【開催報告】国際ラウンドテーブルセッション「認知症領域の臨床試験実施体制の整備に向けた産官学民連携のあり方」(2022年3月8日)
日付:2022年5月20日
タグ: 認知症
認知症全体の約60%を占めるアルツハイマー型認知症(AD: Alzheimer‘s disease)の治療薬の開発における臨床試験の被験者リクルートに要する期間は、実際の試験期間の2倍から10倍に及ぶと報告されており、これは研究開発の大きな障壁となっていると考えられています。こうした課題に対して、2019年10月に運用が開始された薬剤治験対応コホート(J-TRC: Japanese Trial Ready Cohort)は、認知症を持たない方の認知機能をモニターし、AD予防薬の治験参加者と研究者をつなぐプラットフォーム機能を果たしています。今後は、例えばがん領域で行われているような患者と研究者の連携によるコホートの整備など、他疾患の好事例を踏まえたさらなる体制整備が期待されています。しかしながら、このような薬剤治験対応コホートをはじめとした臨床試験プラットフォームの運用にあたっては、ひろく国民の関心強化にもとづく参画が必須であり、日本においては、先進欧米諸国に比べて、臨床試験への積極的な国民の参画は低調です。
そこでJ-TRCの実施主体である東京大学医学部附属病院 早期・探索開発推進室と協働し、認知症の臨床試験環境のさらなる改善を目指し、産官学民が一同に結集し、課題や論点を議論する国際ラウンドテーブルセッションを実施いたしました。産官学民連携のあり方、国民への広報の実施手法、疾患啓発のあるべき手法などについて、海外の好事例や教訓についても海外登壇者とオンラインでつなぎ、議論を深めました。本ラウンドテーブルの議論から抽出された解決の方向性を、報告書に取りまとめました。
【開催概要】
■ 日時: 2022年3月8日(火)15:30-17:45
■ 開催形式:Zoomウェビナーを使用したハイブリッド形式
■ 主催: 日本医療政策機構(HGPI)
東京大学医学部附属病院 早期・探索開発推進室
■ 言語: 日本語及び英語(同時通訳有り)
【プログラム】(敬称略・順不同)
15:30-15:35 開会・趣旨説明
- 乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
15:35-15:40 基調講演(1)「J-TRCの意義と今後の展望」
- 岩坪 威(東京大学大学院医学系研究科 脳神経医学専攻 基礎神経医学講座 教授/東京大学医学部付属病院 早期・探索開発推進室長)
15:40-15:50 基調講演(2)「認知症創薬エコシステムの未来への示唆」
- 田中 稔久(厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 認知症対策専門官/課長補佐)
15:55-16:10 基調講演(3)「産官学民連携による認知症創薬プラットフォームの国際潮流~EPADなどを事例に~」
- Craig Ritchie(エジンバラ大学 老年精神医学講座 教授/Brain Health Scotland 所長)
16:15-17:00 ラウンドテーブル(1)「持続可能な認知症臨床試験プラットフォームのあり方~国際潮流および国内環境整備の課題と展望~」
17:00-17:35 ラウンドテーブル(2)「国民が賛同し理解する認知症臨床試験プラットフォームのあり方~あるべき広報・普及啓発戦略の打ち手~」
ラウンドテーブル・パネリスト(順不同):
- 岩坪 威(東京大学大学院医学系研究科 脳神経医学専攻 基礎神経医学講座 教授/東京大学医学部付属病院 早期・探索開発推進室長)
- 新美 芳樹(東京大学医学部附属病院 早期・探索開発推進室 特任講師)
- 川井 元晴(公益社団法人認知症の人と家族の会 理事/山口県支部代表世話人/脳神経筋センター よしみず病院 副院長)
- 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長)
- 井原 涼子(東京都健康長寿医療センター 脳神経内科 医長)
- 池内 健(新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター 教授)
- 渡辺 小百合(ヤンセンファーマ株式会社 研究開発本部 Japan Compound Development Team Lead)
- Craig Ritchie(エジンバラ大学 老年精神医学講座 教授/Brain Health Scotland 所長)
- Lenny Shallcross(世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council) Executive Director)
モデレーター:
- 乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
17:35-17:45 閉会の辞
- 黒川 清 (日本医療政策機構 代表理事)
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