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【政策提言】これからの認知症政策2022 ~認知症の人や家族を中心とした国際社会をリードする認知症政策の深化に向けて~(2022年7月13日)

【政策提言】これからの認知症政策2022 ~認知症の人や家族を中心とした国際社会をリードする認知症政策の深化に向けて~(2022年7月13日)

日本医療政策機構 認知症政策プロジェクトではこの度、政策提言「これからの認知症政策2022 ~認知症の人や家族を中心とした国際社会をリードする認知症政策の深化に向けて~」を公表いたしました。なお、詳細については下記PDFをご覧ください。


■政策提言の背景

日本における認知症政策は、関係者の努力により着実な進展を遂げてきました。特に、2000年の介護保険制度成立以降、認知症の人や家族の尊厳を重視し、「地域包括ケアシステム」の概念を軸として、医療や介護をはじめとしたマルチステークホルダーによる連携が進んでいます。政策面でも、2012年の「認知症施策推進5ヵ年計画(オレンジプラン)」、2015年の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」、そして2019年には初の国家戦略として「認知症施策推進大綱」が策定されました。国際社会においても、各国の平均寿命の延伸に伴って、認知症対策は喫緊の課題となっています。2013年12月に英国ロンドンで開かれた「G8認知症サミット」によって、国際社会における認知症政策が大きく進展しました。この会議をきっかけとして世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)が発足したほか、「宣言」「共同声明」に基づき、各国が認知症政策の充実に取り組んできました。また世界保健機関(WHO: World Health Organization)も、2017年に「Global action plan on the public health response to dementia 2017-2025」を公表し、世界各国が認知症政策を策定し、取り組むことを後押ししています。国際社会における認知症政策進展の機運はこの10年で大きく高まっている一方、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、改めて取り組みの強化を再提起する必要があります。まもなくG8認知症サミットから10年、そして2023年には日本で主要国首脳会議(G7サミット)が開かれるというタイミングにあります。そこで、日本医療政策機構では、国際社会における認知症政策のさらなる強化に向けて日本が目指すべき方向性を示すべく、長年にわたる本プロジェクトの活動を通じて得られた知見を基に政策提言を策定しました。


■政策提言

視点1:社会環境

  • 「理解し、見守り、支援する」から「認知症の人と共に生きる・共に創る」へ進化する必要性
  • 医療介護福祉セクターを超えて、小売事業者や公共交通機関などの事業者とともに、暮らしやすい地域を当事者とともに作る必要性
  • 当事者組織をはじめとした市民社会活動の活発化支援、地域レベルでの当事者リーダーの育成の必要性

視点2:ケア

  • 認知症のリスク因子に関するエビデンスを基にしたリスク低減に関する取り組み拡充の必要性
  • 当事者ニーズに基づいた「早期発見・早期対応」推進の必要性
  • 認知症介護をはじめとするケアワークの価値や重要性を社会全体で共有できるよう、ケアの質や専門性の評価指標や評価体制の在り方を検討する必要性

視点3:研究

  • 資金を継続的に確保し、中長期的に日本における認知症研究を成長させる必要性
  • リアルワールドデータの活用や、国際的な共同研究・データシェアを促進する必要性
  • 市民が参加しやすい研究開発プラットフォームを構築する必要性
  • 認知症の人の暮らしを支える商品やサービスを評価するユーザー目線の指標を整備し、「認知症フレンドリーマーケット」を創出する必要性

視点4:政治的リーダーシップ

  • 2023年に日本で開催されるG7会合において、認知症を主要政策課題として取り上げる必要性
  • 認知症基本法の早期制定の必要性
  • 社会保障財政の安定に向け、負担を分かち合う改革への国民理解を促す必要性
  • 地方自治体における「認知症条例」を通じた地域づくりを進展させる必要性

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