【調査報告】「2016年医療ICT に関する意識調査」(2017年3月28日)
日付:2017年3月28日
タグ: 世論調査
日本医療政策機構は、国民が求める医療や医療政策課題等に関する国民の意識・意見を把握するため、2006年から世論調査を実施してきました。
今回は、2016 年11 月から12 月にかけて、医療における情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)に関する意識調査を実施しました。具体的なトピックとして、遠隔診療・医療データの共有・人工知能の医療への応用に関する国民の意識について質問し、その結果から日本の医療政策における今後の論点を明らかにしました。
調査結果のポイント(概要)
- 慢性疾患の未治療群の過半数が、予防的な相談及び症状が安定している相談の場合、遠隔診療の活用に前向きな結果となった。未治療群が、遠隔診療を活用したい最も大きな理由は「通院の手間が削減され、治療の継続が楽になるから」であり、58%だった。
- 治療中断 の大きな要因には①通院の手間、②環境の変化、③費用の3つが挙げられ、世帯収入が400万円未満の層では治療中断原因として、「費用」が最も大きな要因だった。
- 若い人ほど国による健康・医療データの管理に協力的である一方、高齢になるほど、病院や医療機関等の非営利組織機関によるデータ管理に協力的であった。
調査結果から浮かび上がる日本の医療政策「今後の論点」
今回の調査結果から、医療ICT活用の議論にあたり、以下のような論点を指摘することができる。
- 遠隔診療は治療中断の障壁を取り除ける可能性がある。ただし、治療中断の理由に費用が挙がっていることから、個人の費用負担を抑えることも同時に検討が必要だろう。
- 遠隔診療は、従来想定されていたような「医療資源の乏しい地域の」「継続治療中の患者対して」「電話等で行う」診療から、「地域を問わず」「未治療の患者」へ、「テレビ電話やチャット等の新たなコミュニケーション手法を複合的に用いた」診療へニーズの広がりを見せている。
- 健康・医療データの管理への意識には世代間でギャップがあるが、長期的には、次の世代を担う現在の若い世代の価値観にも沿う形でデータ管理の手法を考えていくことも検討すべきだろう。
詳しくは、当ページのPDFファイルをご覧ください。
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