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【開催報告】HGPIセミナー特別編「20周年を迎える日本医療政策機構: 過去から未来へ、組織の歩みを振り返る」(2024年1月16日)

【開催報告】HGPIセミナー特別編「20周年を迎える日本医療政策機構: 過去から未来へ、組織の歩みを振り返る」(2024年1月16日)

2024年4月をもって日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は20周年を迎えます。

2024年初回となる今回のHGPIセミナーは、黒川清(日本医療政策機構 代表理事)と乗竹亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)、吉村英里(日本医療政策機構 シニアマネージャー)による対談形式でHGPIの20年の歩みを振り返りました。

<POINTS>

  • HGPIは2004年の設立以来「市民主体の医療政策の実現」をミッションとし、アジェンダ「セッティング」「シェイピング」「デリバリー」を通して政策の実装に寄与してきた。
  • 近年は認知症、女性の健康、感染症対策(AMR/予防接種・ワクチン)といった領域をはじめ、様々な活動が具体的な政策に結びついている。
  • 社会の政策課題ニーズを的確に捉え、時代に即した議論を展開することがHGPIのあるべき姿である。


■東京大学の研究室として始まったHGPI

乗竹 亮治(以下、乗竹):HGPIは、2004年4月に東京先端医療政策センターという名称で、東京大学の研究室のひとつとして設立された。2005年3月に名称を変更し、現在の日本医療政策機構となった。当時の英語名称はHPIJ(Health Policy Institute Japan)としていたが、その後現在の名称であるHealth and Global Policy Instituteとなった。これは国内の医療政策だけではなく、グローバルに政策を考えていく必要があるという時代的な背景を込めている。

■HGPIとして初となる女性の健康に関する政策提言

乗竹:2005年5月には、設立後初の政策提言を発表した。当時まだ注目されていなかった女性の健康に関する内容だった。「少子化と女性の健康」「女性の雇用と健康政策」などを中心に、人口動態を含めた課題を深掘りした。その後、不妊治療への保険適用や、女性が働きやすい労働環境の整備など、政府の取り組みも始めたが、このように、潜在的な健康問題に早い段階から焦点を当てることは我々の役割の一つだと考えている。
政策提言活動において、継続することは非常に重要である。少子化と女性の健康政策を例にすると、HGPIとして提言をし続けた結果として政策の動きに繋がった。

■HGPIの役割

乗竹:我々は政策提言活動を実施する上で以下の3点を重視している。
1つ目は「アジェンダセッティング」である。上述の女性の健康の例で示した通り、世の中に必要なアジェンダが混沌としている状況下で、今後議論が必要となる課題を社会に提示する。
2つ目は「アジェンダシェイピング」である。政策をマルチステークホルダー、特に市民や患者・当事者を交えながら、フラットにディスカッションを重ねていくことで、真の課題解決の打ち手を明らかにする。
3つ目は「アジェンダデリバリー」である。政策提言を作成するにとどまらず、立法府や行政府といった政策立案者に訴えかけ、実際に政策案が実行されるまで働きかける。我々は超党派、独立の組織であるため、超党派の国会議員への個別説明や、議員勉強会の開催、また中央省庁の行政担当者へも提言内容を説明する。直近では、循環器病や認知症対策は都道府県ごとの対応が必要なため、都道府県ごとの行政担当者に対して詳細を説明していた。


■設立当時の政治的背景

乗竹:2006年2月、初の大規模なパネルディスカッションとなる医療政策サミットを行った。当時は民主党政権の政権交代前であった。各党が社会保障政策に関してマニフェストを出し合って非常に活発な議論が行われていた時代であった。税と社会保障の一体改革についての三党合意なども行われる前の時代、民主党政権交代前の時代にこうしたオープンなディスカッションができたことも、我々の1つのレガシーである。
当時、日本の社会保障政策や医療政策は主に「鉄の三角形」といわれる政治・行政・利益団体の3つのステークホルダーによって決められていると言われていた。こうした中で、マルチステークホルダー、超党派での議論を促進するというシンクタンクの役割が認識され始めた時代的な要請があったと考えられる。

■政策提言活動が実装されるきっかけとなったがん対策

乗竹:2006年の3月にがん関係者のアンケート調査を実施し、がん対策推進基本法の形成を後押した。これは我々の活動成果というよりも、がん患者団体の多くの方々が力を寄せ合った結果である。2006年にがん対策基本法が誕生し、そこでの最も大きな変革は国のがん対策推進協議会に、がん患者の家族やその本人を入れることが明記された点である。我々が訴え続けてきた市民主体の医療政策の実現が実装されたのは、がん対策推進基本法の大きな成果であったといえる。

