【開催報告】第38回特別朝食会「『骨太の方針』と日本の社会保障制度改革のゆくえ」 新浪剛史氏(2017年6月14日)
日付:2017年6月14日
経済財政諮問会議の民間議員である、サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長の新浪剛史氏をお招きし、特別朝食会を開催いたしました。
■講演の概要
経済財政諮問会議の答申を受けて、2017年6月9日に、「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太の方針)が閣議決定された。骨太の方針は、財政の健全化と安定した経済成長を目指すためのフレームワークの役割を果たしている。
経済財政諮問会議が、社会保障について積極的に言及するのは、現在の国家財政の中で歳出の約33%を社会保障支出が占めているからである。抜本的な改革を進めることによって、社会全体の生産性向上と国民皆保険を中心とした社会保障制度の維持を進め、国民全体の生活の質(QOL: Quality of life)の向上を目指していく。削減するだけが改革でなく、人的資本の質を高め、社会全体の潜在成長率を引き上げることが骨太の方針が目指す姿である。
今回の「骨太の方針」において、
私がこだわった社会保障改革のポイントは以下の5点である。
①医療費の地域差の半減を目指す
②薬価制度の抜本改革を実施する
③薬局の機能・価値向上を目指す
④後期高齢者医療制度への支援金の加減算を法定上限まで実施する
⑤調整交付金制度を見直す
「骨太の方針」の策定に向けた議論の過程では、今後の日本の社会保障制度を維持するためのエビデンスの重要性について議論が交わされた。団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度に向けて、データヘルスの活用を重視し、社会保障分野における多様なデータの「見える化」を進めていく。
持続可能な医療システムの構築に向けて、医療の軸足は今後、「cure」から「care」へと移っていく。新しい技術を積極的に活用しながら、健康寿命の伸長、結果として国民のQOLが向上することを我々は最終目標と考えている。
会場との質疑応答では、今回発表された骨太の方針の具体的な内容についてのコメントや、医療の目指すべき方向性についてなど、活発な議論が行われました。
調査・提言ランキング
- 【開催報告・提言】医療DXプロジェクトエキスパート・パネル会合~論点整理~(2024年4月2日)
- 【政策提言】肥満症対策推進プロジェクト2023「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策の実装を目指して」(2024年4月8日)
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【政策提言】当事者目線の痛み対策を実現する、包括的な疼痛ケアシステムの構築に向けて(2024年3月29日)
- 【出版報告】医療政策の形成過程における患者・市民参画(PPI)の手引き―患者・市民と行政それぞれに求められる取り組みとその好事例(2024年3月31日)
- 【開催報告】プラネタリーヘルス専門家会合「持続可能な保健医療を目指して:パンデミック下における環境汚染と医療廃棄物の影響からの学び」(2024年2月16日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【お知らせ】グリーン保健医療システムの構築に向けた大きな一歩:世界保健機関(WHO)執行理事会における日本政府代表団による「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH)」への正式な関心表明を支持(2024年2月16日)
- 【政策提言】腎疾患対策推進プロジェクト 2023「患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて」政策提言・地方自治体における慢性腎臓病(CKD)対策好事例集(2024年2月14日)
- 【調査報告】「認知症施策の国際比較・情報発信に関する調査研究」(2024年4月10日)
注目の投稿
-
2024-04-22
【申込受付中】(ハイブリッド開催)「難病の日」シンポジウム「患者・市民の視点から考えるこれからの難病対策」(2024年5月23日)
-
2024-04-23
【申込受付中】第125回HGPIセミナー「我が国におけるアルコール健康障害対策の歩みと今後の展望」(2024年5月24日)
-
2024-04-26
【政策提言】肥満症対策推進プロジェクト2023「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策の実装を目指して」(2024年4月8日)
-
2024-05-01
【申込受付中】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム2024(2024年5月1日)
-
2024-05-02
【募集予告】医療政策アカデミー第13期「1人の市民として医療政策を展望する」(2024年8月開講)