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【開催報告】第72回定例朝食会「女性の活躍と健康経営~職場における女性の健康増進の取り組み~」(2018年9月6日)

【開催報告】第72回定例朝食会「女性の活躍と健康経営~職場における女性の健康増進の取り組み~」(2018年9月6日)

職場における女性の活躍が進むなか、女性の健康に対する取り組みについて、近年、政府や企業の注目が高まっています。
今回は、女性の健康に焦点を当て、先進的な取り組みを実施している株式会社パソナグループ 人事部 人事企画チーム チーム長の奥山 真栄氏、株式会社パソナ 健康経営ソリューション部 マーケティング責任者の青地 政利氏、株式会社 日立システムズ 人事総務本部 ダイバーシティ推進センタ長の青木 明美氏をお招きし、両社の女性の健康対策への取り組みについてお話いただきました。
冒頭、当機構 シニアアソシエイトの今村 優子より、2018年3月に発表した「働く女性の健康増進調査 2018年」等、これまで当機構が実施してきた女性の健康対策促進に向けた活動を紹介いたしました。

 

講演の概要
パソナグループ:「女性のキャリアと健康について~女性がいきいきと活躍する職場作り~」
結婚や出産、育児、介護といったライフステージに応じ、女性のキャリア形成も含むライフサポートとキャリアサポートを整備した。これらの制度の利用率向上のため、①情報へのタッチポイントを増やす、②気軽に相談できる窓口の設置、③家族を巻き込んだ風土づくりといった工夫をしている。また、女性従業員比率が61%ということもあり、女性特有の健康課題として、肩こり、腰痛、冷え等の身体愁訴や月経前症候群(PMS: Premenstrual syndrome)、貧血、更年期障害に加え、運動不足・栄養不足・睡眠不足の3大“不足”や、やせ過ぎ(低BMI)といったテーマにも重点的に取り組んでいる。例えば、痩せ型女性を対象とした「すこやか美人塾」では、保健師や管理栄養士による学びと体験がセットになったプログラムを提供した結果、体重増加や不定愁訴の改善だけでなく、参加者の55%の方が、労働生産性が向上したと回答している。また、途中辞退者もなく、満足度も100%であった本プログラムと過去の健康増進プログラムを比較すると、女性の健康リテラシー向上には、①“健康”の押し売りはせずに、個々のなりたい姿から訴求すること、②学びと体験をセットで実施し、納得感を高める、③同じ悩みを持つグループで集めることが重要であることが分かった。

  

日立システムズ:「女性の健康に関する取り組み」
日立システムズでは、働き方改革・健康経営・ダイバーシティ推進を柱とした企業活力向上施策「SMILE Work∞Life Action」の一環で女性の健康に取り組んでいる。女性従業員比率は14%と高くはないが、健康面での不安やその対処について、女性本人だけでなくその上司からも、課題として挙がっていた。そこで、女性の活躍と健康を支えるため、組織が一体となって課題解決に取り組むこととなった。

具体的には、産婦人科医を講師とした役員・管理職向け講演会や、全従業員向けセミナーの開催である。女性の健康と女性ホルモンやライフステージとの関連、婦人科との付き合い方等をテーマにした結果、参加者からは、今後の行動を変えたいというコメントが多く寄せられた。

このほか、がんと就労も重点テーマである。女性のがん罹患者の35%は就労可能年齢であるというデータや、自社の女性従業員の半数近くが、がん検診を受診していないことから、組織として支援体制の確立と啓発を促進している。全従業員向けに「がんと就労セミナー」を全国で開催しており、会社の制度や両立支援体制の説明のほか、がん体験者の声も共有している。また、全従業員の自宅に家族宛レターを郵送し、がん検診項目や補助金制度も周知している。

 

また、会場との質疑応答では、組織全体の健康経営を促進するなかで、女性の健康増進をどう位置付け、具体的にどのような取り組みが可能なのか等、活発な意見交換が行われました。

女性の健康増進の重要性を高めるため経営層とのコミュニケーションの工夫
(パソナグループ)前提として、女性の社会復帰を支援する新たな働き方を創造することを目的として創業された企業であるため、女性のキャリアや健康に対する取り組みに関して、社内全体が前向きな姿勢にある。そのうえで、代表取締役グループ代表に個別に相談する、役員会でプレゼンテーションする等、経営層と直接コミュニケーションをとることで、女性の健康施策に対する経営層の理解を得る工夫をしている。
(日立システムズ)女性従業員の少なさもあり、経営層には、「女性の健康」として単独の取り組みを勧めるのではなく、「SMILE Work∞Life Action」のダイバーシティ推進の一環として対策をすべきだと伝えている。また、経営層のコミットメントを示すため、毎年開催しているダイバーシティ・カンファレンスにおいて、社長から全従業員に向けて、健康の大切さやダイバーシティの重要性等のメッセージを発信している。

