【開催報告】第27回特別朝食会「厚生労働大臣の617 日を振り返る」(田村憲久衆議院議員(前厚生労働大臣・自民党政調会長代理))
日付:2014年10月27日
タグ: その他の活動
日本医療政策機構は、2014 年10 月27 日、第二次安倍内閣の厚生労働大臣として任を終えて間もない田村憲久衆議院議員(前厚生労働大臣・自民党政調会長代理)をゲストに迎え、都内で当機構関係者を招いた特別講演会「厚生労働大臣の617 日を振り返る」を開催いたしました。
-厚生労働大臣617日を振り返って印象深いことをお聞かせください。
1年8ヶ月のうちに4600回の国会答弁を行った。とにかく扱うテーマの幅も広く、そして深い。忙しかった。医療特区やネット医薬品販売などの規制改革案件、そして任期終了間近に起きたデング熱、交通事故が相次いだ危険ドラッグ対策など、迅速かつ慎重な対応を常に求められる日々だった。
-厚生労働大臣の1日はどのようなものでしょうか?
朝7時には国会に行き、答弁の打ち合わせ。9時から委員会。厚労委員会は短くて5時間、長くて7時間。夜に宿舎に戻ると、FAXに届く翌日の答弁資料を読み、必要があれば手直しを行う。FAXを見終わるだけでも深夜の1時、2時になるということも多かった。
-安定した答弁や圧倒的な政策知識で、党内や厚労省内はもちろんのこと、野党議員からも高い評価を得ていた。医療介護一括法案(医療介護総合確保法)19本の成立に大きく貢献したのでは。
確かに一括法案は異例だったが何とか成立させることができた。党部会長や厚労政務官などを通じて長く厚労行政に携わってきた経験も活きた。また、野党を経験したおかげで、野党の攻め方や立ち場も分かるようになったのも大きい。野党の先生方とも建設的な話ができた。野党であろうと、与党であろうと、国民のために働いているという想いは同じだ。
-危機管理が重要とされる厚労相ですが。
危険ドラッグ対策、臨床研究データ改ざん問題など、厚労相の仕事は危機管理が非常に重要だと痛感した。大きな問題となった危険ドラッグ対策では、国家公安委員長と連携して、異例の迅速対応を行った。
-製薬業界や医療界での不祥事が相次ぎました。7月には大臣自ら製薬協の会長に業界の自浄作用を高めるよう求めるなどしました。事実上の「警告」では?
そのとおりだ。不祥事が相次ぎ、省内や与党はもちろん官邸でも危機感が高まっていた。臨床研究不正問題など相次ぐ製薬業界の不祥事を受け、参議院厚生労働委員会では閉会中審査まで行われるという極めて異例の事態となった。資金の流れについては、自主開示をしていただき、法制化に至る前に「自浄作用」を示してもらったほうが、日本の製薬業界のためにもなるはずだ。
-2014年の診療報酬改定は財政当局と激しい攻防を繰り広げたと報道されていましたが。
本当に大変だった。社会保障の質の維持のために、ギリギリの妥協点を探った。財務省と激しいやり取りになることもあった。関係団体、厚労省、官邸、与党などとの間で、何とか粘り抜いたというのが実感だ。
-厚労相の経験も踏まえて、今後の日本の医療政策で、最も重要だと考えている政策や課題は?
政策を前に進めるためには政治家の決断がカギだ。政府の動きが遅いと思う人もいるかもしれないが、目標を決めれば、官僚は全速力で走り出す。舵を切る、そして責任をもって決めるのが、野党も含めた政治家の役目だ。
今後重要な課題は、まずは「医療の持続可能性」をどう確保するか、2つ目にデータヘルスを含む「予防・健康」、そして3つ目は「認知症」などの高齢社会対応の3つだろう。どれも対応は待ったなしだ。
(聞き手:小野崎耕平)
-厚生労働大臣617日を振り返って印象深いことをお聞かせください。
1年8ヶ月のうちに4600回の国会答弁を行った。とにかく扱うテーマの幅も広く、そして深い。忙しかった。医療特区やネット医薬品販売などの規制改革案件、そして任期終了間近に起きたデング熱、交通事故が相次いだ危険ドラッグ対策など、迅速かつ慎重な対応を常に求められる日々だった。
-厚生労働大臣の1日はどのようなものでしょうか?
