(開催報告) 医薬品アクセス向上のためのグローバル専門家会合 「日本のリーダーシップと日本による貢献の発信戦略」(2016年11月24日)
日付:2016年12月16日

2016年11月24日、六本木アカデミーヒルズにて「医薬品アクセス向上のためのグローバル専門家会合」を開催いたしました。
本会合は、医薬品アクセスに関する課題と日本の貢献、その発信戦略について、関係省庁、アカデミア、製薬企業、非営利団体等から集まった国内外の専門家が課題解決に向けた方策を議論する場となりました。グローバル製薬企業の新興国における医薬品アクセスへの貢献度に順位付けを行っているAccess to Medicine財団をオランダより招き、グローバルな見地から日本が国際社会でとるべき政策と役割、発信戦略の選択肢を示す会合となりました。
開会の辞・基調講演
当機構代表理事の黒川清より、本年G7議長国であった日本が今後どのようにグローバルヘルスへ貢献していくのか、国内外の専門家の知見を共有するダイアログの場という本会合の趣旨説明があり、開会しました。厚生労働省の山本尚子氏による基調講演では、日本政府の取り組みとして、G7伊勢志摩サミット、第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)、G7神戸保健大臣会合等、一連のグローバルヘルス課題への長期的な視座に基づいた貢献について強調されました。
特別講演「Access to Medicineインデックス2016」
新興国を中心に、未だに20億人には必要な医薬品が届かないという医薬品アクセス問題が存在しており、グローバルなレベルでの産官学連携による解決が求められています。この課題解決に対して、グローバル製薬企業の貢献度をランキングした「Access to Medicineインデックス2016」について、4つの重要項目、7つの専門領域、20社の詳細分析結果という観点から、Access to Medicine財団エグゼクティブ・ディレクターのJayasree K. lyer氏より説明がありました。また、インデックスに参画する日本の製薬企業4社に対しては、今後の飛躍へ大きな期待が寄せられました。
パネルディスカッション「医薬品アクセス向上における日本の課題と展望」
パネリスト
– Jayasree K. lyer(Access to Medicine財団 エグゼクティブ・ディレクター)
– 中谷 比呂樹(慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所 特任教授)
– 古賀 大輔(厚生労働省 大臣官房 国際課国際保健・協力室 室長補佐)
– 平手 晴彦(武田薬品工業株式会社 コーポレート・コミュニケーションズ&パブリックアフェアーズ オフィサー)
モデレーター
– 乗竹 亮治(日本医療政策機構 事務局長)
Access to Medicineインデックスでは、日本の製薬企業も一定の評価は受けているものの、下位に沈みがちな状況も見られます。グローバルヘルス分野での日本による産官学各界による貢献が、より一層、世界で充分に理解されることを目指して、今後、日本のリーダーシップや貢献のあり方と、その貢献の発信戦略の策定が急がれております。パネルディスカッションでは、関係省庁、産業界、国際機関関係者、アカデミアの方々に結集いただき、医薬品アクセスにおける国際的な貢献について、「これまでの貢献や好事例」「課題」「今後の展望や提言、必要な視座」等、活発な議論が行われました。また、インデックスをはじめとした、このようなランキングのあるべき姿や、あるべき指標についても、提言がなされました。
閉会の辞
外務省の日下英司氏は、日本国政府の外交戦略の柱となっている「人間の安全保障」が保健課題の中でも大きな意味を持ち始めており、医薬品アクセスの問題にも、官民一体となって推し進めていくことが重要であると述べられました。
開催日:2016-11-24
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