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【開催報告】第63回定例朝食会「これからの地域保健医療と健康増進政策」(2017年9月6日)

【開催報告】第63回定例朝食会「これからの地域保健医療と健康増進政策」(2017年9月6日)

今回の定例朝食会では、地域における保健医療のあり方、健康増進政策について、東海大学教授堀真奈美氏にお話しいただきました。

■講演の概要
超高齢化社会において日本の医療提供体制は転換期を迎えている。日本の医療提供体制はOECDデータによると諸外国と比較して平均在院日数が長く、1病床あたりの医療従事者は少ないという特徴がある。多くの病院では、平均在院日数の短縮と1病床あたりの医療従事者数を増やす方向で検討を重ね、急性期特化、高密度医療の方向に動いている。また、退院後の介護の現場として病院の受け皿となる地域と病院との医療連携を強化していこうというのが現在の医療提供体制の流れである。従って、これからの医療提供体制は、地域を含めて考える必要がある。2014年に制定された「医療・介護総合確保推進法」の中でも医療・介護提供体制や地域包括ケアシステムの構築および推進はポイントとなっている。さらに地域では予防も含めたウエルネス社会の構築をしていく必要があるだろう。厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムは、地域社会での互助が中心となり、お互いに支えあうことができる社会を作ろうという動きである。しかし、制度が異なる医療、介護、福祉の連携をどうするかはこれからの課題である。診療報酬、介護報酬におけるインセンティブや総合診療医の役割を果たす「かかりつけ医」を地域でどのように機能させるかも検討していかなければいけない。これらは、超高齢・人口減少社会の中で、社会保障制度を維持していくための制度でもある。2018年の診療・介護報酬ダブル改定を見据え、医療介護の連携におけるICTの活用や予防の推進及び介護職の確保も課題として取り上げている地域も多い。

 

地域包括ケアシステムは地域の健康経営戦略でもあり、高齢者世代のみならず、すべての世代の問題に対処する必要がある。そのためには地域と多様な資源をマネジメントができる人材が必要である。近年、医療制度改革において健康増進を支援する施策が推進されており、各地で高齢者のフレイル対策、ロコモ予防などが実施されている。この運営にあたっては専門職だけでなく住民主体で行っている自治体もある。日本で2000年に始まった施策「健康日本21」においては、健康づくり支援のための環境整備や運動の目的を達成するためには、生活習慣を改善し、健康づくりに取り組もうとする個人を社会全体として支援していく環境を整備することが不可欠であると考えている。この健康日本21の推進によりメタボリックシンドロームなどが定着し、国民の健康意識が高まった。ただし、地域の取組への参加は、個人の主体的な意思に任せており、今後は主体的でない人を地域でどのように支えていくかが課題になるだろう。従って、これからの地域に必要な人材は、医療ビックデータなどを分析し、地域の課題抽出ができ、地域資源をマネジメントでき、ソーシャルワークにおいて住民と協働できる人材が必要になる。東海大学の新しい学部では教育において現場を重視し、地域との協働をカリキュラムとして取り入れる予定にしている。学生時代に地域での保健医療・介護の現場を実際に見て、地域のニーズを肌で感じ、学んだ知識を今後に活かせる人材に育ってほしいと思っている。現場感を持った人材を輩出していきたい。

講演終了後は質疑応答が活発になされました。

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