朝7時には国会に行き、答弁の打ち合わせ。9時から委員会。厚労委員会は短くて5時間、長くて7時間。夜に宿舎に戻ると、FAXに届く翌日の答弁資料を読み、必要があれば手直しを行う。FAXを見終わるだけでも深夜の1時、2時になるということも多かった。
-安定した答弁や圧倒的な政策知識で、党内や厚労省内はもちろんのこと、野党議員からも高い評価を得ていた。医療介護一括法案(医療介護総合確保法)19本の成立に大きく貢献したのでは。
確かに一括法案は異例だったが何とか成立させることができた。党部会長や厚労政務官などを通じて長く厚労行政に携わってきた経験も活きた。また、野党を経験したおかげで、野党の攻め方や立ち場も分かるようになったのも大きい。野党の先生方とも建設的な話ができた。野党であろうと、与党であろうと、国民のために働いているという想いは同じだ。
-危機管理が重要とされる厚労相ですが。
危険ドラッグ対策、臨床研究データ改ざん問題など、厚労相の仕事は危機管理が非常に重要だと痛感した。大きな問題となった危険ドラッグ対策では、国家公安委員長と連携して、異例の迅速対応を行った。
-製薬業界や医療界での不祥事が相次ぎました。7月には大臣自ら製薬協の会長に業界の自浄作用を高めるよう求めるなどしました。事実上の「警告」では?
そのとおりだ。不祥事が相次ぎ、省内や与党はもちろん官邸でも危機感が高まっていた。臨床研究不正問題など相次ぐ製薬業界の不祥事を受け、参議院厚生労働委員会では閉会中審査まで行われるという極めて異例の事態となった。資金の流れについては、自主開示をしていただき、法制化に至る前に「自浄作用」を示してもらったほうが、日本の製薬業界のためにもなるはずだ。
-2014年の診療報酬改定は財政当局と激しい攻防を繰り広げたと報道されていましたが。
本当に大変だった。社会保障の質の維持のために、ギリギリの妥協点を探った。財務省と激しいやり取りになることもあった。関係団体、厚労省、官邸、与党などとの間で、何とか粘り抜いたというのが実感だ。
-厚労相の経験も踏まえて、今後の日本の医療政策で、最も重要だと考えている政策や課題は?
政策を前に進めるためには政治家の決断がカギだ。政府の動きが遅いと思う人もいるかもしれないが、目標を決めれば、官僚は全速力で走り出す。舵を切る、そして責任をもって決めるのが、野党も含めた政治家の役目だ。
今後重要な課題は、まずは「医療の持続可能性」をどう確保するか、2つ目にデータヘルスを含む「予防・健康」、そして3つ目は「認知症」などの高齢社会対応の3つだろう。どれも対応は待ったなしだ。
(聞き手:小野崎耕平)
開催日:2014-10-27
調査・提言ランキング
- 【当事者の声】薬剤耐性 伊東幸子氏 非結核性抗酸菌症(2022年3月18日)
- 【緊急提言】「認知症観を変革する認知症基本法の成立を」(2022年9月27日)
- 【出版報告】プラネタリーヘルスプロジェクト「プラネタリーヘルスに関する課題とヘルスケアセクターの役割」(2023年5月10日)
- 【調査報告】「がんゲノム医療」に関するインターネット調査結果(概要)(2023年5月11日)
- 【政策提言】2023年G7広島サミットに向けた提言~薬剤耐性(AMR)対策の促進に向けて 求められる政治的リーダーシップと国際連携(2022年12月19日)
- 【政策提言】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた提言書(2023年4月20日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【調査報告】「社会経済的要因と女性の健康に関する調査提言」(2023年3月6日)
- 【政策提言】2023年G7広島サミットに向けて~国際社会と歩調を合わせたプラネタリーヘルス対策の推進~(2022年11月10日)
- 【政策提言】G7広島サミットおよび関係閣僚会合に向けて~国際社会と歩調を合わせた気候変動・プラネタリーヘルス対策の推進~(2022年12月19日)
注目の投稿
-
2023-05-19
【申込受付中】医療政策アカデミー第12期 Advance「医療政策を視る眼を養う」(2023年8月開講 ※申込締切:2023年6月29日)
-
2023-05-26
HGPI 提言・報告書リスト
-
2023-06-07
【政策提言】骨太の方針2023策定に対する提言 薬剤耐性(AMR)対策の促進に向けて(2023年5月24日)
-
2023-06-07
【開催報告】長崎プラネタリーヘルス専門家会合「COP27およびCOP15からG7広島サミットへ:地球規模で生じている気候変動、環境、生物多様性と 人間の健康に関する課題解決に向けた新しいパートナーシップ」(2023年5月12日)
-
2023-06-07
【開催報告】2023 G7広島サミットレガシーイベント「認知症を考える~共生社会とイノベーションを日本から~」(2023年5月28日)