■HGPIとしての20年間の主要な活動

乗竹:当事者の声が政策に反映される事例はがん対策以外にも、循環器病対策基本法や、昨年成立した認知症基本法にもみられており、こうした好事例を横展開していくことも必要であると考えている。
他にも、国際患者団体との連携や、グローバルヘルスサミットでの提言も行った。まだ日本ではグローバルヘルスや国際保健、という概念自体が定着していない時代であったが、代表理事のイニシアティブもあり、世界銀行と協力しグローバルヘルスにおける日本の役割を提言した。
他にも、がん政策サミットや医療政策国民フォーラムなど、長年多岐にわたり活動をしている。例えば、東日本大震災からの復興支援プロジェクト、医療制度・保健医療サービスの持続可能性について議論するフォーラム、2011年11月の非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)フォーラムが挙げられる。NCDsは医療関係のメディアなどではよく耳にする言葉ではあるが、2011年当時、NCDsについて国際連携をしていたのは、日本全国においても珍しいことであった。2014年の11月には、G7認知症サミット後継イベントを経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)と共催で実施した。当時、認知症はすでに話題にはなりつつあったが、今ほどではなく、HGPIとして早い段階からアジェンダセッティングをした好事例である。また、医療政策アカデミーという医療政策入門講座は2015年から、薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)に関するプロジェクトは2016年から実施をしてきた。
このように、認知症、AMR、NCDsなど、今日に至るまで多種多様なアライアンスなどの議論の場を作りながら政策提言の活動を続け、HGPIとして評価を高めてきた20年間であった。

他には、メンタルヘルス、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についての提言や、フラッグシップイベントである医療政策サミットも毎年開催をしいる。最近HGPIが力を入れていることの1つとしては、官民交流が挙げられる。官民交流ラウンドテーブルは主に、国会閉会期の2カ月に1回程度、官民の交流を促進するための目的で行っている。これは、厚生労働省をはじめとする、若手や中堅の官僚が多忙であることにより、これまでは民間企業などと相互に意見交換し、様々な現場を知る時間が作れていたものが、設けにくくなったことから由来する。こうした要請をうけて、HGPIは非営利・独立・超党派を掲げる組織として、民間企業を招き、交流の場を作った。医療DXや働き方改革など多くのテーマを扱う官民交流ラウンドテーブルは、非常に好評であり、HGPIへの信頼と、20年のレガシーがあるからこその成果である。

■日本社会の20年を振り返って日本社会の課題

黒川 清(以下、黒川):20年前と比べると日本はどうか。1979年にエズラ・ヴォーゲル(Ezra Vogel)の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が出版された。なぜあの本が書かれたのかについては、偶然日本は高度経済成長期であったため、「ナンバーワンになるような可能性がある」という意図で執筆されたと考えられる。しかし、こうした予想に反し、日本は1980年代半ばから経済が減速し始めた。OECD加盟国の中で国内総生産(GDP: Gross Domestic Product)が成長していないのは日本だけである。こうした局面において日本はどうすべきかを考える必要がある。GDPの上昇がみられないことに関して、日本で最も大きな問題は超高齢社会の進展による競争力の低下である。100歳以上の人口は現在9万人にのぼり、65歳以上の人口は、ほぼ全人口の30%を占めている。中長期的な視点からすれば、日本にとって最も大きなリスクであり、競争力の低下を招く。海外からフェアに競争できる若者を招聘することもできるが、日本の風土として、未だに鎖国的であるといえるため、現実的ではない。世界で最も高齢化が進む社会において、競争力を維持するためには、新しいプレイヤーを海外から連れてくるのか、少子化対策の成否が大きな日本の分かれ道である。


■HGPIの近年の活動

吉村 英里(以下、吉村):HGPIの最近の活動成果について抜粋して報告する。

〇認知症対策

吉村:認知症については2013年ロンドンG7サミットで世界的な注目を浴びた。当時、日本ではまだ広く認知されていない中、HGPIとしては2014年から活動を始めてきた。世界で最も高齢化が進む国として、日本は認知症、そして高齢社会についてどのように対策をすべきかが、先進国含め、これから急激な高齢化を迎えるアジア太平洋の国々も特に注目をしている。共生社会を目指した、当事者の声に基づいた省庁横断的な対策を求める提言活動等を継続し、2023年度の認知症基本法の成立は、私たちの活動の一つの大きなマイルストーンとなった。また、高齢者の生活を支える観点でも自治体の動きは見逃せない。各自治体でも認知症施策は活発に行われており、21の自治体で認知症の条例が制定され、当事者の参画も進んでいる。(2024年1月時点)

