらには、今後、これらのアドバイザリーボードでの議論やグローバル専門家会合での論点を、日本医療政策機構として政策提言を取りまとめ、政策立案者向けにも発信していくことで、日本のメンタルヘルス政策の進展に寄与していくことを目指します。

第一部「トップアカデミアが語るメンタルヘルス政策の国際潮流」概要

共催: 京都大学大学院 医学研究科 先端国際精神医学講座・日本医療政策機構(HGPI)
協力: ジョンズホプキンス大学

開会の辞

澤 明(京都大学大学院 医学研究科 先端国際精神医学講座、The Johns Hopkins University、School of Medicine、The Johns Hopkins University Bloomberg School of Public Health、The Johns Hopkins Schizophrenia Center、The Johns Hopkins Hospital)

基調講演1「メンタルヘルスの再定義」

神庭 重信(九州大学名誉教授、公益社団法人日本精神神経学会 理事長)



基調講演2「幼児期を含めたライフコース全体で考えるメンタルヘルス政策の今後のあり方」

神尾 陽子(お茶の水女子大学 人間発達教育科学研究所 人間発達基礎研究部門 客員教授)

基調講演3「医療アクセスとメンタルヘルス ~米国の事例から~」

Frederick Nucifora(The Johns Hopkins University School of Medicine、Johns Hopkins Schizophrenia Center Johns Hopkins Hospital)

パネルディスカッション「アカデミア視点から見る今後の日本のメンタルヘルス政策への期待」

パネリスト:
岩坪 威(東京大学大学院 医学系研究科 神経病理学分野 教授)
神尾 陽子
茅野 龍馬(WHO健康開発総合研究センター 医官)
神庭 重信
金 吉晴 (国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 所長)
富田 博秋(東北大学 大学院医学系研究科 精神神経学分野 教授)
古川 壽亮(京都大学大学院医学研究科・医学部 健康要因学講座健康増進・行動学分野 教授)

モデレーター:
澤 明

 

第二部「マルチステークホルダーで考える日本のメンタルヘルス政策 次の打ち手」概要

共催: 日本医療政策機構(HGPI)・京都大学大学院 医学研究科 先端国際精神医学講座
協力: ジョンズホプキンス大学

開会の辞

黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)

基調講演1「日本のメンタルヘルス政策の現状」

佐々木 孝治(厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 課長)

基調講演2「自分のままで生きられる、生きる楽しみをちょっとずつ分け合える社会」

小林 圭吾(メンタルヘルス当事者)

パネルディスカッション1「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進に向けて―多職種連携とライフコースアプローチの両立―」

パネリスト:
田村 千秋(YPS横浜ピアスタッフ協会)
神尾 陽子(お茶の水女子大学 人間発達教育科学研究所 人間発達基礎研究部門 客員教授)
澤 明 (京都大学大学院 医学研究科 先端国際精神医学講座、The Johns Hopkins University、School of Medicine、The Johns Hopkins University Bloomberg School of Public Health、The Johns Hopkins Schizophrenia Center、The Johns Hopkins Hospital)
水野 雅文(東邦大学 医学部 精神神経医学講座 主任教授)
石井 知行(公益社団法人日本精神科病院協会 理事)
佐々木 孝治
杉浦 寛奈(日本医療政策機構 リサーチフェロー)

モデレーター:
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事/事務局長・CEO)


パネルディスカッション2「メンタルヘルス政策における当事者参画の課題と展望」

パネリスト:
小幡 恭弘(公益社団法人 全国精神保健福祉会(みんなねっと)事務局長)
堀合 研二郎(YPS横浜ピアスタッフ協会)
北中 淳子(慶應義塾大学 文学部 教授)
Yukiko Lema (Clinical Research Program Manager, The Johns Hopkins Schizophrenia Center)

モデレーター:
栗田 駿一郎(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)

閉会の辞
自見はなこ(参議院議員)

(写真:井澤 一憲)

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