【政策提言】疼痛対策シリーズ「片頭痛対策に関する政策提言~生活者のためのイノベーション普及に向けて~」(2026年6月9日)
日付:2026年9月2日
タグ: その他の活動
※政策提言の概要版を公開しました。政策提言の英語、英語概要版を公開しました。(2026年9月2日)
※ 改訂版を公開しました。(2026年10月8日)
2026年6月9日、日本医療政策機構(HGPI)では、政策提言「片頭痛対策に関する政策提言~生活者のためのイノベーション普及に向けて~」を公表しました。
<POINTS>
- 片頭痛は日本において15歳以上の約840万人(小児を含めると約1,000万人規模)が罹患する国民的疾患でありながら、「誰にでもある頭痛」として軽視され、多くの患者が専門的な治療につながっていない。
- 女性に多く(男性の約3.6倍)、就労・育児・介護を担う30~40代に集中するため、女性活躍推進・労働生産性・少子化対策とも密接に結びつく。
- 患者・医療者・医療制度それぞれの「合理的選択」が重なり、普及啓発だけでは打破が困難な強固なクリニカル・イナーシャ(臨床的惰性)の構造が形成されている。
- 教育・診療報酬・法制度・産業政策にわたる横断的・一体的な8つの政策提言を示す。
片頭痛は世界的に約11~12億人が罹患する慢性神経疾患であり、国際的にも「治療ギャップ(Treatment Gap)」の克服が政策課題として認識されています。しかし日本では、頭痛専門医の不足、プライマリケアにおける診断・紹介体制の未整備、学校・職場での頭痛教育の遅れ、行政の所管部署の不在といった構造的課題により、対応が遅れています。
本提言は、片頭痛専門医3名への有識者ヒアリング、医師・患者を対象としたエスノグラフィー調査、国際文献レビューの知見を統合して作成しました。これらを通じて浮き彫りになったのは、患者は痛みを諦め、専門外の医師は患者が求めるものだけに応え、制度は停滞を是正するインセンティブを欠くという、三層が相互強化するクリニカル・イナーシャの構造でした。この連鎖を断ち切るには、普及啓発を超えた包括的な政策介入と、「患者参加型医療」「患者中心の医療」の視点が不可欠です。
本提言では、以下の8つの政策提言を行っています。
- 社会全体への普及啓発の推進と疾患認知度の向上
- 学校教育における片頭痛・頭痛教育の制度化
- プライマリケアから専門医への体系的紹介体制の整備
- 診療報酬体系の見直しによる専門的頭痛診療の適切な評価
- 企業(事業主・保険者)における片頭痛対策の健康経営施策への組み込み強化
- 患者・市民参画を基盤とした片頭痛政策への転換
- 新規治療薬へのアクセス改善と経済的障壁の軽減
- 行政における片頭痛対策推進体制の整備と法的根拠の確立
これらは相互に補完しあう一体的なパッケージとして設計されており、学校・職場・医療機関・行政が連携して取り組むことで最大の効果が期待できます。840万人の患者とその家族・職場・学校を巻き込む片頭痛は、まさに「生活者の疾患」です。本提言が、片頭痛対策に関わるすべての方々にとって、課題の共通認識を深め、具体的な行動への一助となることを願っています。
本提言書は、ヒアリングをもとに、独立した医療政策シンクタンクとして日本医療政策機構が取りまとめたものであり、アドバイザーなどの関係者、および関係者が所属する団体の見解を示すものでは一切ありません。
なお、詳細につきましては下記PDFをご覧ください。
調査・提言ランキング
注目の投稿
-
2026-08-28
【お知らせ】第3回「黒川清賞」候補者推薦を募集(2026年11月30日締切)
-
2026-09-17
【申込受付中】(オンライン開催)第145回HGPIセミナー「高齢者施設におけるより良いAMR対策に向けて―超高齢社会の感染症対策を政策的な視点から考える」(2026年10月27日)
-
2026-10-06
【申込受付中】(オンライン開催)第146回HGPIセミナー「臓器提供をめぐる選択を支える社会をどうつくるか―戦略的ソーシャルマーケティングから考える国民の意思決定と多層的アプローチ―」(2026年11月9日)
-
2026-10-19
【HGPI 政策コラム】(No.78)―血液疾患プロジェクトより―「長期化する血液がん治療における生活の質(QOL)―カナダの経験から―」