〇女性の健康

吉村:第一次安倍政権時代、女性の活躍が推進される一方で、女性の健康課題は十分な議論がされてこなかった。そのような中で、HGPIは2018年に「働く女性の健康増進調査2018」を発表し、更年期や月経随伴症状を経験している女性は職場や学校で平常時の半分程度しかパフォーマンスを発揮できていない等、働く女性の健康課題と労働生産性の関係を数値化・可視化し、この後もいくつかの調査において、女性の健康課題が個人ではなく社会経済的な課題であることを訴え、また女性の健康に関するリテラシー向上に向けても活動してきた。

2018年HGPIの調査結果は経済産業省の健康経営銘柄の選定要件に反映されている。最近では、女性の健康領域での診療報酬加算、自民党議連の設立、緊急避妊薬のOTC医薬品の販売開始や、国立成育医療研究センターでの「女性の健康」ナショナルセンターが創設されるなど、ここ数年で政策が推進し世の中が大きく変化した分野であるといえる。

〇感染症対策(薬剤耐性対策、予防接種・ワクチン)など

吉村:薬剤耐性対策については、HGPIでもかなり長く活動を継続している。2015年、世界保健機関(WHO: World Health Organization)は世界各国に対して、2年以内にAMR対策の国家戦力を作ることを要請した。この要請をうけ、日本政府が2016年4月にアクションプランを策定した際、HGPIはいち早く米国の戦略国際問題研究所(CSIS: Center for Strategic and International Studies)と議論をする場を設け、AMRについての活動を強化すべきと考え、さまざまな活動を行ってきた。活動の一部として、2019年にAMRアライアンス・ジャパンを立ち上げた。アカデミアや製薬企業を中心に、様々なマルチステークホルダーによって中立的な立場でAMRの活動を行ってきた。
AMRアライアンス・ジャパンでは7つのテーマを設定し、それらのテーマが政策的な成果に繋がっている。アクションプランが策定された2016年は、G7サミットが日本で開催された年でもある。そして、2023年に日本でG7サミットが開催され、AMRのアクションプランを改定されたことから、日本のAMR対策はG7と密接につながっているといえる。また、骨太の方針として知られている「経済財政運営と改革の基本方針」にもAMR対策の推進は長年記載されている。2021年の骨太の方針では、COVID-19の影響によりAMR対策はドラフト段階での記載が漏れていたが、AMRアライアンス・ジャパンの活動などを経て、再度記載されたという成果もあった。
予防接種・ワクチンについても、以前より活動を行ってきた。予防接種というと、子どもが受けるものという印象が強くなりがちだが、HGPIでは成人ワクチンも含めて、ライフコースでの予防接種を進めていくべきだと考えている。ワクチン忌避はCOVID-19流行期間中でも問題視されている。宗教、信条そして心理的要素など、ワクチン接種を拒否する人の立場も含め、HGPIでは文化人類学的調査を実施していた。
他にも、グローバルヘルスの人材育成やプラネタリーヘルス、気候変動と健康の関係についても、HGPIがいち早く取り組んでいるテーマである。

〇患者・当事者参画

乗竹:HGPIがこれまでミッションとして大切にしてきた市民・患者主体の医療政策の実現が本当の意味で大事だと思うのは、当事者でなければ気がつかない政策課題が見えてくる点である。例えば、がんの当事者、がん患者が抱えている課題の中では、就労支援、つまりがんに罹患したことにより職を失うのではなく、がんでも働ける社会を作ってほしいという患者の願いは、がん診療をしている医師にとって気づきづらい。それはがんの生活者だからこそ日常生活の中で感じる課題であろう。近年、日本でも進展が見られた緩和ケアにおける疼痛ケア、痛みのコントロールは患者団体の動きが政策に変化をもたらした。がん患者の就労支援についても、がん領域では実現した事例はあるが、がん患者に対してだけではなく、認知症や循環器病対策でも同じような議論が交わされている。疾患横断的な当事者目線、医療サービス利用者目線が引き続き求められている。

〇NCDs対策

吉村:HGPIでは、NCDsであるがんや、慢性疼痛、循環器病、慢性腎臓病、肥満症といった個別疾患についても、それぞれ働きかけを行っており、法律の制定や政府の検討会等の議論へ寄与していると考えている。メンタルヘルスについても活動をしており、とりわけ当事者の視点がこれまで十分に反映されていなかった政策になかった分野として、HGPIで働きかけを行っている。

