【出版報告】日本の保健医療研究データの現状~世界に誇る医療データベースの今後(2022年5月25日)
日付:2022年5月25日

日本医療政策機構は、2021年12月開催のラウンドテーブルに関する報告書「日本の保健医療研究データの現状~世界に誇る医療データベースの今後」を公表いたしました。ラウンドテーブルでは、日本における研究用医療データ及びリアルワールドデータ(RWD: Real World Data)のデータベース整備と円滑な運用が喫緊の課題、データの利活用促進に向けた新たな取り組み、さらに医療の質改善について議論されました。
本報告書では、以下の論点を提示しました。
- 日本では膨大な医療データが蓄積されているものの、データ利用時の手続きの多さや複雑さなどの理由から、十分に利活用のための環境整備がされているとは言い難い。
- NDB* などの公的な医療データベースの整備に関し、これまで政府主導で様々な方策が取られてきた。その中で、個人情報保護とデータの二次利用の簡易化の間で両者のバランスを取る、その具体的な方法論に依然として課題がある。
- データシステムの運営にあたり、データを収集・入力する現場の理解促進は、信頼関係の構築という点で重要なことである。データを使用した研究の拡大に取り組む中で、データシステム運営の際に生じる現場の負担に対して、適切な対価を設定できる仕組みについても検討が求められる。
- ヘルスデータの所有者としての国民に対して、十分な透明性のもと、データ利活用の実態や、それらにより享受できる恩恵について理解を促すことが重要である。ヘルスデータに関する認識と理解を普及するようにさらなる行動が求められる。
*NDB:National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan:レセプト情報・特定健診等情報データベース
■参加者(順不同・敬称略)
- 牧島 かれん(デジタル大臣/行政改革担当/内閣府特命担当大臣(規制改革))(ビデオメッセージ)
- 能登 真一(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 教授/作業療法学科 医療経済・QOL研究センター センター長)
- 清水 央子(東京大学大学院薬学系研究科 ITヘルスケア社会連携講座 特任准教授)
- 明神 大也(厚生労働省 保険局 医療介護連携政策課 保険データ企画室 主査)
- 足立 昌聰(株式会社JMDC 執行役員・最高データ保護責任者(CDPO)/弁護士・弁理士・情報処理安全確保支援士)
- 黒田 知宏(京都大学医学部附属病院医療情報企画部長/教授)
- 水野 充(国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ゲノム・データ基盤事業部 部長)
- 米本 直裕(ファイザー株式会社 ヘルスアンドバリュー総括部 アウトカムエンドエビデンス 部長)
報告書の詳細は下部PDFをご覧ください。
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