【開催報告】認知症にやさしい地域づくり 日英豪グローバル専門家会合(2019年2月14日)
日付:2019年2月21日
タグ: 認知症
2019年2月14日(木)、日本医療政策機構は、「認知症にやさしい地域づくり 日英豪グローバル専門家会合」を開催いたしました。
日本を筆頭に世界各国では、長寿による高齢化が進み、我が国でも、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築が求められています。認知症分野でも同様の認識の下、認知症になっても可能な限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けるために、「認知症にやさしい地域づくり」が各地域で進められています。こうした環境づくりでは、認知症の人や家族の多様なニーズを受け止め、効果的に実現していくことが期待されています。
特に認知症と診断されてから、医療・介護サービスが本格的に必要となるまでの期間は、本人や家族が認知症と共に生きる体制を整える大切な時間とされています。こうした診断直後の期間に、就労や社会参加の機会など社会の接点があることで、認知症の人が社会の一員としての役割を持ち続け、認知症と共に暮らしやすい環境をつくることができるとも期待されています。さらには、医療・介護サービス提供者だけでなく、地域住民や企業などマルチステークホルダーが連携し、「認知症の人や家族」と「地域社会」とのつながりを生み出すことも求められています。
本会合では、「認知症にやさしい地域づくり」に向けて、「認知症の人や家族」と「地域社会」とのつながりを生み出すための国内外での実践例や課題を互いに紹介し、日英豪の専門家による議論を深め、今後のあるべき打ち手を検討しました。
概要
■開会の辞
黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
■趣旨説明
栗田 駿一郎(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)
■基調講演1 「日本における認知症にやさしい地域づくりの推進」
田中 規倫(厚生労働省 老健局総務課 認知症施策推進室 室長)
■基調講演2 「認知症国家戦略とアルツハイマースコットランドの取り組み」
ピアソン ジム(アルツハイマースコットランド ポリシー・リサーチ ディレクター)
■基調講演3 「認知症ナショナルフレームワークとディメンシアオーストラリアの取り組み」
マッカーシー スーザン(ディメンシア オーストラリア クライアントサービス部 エグゼクティブディレクター)
■ラウンドテーブルディスカッション1
「認知症の人が社会の一員として暮らすための課題と展望 ~現場の視点から考える~」
このセッションでは、認知症の人や家族と地域社会をつなげるべく、現場の最前線で日々奮闘する日英豪のプロフェッショナルが議論しました。冒頭には各国からの事例紹介を設けることで制度の違いを理解しつつ、認知症の人が社会の一員としての役割を持ち、さらには活躍できる環境を生み出すための知恵と工夫を共有しました。
猿渡 進平(大牟田市役所 相談支援包括化推進員/白川病院地域医療連携室 室長)
澤登 久雄(社会医療法人財団 仁医会 牧田総合病院 地域ささえあいセンター センター長)
山崎 健一(GrASP株式会社 代表取締役社長/若年性認知症デイサービス トポス和果 代表)
ヴォイト リンゼイ(アルツハイマースコットランド リンクワーカー)
リエットディック アンナ マリア(ディメンシア オーストラリア ディメンシアアドバイザー)
堀部 賢太郎 (国立長寿医療研究センター もの忘れセンター連携システム室長 神経内科 神経機能診療科 医長)
進行:
進藤 由美(国立長寿医療研究センター 企画戦略局 リサーチコーディネーター)
■ラウンドテーブルディスカッション2
「既存の保健医療システムの課題と展望 ~認知症の人の尊厳ある暮らしの実現に向けて~」
このセッションでは、直前のセッションを踏まえて、既存のヘルスケアシステムの解決すべき課題やあるべき姿について議論しました。日々現場で奮闘するプロフェッショナルを支えるためにも、志のある住民や市民の参画の促進も大きな課題であり、地域の担い手不足は日本のみならず高齢化する先進国の課題です。専門職のみに頼るだけでなく、地域住民も含めて、認知症の人が社会の一員として尊厳のある暮らしを実現するために、日英豪の取り組みや課題を相互に共有し、あるべき姿を考えました。
粟田 主一(東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)
余語 卓人(厚生労働省 老健局総務課 認知症施策推進室 室長補佐)
ビーティー ジャン(アルツハイマースコットランド 人材開発部 副部長)
ウィリアムズ バーバラ(ディメンシア オーストラリア クライアントサービス部 ゼネラルマネージャー)
進行:
徳田 雄人(NPO法人認知症フレンドシップクラブ 理事)
■閉会の辞
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長)
後日、報告書を掲載いたします。
(写真: 井澤 一憲)
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