【開催報告】医療DXフォーラム「市民と共に創る未来の医療:デジタルトランスフォーメーションによる医療革新」(2024年2月22日)
日本医療政策機構の医療DXプロジェクトでは、「個人データの社会的な利活用が進むことで、個人および国民全体にメリットがもたらされる医療DX」を目指しています。医療DXでは、社会のデジタル化が基盤にあり、あらゆる情報が電子データ化されクラウドを介して共有できることが最大の強みです。このような強みを保健医療分野で活かすためには、まず市民・患者の健康医療データを収集するための環境整備が最優先となってきます。しかし、共有を前提としたデータの蓄積を進めるには、安全性が担保されていることが前提であり、個人の生活体験において利便性の向上を実感するようなメリットがないことには協力を得ることは難しく、現在明示されているような公共的なメリットに加えて、個人が自身の健康医療行動において直接メリットを実感できるような取組の明示も重要であり、個人と公共の双方に利益をもたらす医療DXを目指すことが望まれます。この医療DXの導入を通じて、患者、当事者、市民の視点を重視し、より効率的かつアクセスしやすい医療サービスを実現することが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経験し、保健医療システムの持続可能性と強靭性を考慮した今後の改革の中で極めて重要です。
そのためには、第一に、健康課題への主体的自己決定の促進を目指し、個人の健康医療データへのアクセスを向上させます。これにより、市民・患者は自身の健康状態に対して、より意識的で自律的な選択が可能になります。第二に、市民・患者が実際のメリットを享受し、サービスに満足する保健医療システムの構築を目指します。これは、サービスの質の向上、待ち時間の短縮、治療オプションの多様性などを含みます。第三に、医療データの利用によるイノベーションを促進し、不当な差別や個人の不利益となる利用に対して適切に対応することを目指します。
政府は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、全国医療情報プラットフォームの構築、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DX、医療DXの実施主体の確定などを通じて、医療DXを推進しています。これにより、国民の健康増進、より質の高い医療の提供、医療機関の業務効率化、システム人材の有効活用、医療情報の二次利用などが実現します。医療DXの目標達成により、市民・患者の健康医療体験に大きな変化が期待されます。例えば、オンライン診療の普及、医療アクセスの向上、診療情報の透明性向上、個別化された治療プランの提供、公衆衛生上のリスク管理の強化などが挙げられます。
このフォーラムでは、政府による医療DX推進本部の取組についてその基本的な考えと具体的な取組や今後の予定について広く理解を深めるとともに、当機構の取組などを通じて得られた患者・当事者・市民が有する医療DXに対する期待や不安について、その具体的な課題を明らかにし次の打ち手についてマルチステークホルダーで議論しました。
【開催概要】
- 日時:2024年2月22日(木)16:00-18:00(開場:15:30)
- 形式:会場のみ
- 会場:東京都千代田区大手町1-9-2大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階 Global Business Hub Tokyo Field
- 言語:日本語
- 主催:日本医療政策機構
- 協賛:政策研究大学院大学 グローバルヘルス・イノベーション政策プログラム
【プログラム】(敬称略)
16:00-16:10 開会挨拶/趣旨説明
乗竹 亮治(日本医療政策機構 事務局長/CEO)
16:10-16:20 ビデオメッセージ1「政府による医療DXの現状と将来展望」
武見 敬三(厚生労働大臣)
16:20-16:30 ビデオメッセージ2「日本におけるDX化と医療DXの位置づけ」
河野 太郎(デジタル大臣/規制改革担当大臣)
16:35-17:55 パネルディスカッション「市民の求める医療DXの実現に向けて」
パネリスト:
市川 衛(一般社団法人 メディカルジャーナリズム勉強会 代表理事)
加藤 浩晃(デジタルハリウッド大学大学院 特任教授/東京医科歯科大学 臨床教授)
木戸口 結子(アストラゼネカ株式会社 コーポレートアフェアーズ 本部長)
園生 智弘(TXP Medical株式会社 代表取締役)
モデレーター(デュアル):
藤田 卓仙(日本医療政策機構 リサーチフェロー/神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科 特任准教授/慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室 特任准教授)
津川 友介(日本医療政策機構 理事/カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部(内科)・公衆衛生大学院(医療政策学)准教授)
17:55-18:00 閉会挨拶
黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
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