女性の健康増進施策を進めるうえでの産業医の役割
(パソナグループ)衛生委員会への参加、責任者研修や内定者研修での講演により、組織全体の健康増進対策に携わっていただいている。また、従業員がいつでも相談に行ける環境づくりにも取り組んでもらっている。
(日立システムズ)安全・衛生委員会への参加だけでなく、心身に関する個別相談、復帰プログラム、健康に関するセミナーといった様々なことでアドバイスをいただいている。産業医の提案による新たな取り組みの導入も積極的に行っている。

産業医の専門が婦人科領域でない場合の対応
(パソナグループ)保健師による一次対応や、産業医が提携している婦人科医を紹介することで対応している。また、男性の産業医が多いため、女性医師への相談希望がある場合は、ビデオ通話も活用し、地域が離れていても相談できるよう対応している。
(日立システムズ)全国に保健師を配置しているため、まずは職場の保健師に相談してもらい、その結果を踏まえて専門領域に繋いでいる。また、従業員のピアサポーターも配置しており、一人で抱え込まずにまず相談できるような環境づくりをしている。

健康保険組合との協働
(パソナグループ)人材派遣健康保険組合を利用している。女性の加入率が非常に高い組合のため、健康診断での細やかなサポートだけでなく、乳がん検診や子宮がん検診で手厚いサポートを得られている。
(日立システムズ)日立グループの健康保険組合である日立健康保険組合と連携し、職場チームで参加するウォーキング大会等、従業員が楽しみながら健康増進できる取り組みを実施している。

取り組みの成果指標や評価の実施
(パソナグループ)従業員が働きやすい環境を作るための活動を継続して行ってきた結果、離職率が下がり、一桁台を維持しているのは一つの成果である。現在も本社ビル中心に、男女問わず働きやすい環境づくりのための工夫をしているが、数値として成果が見えるにはもう少し時間がかかるだろう。
(日立システムズ)短期的に結果を出すのが難しいため、まだ具体的な数値としては成果が出ていない。しかし、「SMILE Work∞Life Action」を継続することで、今後、男女問わず、働き甲斐や離職率といった数値として成果が出せるのではと考えている。

最後に、経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 係長の紺野 春菜氏より、経済産業省が推進している健康経営(※)の顕彰制度についてご紹介いただきました。

健康経営における女性の健康対策
健康経営の取り組みとして、これまでは生活習慣病予防としてメタボリックシンドローム対策等、主に男性が対象となる取り組みが中心であった。しかし、日本の全従業員数のうち、女性が約44%(2016年)を占めている現状を踏まえると、女性の健康に対する取り組みを増やすことが、企業のさらなる活性化につながると考えている。また、健康経営を積極的に推進する企業からは、特に女性特有の健康問題対策に高い関心が寄せられている。そうした背景を踏まえ、健康経営銘柄2019及び健康経営優良法人2019の選定においては、「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」が認定要件の1つとなった。また健康経営度調査において女性特有の健康課題に関する知識を得るための取り組みについての設問も追加した。今後は、①リテラシーの向上、②相談窓口の設置、③働きやすい環境整備に向けた施策の実施により、「病気等による休職や離職の防止」、「生産性の向上」、「帰属意識の向上」等の健康経営の効果が現れるのではないかと期待している。

※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。


奥山 真栄氏(株式会社 パソナグループ 人事部 人事企画チーム チーム長)
パソナグループは、1976年の創業以来、国籍・年齢・性別・障害の有無に関わらず、誰もが活躍できる機会を提供するとともに、社内制度の充実や働きやすい職場環境づくりを推進し、様々な支援制度を通じて、女性社員を心身ともにサポートしてきた。今後も働くことで自己実現に繋がり、女性がイキイキと活躍し続ける社会を創るための環境づくりを目指している。

青地 政利氏(株式会社 パソナ 健康経営ソリューション部 マーケティング責任者)
健康経営ソリューション部では、「@Health+Care」のブランドの下、「健康管理」と「健康増進」の両側面においてサービスを提供している。また、人事部と協働してパソナグループ社内の健康経営を推進している。

青木 明美氏(株式会社 日立システムズ 人事総務本部 ダイバーシティ推進センタ長)
株式会社 日立システムズ 人事総務本部 ダイバーシティ推進センタ長。ダイバーシティ推進センタは2015年設立。多様な人財の活躍推進の中でも、女性の活躍推進は重要テーマとして、あらゆる女性の活躍に関する諸施策を展開している。一方で、職場の男性や上司などの職場の意識変革についても両輪で推進中。また2017年から「働き方改革・健康経営・ダイバーシティ」を3つの柱とするSMILE Work ∞ Life Action 活動を展開し、更なる企業活力向上をめざしている。

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