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【開催報告】第73回定例朝食会「『2018年日本の医療に関する世論調査』から考える受動喫煙対策」(2018年10月23日)

【開催報告】第73回定例朝食会「『2018年日本の医療に関する世論調査』から考える受動喫煙対策」(2018年10月23日)

当機構で20186月に実施した「2018年 日本の医療に関する世論調査」(以下、世論調査)では、全国の20歳以上の男女1,000名を対象に、受動喫煙やヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン、終末期医療について調査を行いました。

世論調査の結果から、「路上」および「飲食店」において全体の6割が受動喫煙※1を経験していることが明らかになりました。また、全体の約6割が「行こうとしたお店が喫煙可(分煙を含まない)だったら、入るのを避ける」、および全体の約4割が「行こうとしたお店が分煙※2だったとしても入るのを避ける」という世論が明らかになりました。


こうした受動喫煙の実態、さらには今年7月に成立した健康増進法の流れ等を踏まえ、今回は、完全禁煙の飲食店を紹介するインターネットサイト「ケムラン」を運営される伊藤 ゆり氏(所属、以下参照)、および店内禁煙を推進されている飲食店の立場から養老乃瀧株式会社 店舗運営・開発グループの嶋田 和雄氏をお招きし、現在の取り組みについてご紹介いただきました。

※1受動喫煙とは、本人が喫煙していなくても、身の回りにあるたばこの煙を吸ってしまうこと
※2禁煙スペースと喫煙スペースを隔てる方法が社会に浸透していると鑑み、今回の世論調査では、「喫煙可」「分煙」「禁煙」と分類し、質問した

冒頭、当機構理事の小野崎耕平より、これまでに日本が実施してきた受動喫煙対策について、屋内禁煙への取り組みが緩かったことに触れつつ、我が国の約8割が非喫煙者であり、近年国内における「飲食店の禁煙化」に対し世論が高まってきている現状について説明が行われました。

■事例紹介1(伊藤 ゆり氏)
飲食店禁煙化の現状と影響について
20168月時点の食べログデータでみた都道府県別屋内禁煙の飲食店割合は、第一位が神奈川県である。神奈川県は、全国に先駆けて飲食店禁煙化に踏み切った県でもあり、他都道府県に比べてその割合が多い。飲食店経営者の方々が懸念している飲食店禁煙化による売上への影響について、実際は影響がないことが各国のレポートから明らかになってきている。また、「ミシュランガイド」掲載店舗全体の約5割が完全禁煙店舗であること、ミシュランガイド公式検索サイト「Club MICHELIN」の店舗検索条件で「完全禁煙割合」の項目があるのは日本だけであることからも、日本の飲食店禁煙化への対応は国際的にも遅れている。

屋内完全禁煙の飲食店を応援するサイトQuemlin【ケムラン】開設の経緯と特派員制度について
元々は伊藤氏自身も喫煙者だったが、がん疫学分野の研究者であることから、関係者の皆様に禁煙のお店を紹介したい、屋内完全禁煙を実施しているお店を応援したいという気持ちからこのサイトを始めた。

現在、Quemlin【ケムラン】掲載店舗数は459軒である。以前は自分の足で店舗へ出向き、調査、掲載を行なっていたが限界を感じ、またより多くの方に屋内完全禁煙の飲食店情報を届けるために、今年の世界禁煙デー(531日)から特派員制度をスタートした。ケムランのビジョンに賛同いただいた方々には、特派員(ボランティア)として実際に飲食店へ訪問し、「ケムラン条件」を満たしていることを確認していただいています。管理者である伊藤氏が大阪在住ということもあり、掲載店舗の地域性に偏りがある(大阪が最も多く139軒)が、今後も掲載店舗数の増加、および特派員募集を積極的に行なっていきたい。

屋内完全禁煙の飲食店を応援するサイトQuemlin【ケムラン】掲載店舗からの声
掲載店舗へのインタビューを実施した結果、以下のような反応があった。
―禁煙にした理由は?
・店主、家族の体調の変化があったから
・お客様からのクレーム&トラブルがあったから
・社会情勢に配慮したため
・非喫煙者の顧客が多かったから

―禁煙にしてみてどうなったか?
・売上については、一時的に下がったがその後回復、禁煙前より上がった、変わらなかった
・高いワインをオーダーするなど、客単価の増加につながった
・常連が減ったのはごく一部で、家族連れが増えた
・クリーンな職場環境であることがアピールでき、アルバイトの応募者が増えた
・禁煙後、来店が遠のいた常連は「料理ではなく、タバコを吸いにきていた」ということがわかった

今後の展開について
この取り組みを通して、禁煙飲食店割合と健康アウトカムの関連をみる研究や、Quemlin【ケムラン】を利用した介入研究に取り組みたい。今後も特派員の皆様と協力し、大学や病院周辺の飲食店での受動喫煙を減らしていきたいと考えている。

        

■事例紹介2(嶋田 和雄氏)
養老乃瀧株式会社が屋内完全禁煙試験導入した経緯
今年5月より、店内完全禁煙を全国488店舗中(201712月末)4店舗(養老乃瀧歌舞伎町店、だんまや水産広瀬通駅前店、だんまや水産ポルテ金沢店、だんまや水産栄三丁目店)にて試験導入した。弊社は、フランチャイズ店が8割、直営店が2割ということもあり、社会の流れや世論に敏感にならなければならない。また、利用者層に中高齢者が多いこと、および、ファミリーの利用層が少ないことから、喫煙者に与える影響を検証するために店内完全禁煙を開始した。

屋内完全禁煙試験導入後、売上への影響と顧客確保のための対策と新しい試み
歌舞伎町店の1日平均売上は、前年度に比べ5月から著しく低下した。仙台、金沢、名古屋でも売上が低下した。この4店舗以外にも店舗があるため、チェーン全体としては、そこまで大きな影響はなかった。しかし、同じ影響が個人経営店舗でおきたら、持ちこたえられないかもしれない。

売上への影響を軽減するための対策として、「全席禁煙!!」を前面に打ち出したアピールをSNSHPを活用して行なった。さらに、だんまや水産栄三丁目店では、「22日は禁煙の日(すわん・すわん)」をうたい最初のドリンクを22円で提供したり、禁煙外来受診中の方へのサービスデーを設けるなど、新しい取り組みを積極的に行なっている。多くの方に屋内完全禁煙店を利用することのメリットを知ってもらうことが第一歩である。

今後の展開
今後も引き続き、屋内完全禁煙店の良さをアピールし、非喫煙者の方が快適に過ごせる環境を整えていきたい。


プロフィール
伊藤 ゆり氏(大阪医科大学研究支援センター 医療統計室室長・准教授、屋内完全禁煙の飲食店を応援するサイト Quemlin【ケムラン】主宰)

1977
年広島県生まれ。大阪大学医学部保健学科卒、同大学院博士後期課程修了。大阪国際がんセンターがん対策センターを経て現職。専門はがん疫学・保健統計。がん予防・公衆衛生の観点から、201510月から屋内完全禁煙飲食店を応援する
ケムランサイトを主宰。ケムランのいらない社会になることを願う。

嶋田 和雄氏(養老乃瀧株式会社 店舗運営・開発グループ 営業戦略セクション 広報チーム)
1961
年生まれ、東京都出身、1984年立教大学社会学部卒業、同年養老乃瀧株式会社へ入社。入社後、店舗開発およびFC部門にて永年従事し、今年4月よりグループ広報誌編集長兼、広報担当に着任。

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