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【開催報告】認知症政策プロジェクト 公開シンポジウム 「特発性正常圧水頭症(iNPH)対策の課題と展望~治療で改善できる認知症へのフォーカス~」(2022年8月24日)

【開催報告】認知症政策プロジェクト 公開シンポジウム 「特発性正常圧水頭症(iNPH)対策の課題と展望~治療で改善できる認知症へのフォーカス~」(2022年8月24日)

※シンポジウムの報告書を公開いたしました。(2022年11月22日)
※シンポジウムのアーカイブ動画を公開いたしました。(2022年10月5日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、2022年8月24日に公開シンポジウム「特発性正常圧水頭症(iNPH)対策の課題と展望~治療で改善できる認知症へのフォーカス~」を会場(TKP東京駅大手町カンファレンスセンター)とオンラインによるハイブリッド形式にて開催いたしました。

日本における認知症の人の数はまもなく700万人を超えるとされる現代において、高齢期においてもよりよい生活を送るためには、認知症に伴う症状の緩和や原因疾患の治療が望まれています。認知症の原因疾患の多くは治療が難しいとされる中で、特発性正常圧水頭症(iNPH: idiopathic normal pressure hydrocephalus)は「治療で改善できる認知症」とされ、その患者数は認知症の人の約5%程度の約37万人に上るとされています。また近年では認知症の主要な原因疾患とされるアルツハイマー病との併発も指摘されており、推計よりもさらに多くのiNPH患者の存在が指摘されているのが現状です。また、iNPHの適切な治療により得られる効果としても、寿命延伸のみならず、医療経済効果や転倒防止等、数多くのメリットが提起されつつあります。「治療可能な認知症に対する医療のあり方に関する調査研究事業」も厚生労働省老人保健健康増進等事業で実施される等、近年、政策的な重要性も徐々に高まっています。

一方で、iNPHの治療によって認知症の症状を改善させ、1人でも多くの当事者が質の高い生活を送るためには、多くの課題も散見されます。第一に、的確な早期診断が重要ですが、他の認知症諸領域に比べて、iNPHに対する市民社会および医療・介護提供者の認知度は決して高いとは言えないのが現状です。第二に、iNPHの場合、症状が多岐に渡るため、様々な診療科での診断を経た後、シャント術を行う脳神経外科医との連携等、専門領域をまたがる協働が必要となります。さらには、このような治療提供体制の拡充に向けては、地域格差も散見されるため、今後は全国均てん化も期待されます。

このような多岐にわたる課題を社会全体で解決していくべく、本シンポジウムでは、iNPHに関わる医療者、介護者、アカデミア、行政の他、患者当事者も含めたマルチステークホルダーと共に、現状の課題と必要な施策について議論を行いました。


■セミナー動画(約1時間55分(115分)・日本語のみ)

 

【開催概要】

  • 日時:2022年8月24日(水) 17:00-19:00
  • 形式:ハイブリット形式(会場とオンラインでの登壇・参加)
  • 会場:TKP東京駅大手町カンファレンスセンター
    (東京都千代田区大手町1-8-1 KDDI大手町ビル)/Zoomウェビナー
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料

 

【プログラム】(敬称略・五十音順)

17:00-17:05 開会・趣旨説明

  • 栗田 駿一郎(日本医療政策機構 マネージャー)

17:05-17:35 基調講演 「iNPHの概況と今後の課題」

  • 數井 裕光(高知大学医学部 神経精神科学教室 教授/日本正常圧水頭症学会 理事長)

17:35-18:05 リレートーク「私とiNPH-過去・現在・未来-」

  • 石井 一成(近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門 主任教授)
  • 伊関 千書(山形大学医学部 内科学第三講座 講師)
  • 後藤 美千代(iNPH当事者)
  • 中島 円(順天堂大学医学部 脳神経外科学講座 准教授)
  • 山田 茂樹(滋賀医科大学 脳神経外科学講座 助教)


18:10-18:55 パネルディスカッション「iNPH対策の進展に向けた地域における多職種連携体制の構築」

パネリスト:

  • 大河内 章三(けあプラン鳴子 主任介護支援専門員/ケアクリエイター)
  • 數井 裕光(高知大学医学部 神経精神科学教室 教授/日本正常圧水頭症学会 理事長)
  • 長田 乾(医療法人社団緑成会 横浜総合病院 臨床研究センター センター長/横浜市認知症疾患医療センター センター長)
  • 前田 達浩(医療法人社団山本・前田記念会 前田病院 副院長/東京都地域連携型認知症疾患医療センター長・正常圧水頭症センター長)

モデレーター:

  • 河田 友紀子(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)

  


指定発言:

  • 中西 亜紀(厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 課長補佐(医系技官))

18:55-19:00 閉会の辞

  • 熊野 正士(参議院議員/共生社会の実現に向けた認知症施策推進議員連盟 幹事)

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