【開催報告】日・デンマーク専門家会合「薬剤耐性(AMR)というサイレント・パンデミックとの共闘」(2022年8月31日)
日付:2022年10月5日
タグ: AMR
日本医療政策機構は、8月31日、駐日デンマーク大使館、デンマーク王国保健省、厚生労働省、AMRアライアンス・ジャパンと共催で、「薬剤耐性(AMR)というサイレント・パンデミックとの共闘」をテーマに、専門家会合を開催しました。
デンマークは、世界に先駆けてバイオバンクを整備したことでも知られ、世界をリードするライフサイエンス企業も多く抱えています。また、畜産業も盛んであり、グローバルヘルス領域での貢献も顕著なことから、AMR領域でもリーダーシップをとっており、これまで日本とも多様な連携を重ねてきました。
本会合では、デンマーク王国保健省からMagnus Heunicke氏(デンマーク王国保健大臣)、厚生労働省から日下英司氏(厚生労働省 大臣官房 国際保健福祉交渉官)らが登壇し、産官学民のマルチステークホルダーによる活発な意見交換が行われました。
当日は、まず日本やデンマークにおける政府、研究機関、民間企業、官民連携パートナーシップなどによる好事例が紹介され、今後のさらなる連携の可能性が議論されました。
また、後半のパネルディスカッションでは、下記の論点をはじめ多くの視座が提起されました。
- AMR対策の推進においても、データヘルスの推進が必要である。AMRに特化したデータプラットフォームの構築から始動するのではなく、感染症対策や保健医療システム全体を俯瞰したうえで、国際連携を前提とした、全体最適化が可能なデータプラットフォーム構築を進めるべき。
- AMRに関する情報収集メカニズムは、ウイルスや細菌の固有情報などを含めた重層的なものを構築すべき。
- AMR対策の推進には、一般市民の理解が不可欠であり、普及啓発の好事例や教訓についても、国際的に共有を進めるべき。
- 新規抗菌薬の研究開発は、市場メカニズムが機能しておらず、プル型インセンティブの導入が必須であり、国際協調が求められる。諸外国で進むプル型インセンティブ施策について、常に情報共有を進めるべき。
- AMR対策は、研究開発の推進みならず、低中所得国を含めた薬剤や検査機器へのアクセスや供給ネットワークの拡充、専門家の人材育成、検査体制の構築、治療など、フェーズが多様に存在している。またステークホルダーも多岐にわたるため、包括的に議論ができるプラットフォーム機能が引き続き必要である。
- ヒト領域のみならず、畜産領域でもAMR対策は喫緊の課題であり、医療保健領域の専門家も、ワンヘルス・アプローチの推進を積極的に提起し続けるべき。
- AMR対策に関する上述のいずれの視点も、国際連携が不可欠であり、G7、G20や、グローバルヘルスに関する多様なプラットフォームにおいて、今後、日本およびデンマークが、各国とともに引き続き連携し、リーダーシップをとっていくべき。
日本医療政策機構は、引き続きAMR対策を推進すべく、事務局を務めるAMRアライアンス・ジャパンの活動等を通じて、国内政策および国際連携の進展に向けて貢献してまいります。
【開催概要】
- 日時:2022年8月31日(水)13:30-15:30
- 会場:グローバルビジネスハブ東京
- 言語:英語
- 共催:駐日デンマーク大使館、デンマーク王国保健省、厚生労働省、AMRアライアンス・ジャパン、日本医療政策機構
【プログラム】(敬称略・順不同)
13:30-13:35 開会の挨拶「AMRを取り巻くデンマークの取り組み」
- Magnus Heunicke(デンマーク王国保健大臣)
13:35-13:40 開会の挨拶「AMRを取り巻く日本の取り組み」
- 日下 英司(厚生労働省 大臣官房 国際保健福祉交渉官)
13:40-14:30 専門家による発表
- Lars Fruergaard Jørgensen(ノボ ノルディスク ファーマ社長兼最高経営責任者)
- 片桐 直子(アンブ株式会社 シニアマーケティングマネージャー)
- 大曲 貴夫(国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長/国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター センター長)
- 澤田 拓子(塩野義製薬株式会社 取締役副社長)
- Robert Skov(International Centre for Antimicrobial Resistance(ICARS)科学ディレクター)
- 菅井 基行(国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター センター長)
- 梅野 哲嗣(シスメックス株式会社 HUP事業本部 プライマリケア事業推進部 課長)
- Henrik Ullum(Statens Serum Institut(SSI)最高経営責任者)
- 藤江 昭彦(日本医療研究開発機構 創薬事業部 創薬企画・評価課 東日本統括グループ 主幹創薬コーディネーター)
- John Paul Pullicino(ファイザー株式会社 取締役 ファイザー病院事業本部 アジア開発担当兼日本ゼネラルマネージャー)
14:30-15:30 専門家会議
議題1:AMR対策における具体的行動(市場メカニズム、スクリーニング)
議題2:ワンヘルス・アプローチ
議題3:未来に向けてのグローバルな連携
モデレーター:
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
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