〇イノベーション評価・費用対効果、医療DXなど

吉村:他にも2016年から、医療システムの未来、薬価制度、費用対効果分析などについても議論を重ねてきた。医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会では、市民社会代表として発言の機会も得た。
COVID-19の影響により、医療システム全体の見直しが必要という意見があり、グローバルでの医療システムの見直しプロジェクトを発足し、HGPIと慶應義塾大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスと共同で活動をしている。
医療DXについても、日本はまだ遅れている部分もあり、市民がデータを共有する方法や、医療DXによって得られるメリットを示すべく活動をしている。

黒川:少し視点は異なるが、認知症については、認知症初期の診断の難しさが挙げられる。診断するためにバイオロジーではなくデジタルテクノロジーが役に立つと考えている。

乗竹:この20年間のHGPIの活動を見ると、黒川が述べたように、医療DXも含め、伝統的な医療政策に関わるステークホルダー以外の方々とのネットワークや、活動及び政策提言の中身が増えている。製薬においても、Beyond-The-Pillという表現があるが、薬剤のみならず、それを上回る相乗効果を生む施策やコンビネーションを考えることで、政策として社会実装されていくことが、まさに今日の社会では期待されている。

■医療情報への信頼から考えるこれからの医療の在り方とHGPIの立ち位置

吉村:医療情報は既存の国境や格差などの様々な境界を越えていく情報となった。特に世界的な感染拡大(パンデミック)のような場面では、玉石混合の情報が存在し、発信者と受信者の両者がリテラシーを持って受発信する必要があるが、生死に関わる医療情報のあるべき姿を今後どう考えるか。

乗竹:前提条件として、医療の非医療化、脱医療化は加速していくと考えられる。異なるセクターによる連携、例えば認知症の場合、認知症フレンドリーデザインがある。1つのペットボトルを如何に認知症患者にとって使用しやすいようにデザインするかというような議論が交わされ、非医療セクターとの連携がますます重要になっている。これは、生権力(Biopower)、もしくは生政治(Biopolitics)という1970年代にミシェル・フーコー(Michel Foucault)氏が、唱えた言説にも関連するだろう。フーコーは、これまでの国家権力は何らかの罰を与えることで人々の命をコントロールするシステムであると考えた。例として死刑や刑務所への収監などがある。しかし、フーコーは、人々の命を国家権力が、どう生きるかを規定することでコントロールしようとしているという警鐘を鳴らした。例えば健康な食事や禁煙といった生活習慣を含め、生活方式が重視されつつある。こうした哲学的な論拠も背景にあり、COVID-19パンデミックにおいて、成熟した市民社会である欧州でも市民が政府の干渉に反発し、市中で放火するようなデモが起こったとも言える。国家が個人に対して、マスクの着用からロックダウンまで指示するのは非合理的だというムーブメントが、欧州を中心に起こった。
ワクチンや、医療情報に関しても、単に医療従事者が正しい医療情報を伝えれば、国民が納得する時代ではなくなってきているのではないかと考えている。これは医療情報という視点から見ても、社会全体のパラダイムとしても、このような時代になりつつあると考えられる。その上で、医療以外のセクターと協力していくことこそがHGPIの未来にとって非常に重要だと考えている。
元々仏教でいう四苦八苦の四苦である生老病死を考えてみても、今まで生老病死は、社会全体でそれを考え、看取り、祀ってきた。それが、近代化社会により医療化している、とも言える。在宅医療やコミュニティケアの推進は集約化・病院化されてきた時代から、もう1回コミュニティベースに戻すということも期待されている。この潮流を踏まえつつも、適切な医療提供体制も諦めずに堅持しつつ、医療DX、データの民主化、データベースの構築も含めて議論することが、HGPIの未来であり、医療の未来だと考える。

■医療政策へのインパクト評価

乗竹:HGPIの活動評価をどのようにするかは長く議論をしている。各政策は我々の活動だけで達成されるものではないため、単一の尺度や特定の政策達成等で評価することは難しい。例えば、がん対策推進基本法の成立にはHGPIも貢献したが、がん患者団体などを中心に活動していた方々の尽力が多大にあって達成されている。また、AMRにおいても多くのステークホルダーの尽力でプル型インセンティブ制度が日本国内に設立されたことなども挙げられる。
こうした評価をめぐる課題は、行政におけるエビデンスに基づく政策立案(EBPM: Evidence Based Policy Making)などの考え方とも親和性があり、民間企業や行政での経験がある方からもご意見を頂き、共に考えていきたい。

