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第12回朝食会「医療制度改革と社会保険病院の経営改革」

第12回朝食会「医療制度改革と社会保険病院の経営改革」
去る2007年9月13日、第12回朝食会を開催いたしました。今回は全国社会保険協会連合会理事長の伊藤雅治先生に「医療制度改革と社会保険病院の経営改革」というテーマでご講演頂きました。多数の皆様にご参加いただき、誠にありがとうございました。

(当機構代表理事 黒川挨拶)
現在、社会保険庁問題など役所の数々の問題が浮上しているが、それは戦後から続く年功序列の体制で真剣勝負をしたことのない者が上にいく社会システムのせいである。伊藤さんは行政担当の経験があり、医療の現状を細部までよく知っている心の温かい真面目な方で、このような方がどういう風に日本を変えたいと思っているかの話は大変貴重である。

(要旨)
「医療制度改革と社会保険病院の経営改革」

そもそも社会保険病院は国民皆保険制度を実施するに当たって保健あって医療なしという状況はまずいということで、保健者が設置した病院であり、社会保険診療を普及させることを目標としていた。現在社会保険病院が直面している2つの課題は、

①社会保険庁が管轄する社会保険病院のあり方についての見直し(新しい経営形態の模索)

②平成18年度の医療制度改革への対応

である。

①まず社会保険病院の体制見直しへの取り組みについて説明する。

平成14年12月に厚労省が決定した改革概要では平成18年度に整理合理化計画を策定する予定であった。しかし、その後の社会保険庁のあり方をめぐる議論の中で大幅に改革は遅れており、参議院議員選挙が終わってこれからやっと整理合理化計画に取り組もうとしているところである。

一方で、国からの保険料財源に依存しないで自立できる社会保険病院を目指してこれまで経営改善を進めてきた。その基本的な考え方は個別病院の経営責任を明確化することにある。これまでは赤字の病院は黒字の病院に頼り、足を引っ張る形だった。この改善のために、個別病院の決定権限を強くし、給与体系も抜本的に見直した。また、これまでは診療収入の3%を本部に納めて、それを理事長の判断で各病院に戻すやり方をとっていたが、はじめから3%ありきではなくて、まずはグループで何をするかを考え(研修の充実など)、そのために必要な資金を納めてもらう形に変え、本部への納付金を0.5%に削減した。また、経営不振病院への援助に関しても、これまでのような理事長の独断による決定ではなく、委員会による精査に基づいた判断がなされるようになった。

給与体系の見直しについては、規定を全病院共通から病院ごとに変え、病院の経営実態を反映できる制度にした。実行に当たっては、社会保険病院は労働組合が強いところなので、組合を納得させるように手順をきちんと踏むことにとても留意し、そのためいくつか起きた裁判も全て最終的には組合側からの取り下げという形で解決できた。

このような取り組みにより14年度の赤字経営は改善され、17年度では全病院で黒字になった。しかし、患者数の減少が続いていることと18年度の診療報酬改定が響いて、18年度では収入が減少し、14病院で再び赤字が出てしまった。今後も継続的な取り組みが必要である。

他にも、糖尿病の一次予防の共同研究など、社会保険病院としてふさわしい事業にも積極的に取り組んできており、これからもその活動を続けていきたい。

②社会保険病院が抱えるもう一つの課題である医療制度改革への対応について説明する。基本的な取り組みは、医療機能の分化・連携の構築、研修事業の充実、健診・保健指導の制度化、新しい看護基準への対応などである。中でも、健診・保健指導については社会保険病院が健診施設を併設している強みを活かして、積極的に取り組んでいる。健診をいかに保健指導につなげていくかが課題。また、研修事業の充実に関しても、看護職員卒後臨床研修のモデル事業や退院調整看護師の養成などを行っている。このようなモデル事業により、新卒看護師の注目を大いに浴びている。これからも積極的にモデル事業の中身の情報発信を行っていきたい。他にも、ハーバード大学の医療安全マニュアルを参考にして、既存のマニュアルを全面改訂し、新しい時代に即したマニュアルを作成した。

社会保険病院の経営改善に最も重要なのは、経営実態に関する情報を全職員に開示することで職員の意識を改革していくことだ。その上で、院長がリーダーシップを発揮して職員の意見を集約し、病院の目標に向かって進んでいかなければならない。

今後生き残れる病院になるには、患者に選ばれるのは勿論のこと、医師、看護師に選ばれる病院にならなければならない。そのためにも、各病院の機能を明確にして情報公開する体制が必要となってくる。

申込締切日:2007-09-12

開催日:2007-09-13


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