脳卒中政策フォーラム2011開催
日付:2011年1月26日

日本医療政策機構は、脳卒中関連団体の連合体である「脳卒中対策立法化推進協議会」と共催し、国会議員や脳卒中対策関係者を対象とした「脳卒中政策フォーラム2011」を開催いたしました(参議院議員会館特別会議室)。
当フォーラムは、脳卒中対策基本法成立を求める議論が活発になってきたことを踏まえ、2011年1月の通常国会の開会に合わせ緊急集会として開催されたものです。脳卒中は日本人の死因第三位であり、寝たきり原因の約三割を脳卒中などの脳血管疾患が占めています。脳卒中は予防・普及啓発や救急搬送に始まり、急性期医療、回復期リハビリテーションや介護と、包括的で横断的な対策が求められる疾病であり、脳卒中対策基本法は、日本脳卒中協会や日本脳卒中学会、各患者団体、学会、協会などにより、2008年頃から必要性が訴えられています。
当日は、国会議員、患者団体、医療関係者、報道関係者などが参加し、日本における脳卒中対策基本法の制定に向けて、積極的な議論が展開されました。国を挙げた包括的な脳卒中対策の策定に踏み切り、大きな成果を上げている英国およびカナダからも脳卒中対策の第一人者が来日し、その知見を共有しました。
英国のダミアン・ジェンキンソン氏(国民医療サービス(NHS)脳卒中改善プログラム、ナショナル・クリニカル・リード)から、英国では予防対策として、脳卒中啓発キャンペーンが実施され、国民の脳卒中に対する意識の向上が図られていること、脳卒中ネットワークの構築により、脳卒中の発症から治療、リハビリテーションにおける一貫したケアが可能となり、患者のQOLの向上および医療費の削減につながっている様子が報告されました。また、クリス・オキャラハン氏(オンタリオ脳卒中ネットワーク事務局長)は、カナダのオンタリオ州の脳卒中戦略策定の結果、地域脳卒中センターを中心に地域の病院、在宅医療、プライマリーケア間のネットワーク構築がなされ、救急体制の向上、再入院率の低下等の効果がみられたことが報告されました。いずれの登壇者からも、脳卒中対策計画の策定にあたっては、現場の医療者や各専門療法士、救急救命士、そして患者代表者など関係者が参画すること、定期的に政策評価をしていくことの重要性が指摘されました。
与野党の国会議員からは、脳卒中対策推進基本法の今国会での成立を目指し、超党派で議論を進めていく旨、双方から意見表明があり、基本法の成立に向けた超党派での取り組みの始動を予感させる集会となりました。
開催日:2011-01-26
調査・提言ランキング
- 【論点整理】ラウンドテーブル・ディスカッション「社会課題としての更年期女性の健康推進」(2024年11月19日)
- 【政策提言】「災害級の暑さ」への備えを骨太の方針2025に(2025年6月9日)
- 【政策提言】成長戦略としての「プラネタリーヘルス」の統合に向けて~新しい資本主義実行計画(2025年改訂版)への提案~(2025年6月9日)
- 【調査報告】「2025年 日本の医療に関する世論調査」(2025年3月17日)
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【政策提言】「がん遺伝子パネル検査への患者アクセス保障と保険外併用療養費制度活用にあたっての留意点」(2025年4月28日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【論点整理】血液疾患対策推進プロジェクト「血液疾患対策の推進に向けた現状の課題と展望」(速報版)(2025年6月13日)
- 【政策提言】肥満症対策推進プロジェクト2023「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策の実装を目指して」(2024年4月8日)
- 【調査報告】「2023年 日本の医療の満足度、および生成AIの医療応用に関する世論調査」(2024年1月11日)
注目の投稿
-
2025-01-31
【提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本の国際保健政策と国内プロセス」報告書(2025年1月31日)
-
2025-07-04
【申込受付中】(オンライン開催)第136回HGPIセミナー「精神保健研究におけるPPIの現在地とこれから ― TOGETHERプロジェクトに学ぶ共創のかたち ―」(2025年7月28日)
-
2025-07-04
【開催報告】循環器病対策推進プロジェクト オンライングローバルシンポジウム 「アジア・太平洋地域の政策事例とともに考える、これからの循環器病対策」(2025年3月13日)
-
2025-07-04
【HGPI政策コラム】(No.62)―認知症プロジェクトよりー「国際社会の認知症施策の現在地 2025」
-
2025-07-04
【政策提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本における『医薬品の費用対効果評価』のより良い活用に向けて」(2025年5月7日)