【メディア掲載】「アメリカにおける医師の特性と製薬業界との経済的なつながりに関する研究」(BMJ Open, 2019年9月20日)
日付:2019年10月17日

日本医療政策機構理事 津川友介とUCLAのチームが行った研究結果が、英国の医学雑誌BMJ Openに掲載されました。
アメリカでは2010年に制定されたPhysician Payment Sunshine Actにより、製薬企業や医療機器メーカーが医師に対して支払った報酬に関して透明性を高めることが義務付けられました。2012年からはホームページ上で、このデータを見ることができるようになりました。今回、UCLAの研究チームは、2015~2017年のデータ(医師54万人のデータ)を用いて、どのような特性の医師がより製薬企業などとの経済的なつながりが強いのかを検証しました。
製薬会社などからの報酬は数少ない医師に集中していることが分かりました。トップ1%の医師が全支払額の73%を、トップ5%の医師が91%を受け取っていることが明らかになりました 。
医師の特性に関しては、男性医師、臨床経験が21~30年の中堅医師、医学部ランキングでトップ50の医学部出身の医師の受給額が多いことが明らかになりました。専門科に関しては、整形外科、脳神経外科、内分泌内科の医師の受給額が多いと言う結果でした。
(注)これらの「報酬」はお金の形で医師に提供されているものだけではなく、実は多くは勉強会におけるお弁当や飲み物、文房具などのアメニティ、交通費などの形で提供されているものであることが知られています。一般の方がイメージする金銭供与のようなものとは違うと理解してください。それでも尚、医師の処方行動に影響を与える可能性が示唆されており、アメリカでは問題視されています。
調査・提言ランキング
- 【当事者の声】薬剤耐性 伊東幸子氏 非結核性抗酸菌症(2022年3月18日)
- 【政策提言】「がんゲノム医療」への患者アクセスの改善に向けて(2023年8月10日)
- 【政策提言】プラネタリーヘルスの視点から考える2023年UHC政治宣言に対する期待(2023年9月8日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【緊急提言】少子化時代における我が国の産科医療体制のあり方について(2023年9月15日)
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【調査報告】「社会経済的要因と女性の健康に関する調査提言」(2023年3月6日)
- 【出版報告】「各都道府県における循環器病対策推進計画の展開と発展に向けて~課題と好事例から考える循環器病対策~」(2023年9月7日)
- 【お知らせ】パンデミック予防・備え・対応に関する国連ハイレベル会合におけるアクションを求める公開書簡に署名(2023年9月12日)
- 【お知らせ】「COP28開催まで100日:大気汚染を議題に盛り込むよう緊急要請する公開書簡」に署名(2023年9月4日)