活動報告 調査・提言

【出版報告】日本の超高齢化社会における薬剤耐性の脅威:ヘルスケア、公共政策、および経済的な健全性への影響(2021年2月22日)

【出版報告】日本の超高齢化社会における薬剤耐性の脅威:ヘルスケア、公共政策、および経済的な健全性への影響(2021年2月22日)

Global Coalition on Aging(GCOA)と日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、過去に開催された超高齢化社会である日本における薬剤耐性(AMR)に関するラウンドテーブルに基づき、政策に焦点を当てた報告書を発表しました。

2020107日に開催されたラウンドテーブルでは、経済、政府、学術、高齢化、非営利の各分野の専門家が集まり、日本を筆頭とした世界中の高齢化社会におけるAMRの多面的なリスクを検討しました。特に、日本をはじめとする世界各国では、COVID-19の対応から得られた教訓をAMRの課題に応用することができます。

このラウンドテーブルはGCOA及びファイザー株式会社の共催、HGPIの支援により開催されました。

 

ラウンドテーブルでは、超高齢化社会を迎えた日本で、ヘルシーエイジングと活発なシルバーエコノミーを支えるための早急な対策推進に向けた議論を行い、以下の5つの提言がなされました。

1. 超高齢化社会を迎えている日本にとって、AMRは喫緊の公衆衛生課題です。脆弱な高齢者層を対象とした、政策支援と断固たる対応が求められています。
2. AMRに対抗するための新たな抗菌剤の不足は、重大な「市場の失敗」を示しています。この失敗に対し、新たなインセンティブと市場ベースの政策改革が求められています。
3. 新型コロナウイルス感染症の脅威を受けて、高齢者層への働きかけが一層重要になっています。
4. AMRの諸課題に対応するためには、社会全体の幅広いステークホルダーが関心を持つ必要があります。
5. 世界で最初に超高齢化を迎えている国として、日本はAMR対策において国際的に主導的な役割を果たすことが期待されています。

日本語版の報告書はこちら。 英語版の報告書はこちら。 

開会の挨拶は、Michael W Hodin 氏(GCOA CEO)と野田博之氏(内閣官房新型インフルエンザ等対策室 企画官)が行い、「日本国内および世界各国で拡大するAMRの課題に対処するために、日本政府は企業との連携に重要な役割を果たしています。そして今、私たちには、セクターを超えたコミュニケーションと協力が求められています。」と述べられました。


ラウンドテーブル全体の主なコメントは以下の通りです。

井上 肇 氏(内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室 次長)

我が国のみならず世界中で拡大するAMRという課題に対処するうえで、日本政府は産業界と連携して重要な役割を果たしています。まさにいま、セクターを超えた対話と連携が必要です。マルチセクトラルアプローチこそがこれほど大きな規模の課題に対処する唯一の方法なのです。


大曲 典夫 氏(国立国際医療研究センター
AMR 臨床リファレンスセンター センター長)

日本では65歳以上の患者に注射用抗菌薬を使用するケースが年々増加しています。しかしながら、高齢化社会を迎え始めている世界の国々は、世界で最初に超高齢化を迎えた日本がAMRの課題に取り組むリーダーとなることを期待します。


Michael W. Hodin 氏(GCOA CEO

超高齢社会である日本にとって、AMRはすでに大きな脅威となっています。このような緊急性にもかかわらず、抗菌薬のイノベーションは枯渇しているのが現状です。超高齢社会をサポートするためにも日本は新規抗菌薬開発への投資をしなければなりません。そして、強力なパイプラインを育成できるようなイノベーションに適した環境を支援することにコミットすることが求められています。

日本の超高齢化社会のニーズに対応して、GCOAの「AMR行動要請」は、「AMRはヘルシーエイジングを阻む最大の障害であり、21世紀に奇跡的な長寿をもたらした、科学・医療・衛生分野の20世紀の進歩を脅かすものである」と訴えています。GCOAの「AMR行動要請」は、こちらをクリックしてください。

 

Global Coalition on Aging
Global Coalition on AgingGCOA)は、人口の高齢化が進むことにより生じる 21世紀の大きな変化に対応するグローバルリーダーのアプローチ方法や方策を再構築することを目指しています。GCOAは、高齢人口に対して知見があり、高齢化を包括的・体系的に理解しており、高齢化による影響を楽観視している様々な業種・世界的企業を、独自の方法で団結させています。 研究、公共政策分析、アドボカシー活動、戦略的なコミュニケーションを通じて革新的なソリューションを推進し、また、世界的な人口高齢化が健康増進、生産性向上、経済成長へ繋がるよう活動しています。詳しくは、www.globalcoalitiononaging.comをご覧ください。

e-mail: mmitchell@globalcoalitiononaging.com(担当:Melissa Gong Mitchell)

 

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)
日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、2004年に設立された非営利、独立、超党派の民間の医療政策シンクタンクです。市民主体の医療政策を実現すべく、中立的なシンクタンクとして、幅広いステークホルダーを結集し、社会に政策の選択肢を提供してまいります。特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持し、フェアで健やかな社会を実現するために、将来を見据えた幅広い観点から、新しいアイデアや価値観を提供し、グローバルな視点で社会にインパクトを与え、変革を促す原動力となることを目指しています。詳しくは、https://hgpi.org/をご覧ください。

e-mail: info@hgpi.org

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