■HGPIの財政的独立性

乗竹:HGPIの財政的な独立性について説明する。HGPIは2023年現在、2億3400万円程度の予算で30人程度のスタッフで運営している。理事は無報酬となっている。40社程度の、法人賛助会員という民間企業からの寄付を得ている。毎年300万円のご寄付のもと、さらに、各プロジェクトを実施する際に、プロジェクトごとに寄付を得る。例えば、循環器であれば、循環器に関心を持つ企業2、3社からの寄付でプロジェクトを実施している。注意すべきなのは、助成の指針において一社単独のプロジェクトは実施せず、必ず複数社の賛助の元プロジェクト実施することで政策提言の中立性を保っている。さらに、ガイドライン上において政策提言の中身に関しては必ず我々が中立的かつ独立的に判断することを書面で合意の上プロジェクトを実施している。
国からの補助金などについても留意している。これまで受けてきた中で大きなものとして、例えば国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED: Japan Agency for Medical Research and Development)からの研究費や厚生労働科学研究費、老人保健健康増進等事業などがある。これらはすべて公募案件であり、かつ全体予算の中で多い時でも近年は10%程度という形で独立性と中立性を維持している。世界で中立性が評価される際は、国からの中立性、独立性が強調されるが、HGPIはこうした側面においても独立・中立的に活動している。
今後も市民主体の医療政策の実現に向け、独立性を堅持して活動を継続して参りたい。

 

【開催概要】

  • 登壇者:
    黒川 清
    (日本医療政策機構 代表理事)
    乗竹 亮治
    (日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
    吉村 英里
    (日本医療政策機構 シニアマネージャー)
  • 日時:2024年1月16日(火)19:00-20:30
  • 形式:対面
  • 会場:Global Business Hub Tokyo
    (〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階)
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料
  • 定員:100名(個人賛助会員優先)

■プロフィール:

黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
東京大学医学部卒。1969-84年在米、UCLA医学部内科教授、東京大学医学部内科教授、東海大学医学部長、日本学術会議会長(2003-06年)、内閣府総合科学技術会議議員(03-06年)、内閣特別顧問(06-08年)、WHOコミッショナー(05-09年)などを歴任。国会による東京電力福島原発事故調査委員会委員長(11-12年)、 グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)代表理事・会長(13-18年)、内閣官房健康・医療戦略室健康・医療戦略参与(13-19年)など。現在、世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)委員・副議長、新型コロナウイルス対策の効果を検証する国のAIアドバイザリー・ボードの委員長、政策研究大学院大学・東京大学名誉教授。東海大学特別栄誉教授。

乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO。日本医療政策機構設立初期の2005年に参画。患者アドボカシー団体の国際連携支援や、震災復興支援プロジェクトなどをリード。その後、大学院留学を経て、『Health Affairs』を発刊することでも知られる、米国の医療人道支援財団「Project HOPE」にて、勤務。ベトナム、フィリピンなどアジア太平洋地域で、官民連携による被災地支援や健康増進プロジェクトに従事。また、米海軍による病院船を活用した医療人道支援プログラムをはじめ、軍民連携プログラムにも多く従事。米海軍主催の医療人道支援プロジェクトにて、自衛艦「くにさき」に乗艦勤務。WHO(世界保健機関)’Expert Consultation on Impact Assessment as a tool for Multisectoral Action on Health’ワーキンググループメンバー(2012)。政策研究大学院大学客員研究員(2016-2020)。東京都「超高齢社会における東京のあり方懇談会」委員(2018)。経済産業省「認知症イノベーションアライアンスWG」メンバー、世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)委員、グローバル企業のアドバイザーなども務めている。慶應義塾大学総合政策学部卒業、オランダ・アムステルダム大学医療人類学修士。2022年度第32回武見奨励賞受賞。2016年から現職。

吉村 英里(日本医療政策機構 シニアマネージャー)
鹿児島県出身。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、国内医療機器メーカーを経て、米国系IT企業の戦略コンサルティング部門にて、製造会社などのグローバルビジネスプロセスやサプライチェーン改革に従事。その後、国際ロータリー財団グローバル奨学生として渡米、カリフォルニア大学サンフランシスコ校修士課程でグローバルヘルスを専攻し、インドネシア・スラウェシ島にて母子保健のフィールドワークも経験した。(MSc.グローバルヘルス)。大学院卒業後、2016年より日本医療政策機構に参画。発展途上国における医薬品アクセス向上や薬剤耐性菌などのグローバルヘルスプロジェクトに従事した他、認知症に関する産官学民連携の推進や世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)との協働調査、神奈川県の保健医療政策に関するプロジェクトの企画立案・マネジメント・実行、次世代公衆衛生リーダー育成プログラムの企画等に取り組んでいる。

 

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