【開催報告】「医療政策サミット2018」
日本医療政策機構では、2018年2月24日に「医療政策サミット2018」を都内で開催しました。「医療政策サミット2018」では、「医療提供体制」「保険者機能」「国民皆保険」「医療の未来」といったキーワードを軸に、これらに向き合う将来像やビジョンを、そして喫緊の解決策について、議論を深めました。
基調講演
加藤 勝信(厚生労働大臣)
基調講演では、加藤大臣が人口減少に直面する日本が、2025年に向けた医療・介護の改革を中心に、日本の社会保障施策について講演しました。また喫緊の課題となっている医師の働き方改革や薬価制度の抜本改革、さらにはデータヘルス改革の取り組みやがんゲノム医療など、課題の克服と新たな技術を活用したより質の高い医療の実現への展望を発信して頂きました。
セッション1:「医療提供体制のあるべき姿と保険者機能の強化」
地域医療の重要性や医療提供者の働き方に注目が高まり、かかりつけ医や専門医制度のあり方など、多様なステークホルダーを巻き込んだ議論が期待されています。また、ICT 等の活用による医療現場の変化は、医療提供体制そのものの再定義や再構築の必要性をはらんでいます。さらに、国民健康保険(国保)運営主体の2018年度の都道府県への移管を皮切りとした、保険者の財政基盤の強化と運営能力の向上、保健医療政策への積極的関与を目指した保険者機能強化の動きが進行しています。本セッションでは、こうした状況の中、新たなテクノロジーの活用支援政策はどうあるべきか、医療提供体制の効率化と質の向上のために求められる論点は何か、あるべき保険者の役割は何か、被保険者、国民にとって効率的で求められる医療提供体制は何か、論点を抽出しビジョンを示しました。
パネリスト:
首藤 健治(神奈川県 副知事)白川 修二(健康保険組合連合会 副会長)鈴木 俊彦(厚生労働省 保険局長)
モデレーター:
髙松 真菜美(日本医療政策機構 マネージャー)
セッション2:スペシャル・ダイアログ「日本医師会横倉会長と考える 『持続可能な保健医療システム』とは」
日本が世界に誇る保健医療システムの持続可能性と、次々と生まれるイノベーションの正しい評価のバランスをいかにして取っていくか。そして、これからの医療は、医療者はどうあるべきなのか。
本セッションでは、日本の医療界に最も大きな影響力を持つ横倉会長のパーソナルヒストリーにも迫りつつ、90分の間じっくりとお話を伺いました。このダイアログを通じて、今の私たちが直面している変化、そしてその先に創り上げるべき医療の姿を、会場の皆様も交えて考える機会となりました。
ゲスト:
横倉 義武(日本医師会 会長/世界医師会 会長)
聞き手:
小野崎 耕平(日本医療政策機構 理事)
セッション3:「保健医療の未来」
ヘルスケアを含む世界中のあらゆる分野において、人工知能(AI)を活用した診断技術の開発やビッグデータを活用したイノベーションが促進されています。海外に目を向ければ、地域医療の現場において、慢性疾患の患者データを多様なデバイスから収集し、きめ細かいサポートや早期介入を実現するなどの事例が登場しており、日本発の取り組みが海外で進展する事例も出始めています。また日々進化するAIによる診断予測など診断支援技術によって、医療の質の向上・効率化が大きく進展することが期待されています。では今後、我が国は進化するヘルスケア領域において、どのようなビジョンを目指すべきなのか。政策はどのようにビジョンを支援できるのか。具体的な好事例や次のステップは何か。現場を知る産官学民の有識者が次の打ち手について皆様と共に議論を深めました。
パネリスト:
江崎 禎英(経済産業省 商務・サービスグループ 政策統括調整官(兼)内閣官房 健康・医療戦略室 次長)島原 佑基(エルピクセル株式会社 代表取締役)宮田 裕章(慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学教室 教授)
モデレーター:
武藤 真祐(日本医療政策機構 理事)
閉会の辞
代表理事・黒川清より、参加者の皆さまへの感謝と、これからの時代に向けた想いをお伝えしました。
共催:政策研究大学院大学
協賛:サノフィ株式会社、みらかホールディングス株式会社 (五十音順)
後援:厚生労働省、外務省
(写真: 井澤 一憲)
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