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【開催報告】第74回定例朝食会「2019年の新たなビジョン」(2019年1月11日)

【開催報告】第74回定例朝食会「2019年の新たなビジョン」(2019年1月11日)

日本医療政策機構

今回の朝食会は、毎年恒例となっている当機構代表理事 黒川 清による「2019年の新たなビジョン」として以下をテーマに、さまざまなトピックについて会場の皆さまと議論しました。
※当日配布した、黒川による「世界のエリートが読んでいる本」のリストは、下記よりダウンロードください。

■今年は日本にとって大事な一年
現在、世界に広がるトランプショック、ヨーロッパにおけるブレグジットショックなど、世界を取り巻く状況が猛烈に変化している。質の良い材料を使い、質の良い製造物を創り出す日本のものづくりは、今まで日本の土台として、経済成長を支えてきた。だが、これら日本を代表するものづくり企業によるスキャンダルが相次ぎ、今その土台が崩れつつある。
今年は、G20サミットが6月28日〜29日(大阪)、TICAD7(アフリカ会議)が8月28日〜30日(横浜)で開催される。世界中の情勢が安定していない中、これから世界がどのような方向へ進めば良いのか、G20サミットにおいて日本がどのようにリーダーシップを取るのか、世界中が注目している。

■平成の30年間を簡単に振り返る
「平成」の30年間の大きな変化として、グローバリゼーションの進展や、インターネットの普及といったテクノロジーの進歩が挙げられる。平成元年(1989)は、ベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終わりを迎えた年で、その2年後には当時のソビエト連邦が解体した。平成7年(1995)ごろまでは、日本社会全体がバブル景気の名残があり、景気もどうにか維持していた。その頃、インターネットが普及し始め、Windows95の発売によって、人々にとって新しい世界が開いたのではないだろうか。平成9年(1997)以降は、インターネットが本格的に人々に普及し始め、これまで隠すことができていた情報やデータが社会で共有されるような時代になった。
そして、平成22年(2010)12月18日、チュニジアのジャスミン改革から波及した「アラブの春」が起こった。そのわずか3ヶ月後、平成23年(2011)3月11日、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故が起き、日本だけでなく世界に激震が走った。この時期、私はTwitterを使うなかで次の2点に関する情報を特にフォロー、リツイートした。ひとつは、アラブで一体何が起きているのか。もうひとつは、世界のメディアは福島での原発事故について、どのような情報を発信しているのかについて、リツイートし情報を拡散した。世界が日本をどう見ているか、世界にどう日本が説明しているかが大事なのだ。内向きで何かを隠そうとする体制では世界は納得しない。福島の原発事故から8年経った日本は、どのように変われることができたのか。平成30年(2018)、これに関する論文をU Penn Law School発表した。皆さんも今一度問い直してほしい。

■ブレグジットと世界の右傾化
「アラブの春」は、ヨーロッパに大変革をもたらした。アラブの春以降、移民・難民を受け入れてきた英国、スウェーデン、オランダなどでは、ブレグジットや右派の台頭が見られている。世界が右傾化する背景として、もうひとつの問題は、富の流れが変わり中間層が消えたことである。福島の事故が起こる前は、資産ランキングのトップ340人の資産と、世界人口70億人分の下位半分の資産が同じだったが、平成23年(2011)にはその数が約200人、その後徐々に減り続け平成27年(2015)には62人となった。富が特定の人に集中する、つまり金持ちは、より金持ちになる社会になった。その一方で、こうした事実はインターネットから得ることができるため、社会に対して不満を抱える層も増えている。

■日本の課題
世界の状況や文脈を理解し、そのうえで日本を知り、世界で活躍できる人材を育てる必要がある。そこで、教育の目的とは何か、について改めて考えてほしい。日本の教育には、実体験に基づいた学び、歴史から学び、自分で考え提案していく機会が不足している。グローバリゼーションの進展の中で、自分の弱さを知ることも大切である。世界中が日本をどのように見ているかをもっと知ることが大事だ。福島の原発事故後、何も変わらなかった平成。何も変わらなかった日本。これからどうするかは皆さんにかかっている。

 

 


写真:高橋 清

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