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【開催報告】国際シンポジウム「超高齢社会に求められる予防接種・ワクチン政策の再設計 ―日本、アジア太平洋、世界の健康長寿と経済成長を支えるために―」(2026年3月11日)

【開催報告】国際シンポジウム「超高齢社会に求められる予防接種・ワクチン政策の再設計 ―日本、アジア太平洋、世界の健康長寿と経済成長を支えるために―」(2026年3月11日)

2026年3月11日、高齢化に関する世界連合(GCOA: Global Coalition on Aging)と健康長寿と成人ワクチン推進に関するアジア太平洋コンソーシアムは、日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)と協力し、超高齢社会で期待される予防接種・ワクチン政策の在り方に関するシンポジウムを開催しました。

アジア太平洋地域の多くの国で高齢化が進むなか、日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎え、現在では国民の約半数が50歳以上となっています。高齢化に伴い、医療・介護を含む社会保障負担が増加する一方で、働く世代が健康を維持し、長く就労を継続できる環境づくりが、医療費の抑制と経済成長の両立に向けた鍵となっています。

その実現に向けて、成人を主たる対象とするワクチン接種は、感染症の予防にとどまらず、慢性疾患の重症化予防や死亡率低下、生産性向上や医療費削減など、健康と経済の両面で重要な役割を果たしうると期待されています。しかし、多くの成人向けワクチンは、小児向けワクチンと比べて制度的な支援が限定的であり、日本では「B類疾病」に位置づけられることで、公費負担が相対的に小さく、接種も任意にとどまっているのが現状です。

今後、超高齢社会がさらに進展し、医療・介護ニーズが一層多様化するなかで、成人向けワクチンの位置づけと接種率向上に向けた政策的対応を検討することが求められます。また、高齢化が進むアジア太平洋地域各国の取り組みや、日本の経験から得られる示唆を整理し共有することも重要です。本シンポジウムでは、成人向けワクチンを中心に、予防接種・ワクチン政策の今後について、健康、倫理、経済、保健医療システムの持続可能性など多様な観点から、国内外の専門家とともに議論を深めました。


主な議論のポイント

  • 高齢化の捉え方を「長寿」から「健康長寿」へ転換し、シルバーエコノミーの考え方を通じて人口動態の変化を経済成長へと繋げる
  • 20世紀における公衆衛生の進歩(衛生環境の整備、抗菌薬の普及、小児向けの予防接種)が長寿をもたらしたことを踏まえ、健康長寿を支える中核的な存在として、成人向けの予防接種を位置づける。同時に、成人向けの予防接種を保健・社会保障・経済、そして薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)対策のいずれにも資する施策として推進する
  • 予防接種・ワクチン政策にライフコース・アプローチを取り入れ、小児期が中心となりがちな従来の枠組みを超えて、全年齢層を対象とした接種体制を整備する
  • 11年ぶりに改定された予防接種基本計画をはじめ、超高齢社会に対応した科学的根拠に基づく枠組みを構築する
  • ワクチンに関する誤情報に的確に対処しながら、国民の信頼を守り、接種率を維持するため、科学的根拠に基づいた明確なコミュニケーション戦略を描く
  • 成人向けワクチンに関するモニタリングや評価、科学的根拠に基づく政策立案を支えるためのサーベイランスおよびデータ基盤を強化する
  • 入院の回避、介護費用の削減、高齢者の就労継続による経済効果などを定量化し、成人向けワクチンの投資対効果を示す
  • 成人向けワクチンを慢性疾患の管理およびプライマリケアに組み込み、デジタルツールや行動変容を促すインセンティブを活用して、接種率の向上を図る
  • 中央政府による財政支援と技術支援のもとで、地方自治体の予防接種事業体制を強化し、誰もが予防接種・ワクチンに公平にアクセスできる環境を整える
  • アジア太平洋地域および国際社会との連携を強化し、知見の共有、資金ギャップの解消、急速に高齢化が進む各国や地域における成人向けワクチンの接種体制の拡充を進める
  • 政府、企業、地域リーダー、金融機関など多様なステークホルダーの参画を促進し、健康長寿に関する取り組みを政策から実践へと着実に進展させる

 

【開催概要】

  • 日時:2026年3月11日(水)16:00-18:00
  • 形式:対面(招待制)
  • 会場:国際文化会館(東京都港区六本木5-11-16)
  • 言語:日本語・英語(同時通訳あり)
  • 共催:高齢化に関する世界連合(GCOA: Global Coalition on Aging)
    健康長寿と成人ワクチン推進に関するアジア太平洋コンソーシアム(AP-CHAAI: Asia-Pacific Coalition for Healthy Aging and Adult Immunization)
  • 協力:日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)

 

【プログラム】(敬称略・五十音順)

16:00-16:15 開会挨拶・趣旨説明
マイク ホーディン(Global Coalition on Aging CEO)
乗竹 亮治(日本医療政策機構 代表理事・事務局長)
16:15-16:20 ビデオメッセージ 「健康⾧寿と経済成⾧を支える予防の役割」
イアン バー(世界保健機関(WHO: World Health Organization)インフルエンザ 協力センター 副所⾧/健康⾧寿と成人ワクチン推進に関するアジア太平洋コンソーシアム(AP-CHAAI)ステアリングコミッティメンバー)
ベルトラン グルース(国際通貨基金(IMF: International Monetary Fund) 調査局 課⾧補佐)
16:20 -16:35 基調講演「日本における予防接種・ワクチン政策の課題と今後の展望」
押谷 仁(東北大学大学院医学系研究科 医科学専攻 病理病態学講座 教授)
16:35-16:45 事例紹介「成人ワクチン接種推進に向けた自治体の取り組み」
ウォーレン ヘポレット(英国 マンチェスター市 予防政策ディレクター)
ジリアン マクラウクラン(英国 ソールフォード市 公衆衛生サービス企画・保健保護部門ディレクター)
16:45-17:55 パネルディスカッション「超高齢社会に対応できる予防接種・ワクチン政策を描く」

登壇者:
岩田 敏(予防接種推進専門協議会 委員長)
鈴木 基(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 感染症疫学センター センター長)
鷲見 学(厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部⾧)*
ロッテ ストイテン(医療経済研究所(OHE: Office for Health Economics) 副所長)
イー チュン チェン(台湾 国立衛生研究院 感染症・ワクチン研究所 所⾧・特別研究員/健康⾧寿と成人ワクチン推進に関するアジア太平洋コンソーシアム(AP-CHAAI) ステアリングコミッティメンバー)
エミコ マサキ(アジア開発銀行(ADB: Asian Development Bank)主任保健専門家)

*代理 前田 彰久(健康・生活衛生局 感染症対策部 予防接種課 課長)

モデレーター:
マイク ホーディン(Global Coalition on Aging CEO)
乗竹 亮治(日本医療政策機構 代表理事・事務局長)

17:55-18:00 閉会の辞
仁木 博文(衆議院議員)

 

(写真:井澤 一憲)

 

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