活動報告 調査・提言

日本の医療に関する2006年世論調査

日本の医療に関する2006年世論調査

医療政策に関する2006 年世論調査

-要旨-
特定非営利活動法人日本医療政策機構では、2006年1月に、全国の20才以上の有権者を対象に世論調査(有効回収数:1,011人)を実施した。

本調査の目的は、国民が真に求めている医療政策について客観的なデータを収集することにある。国民の医療政策への問題意識を広く共有することにより、政策議論を活発化させ、日本の医療の改善に貢献したい。調査結果の詳細については、チャートを参照されたいが、要旨は以下の通りである:

1.国民の6割が現在の医療制度に不満。主な理由は市民不在の制度決定

・国民の不満が最も大きいのは、「制度決定への市民参加の度合」(76%)と「制度決定プロセスの公正さ(既得権益の排除)」(75%)。[図2]

・逆に「診断・治療等の技術の質」は質問項目中、唯一「満足」が「不満」を上回った。医療の内容そのものに対する不満よりも、政策プロセスに対する不満が大きい。[図2]

・「国の医療制度改革は、誰が主導して決定すべきか」との問い(3つまで回答可)には、「市民代表・患者代表」が最高の6割に上り、政策への市民参加を重視する声が確認された。[図4]

2.公共事業を減らし、社会保障費を増やすべき。社会保障費は増税で負担を

・政府支出総額については、減らす(50%)が増やす(19%)を上回った。[図5]

・内訳では、「公共事業」「防衛」の費用を減らし、「文教・科学振興」「社会保障」での支出を増やすべきとの国民の声が改めて浮き彫りになった。[図5]

・社会保障の規模については、「高齢化による増加分は負担を増やすべき」という4 割と、「現在の負担水準を維持し、高齢化による増加分は給付水準を引き下げるべき」という4割とに、大きく意見が分かれた。[図6]

・医療費が増大した場合の財源確保手段として最も多く選択されたのは公費(税金)で、「増やすべき」(34%)が「減らすべき」(17%)を大きく上回った。「患者窓口負担」と「保険料」については、「減らすべき」が「増やすべき」を上回った。[図7]

・社会保障費を消費税でまかなうこととした場合、国民の7割以上が税率引き上げはやむを得ないと考えている。ただし、そのうちの8割弱(全体の56%)は2~5%(税率7%~10%)の小幅な増税にとどめるべきと考えている。[図8]

3.「高齢者」「治療」中心から、「現役世代」「研究・予防・ケア」重視へ

・世代別の医療費の配分については、高齢者の医療費の配分を減らすべき(36%)という人が、増やすべき(16%)という人を大きく上回った。[図10]

・研究・予防・治療・ケアという医療の段階別の配分については、「増やすべき」の割合は、一位が「研究」(61%)、二位が「予防」(45%)、三位が「ケア」(36%)で、「治療」は最低の23%であった。[図11]

・予測・予防ができない救急や感染症等の自己負担を軽くして、予測・予防が可能な生活習慣病については自己負担を重くすべきという考え方には56%が賛成し、反対の42%を上回った[図12]。自己負担を増やす領域として、他にも小額医療(「賛成」30%)、先端医療(同28%)、延命治療(同46%)などの領域が議論されているが、過半数の賛成は得られていない。[図13]

<アンケート実施概要>
・調査時期:2006年1月
・対象者:全国の20歳以上の男女4,000人(二段抽出法)
・全国から、調査対象地域50地点を抽出(第一次抽出)
・対象地域の住民基本台帳から20歳以上の男女を各地点80名抽出(第二次抽出)
・有効回収数:1,011(回収率25%)

・回答者内訳

【地域別】
北海道・東北 12%
関東 36%
中部・東海 14%
近畿 18%
中国・四国 11%
九州・沖縄 8%
無回答 0%

【年齢別】
20~29歳 9%
30~39歳 13%
40~49歳 14%
50~59歳 25%
60~69歳 30%
70歳以上 8%
無回答 0%

【性別】
男性55%、女性43%、無回答2%

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