第3回朝食会「鎮守の森・お寺・福祉環境ネットワーク事始め」
日付:2006年2月18日
![第3回朝食会「鎮守の森・お寺・福祉環境ネットワーク事始め」](https://hgpi.org/wp-content/uploads/20070508bfm_3.jpg)
今回は、当機構理事の廣井良典が「鎮守の森・お寺・福祉環境ネットワーク事始め―「自然のスピリチュアリティ」とコミュニティづくり」をテーマに講演させていただきました。
(要旨)
本日のテーマにある「鎮守の森」は医療と関係がなさそうなテーマだが、最終的にはつながっている。最近の調査では、鎮守の森はCO2の吸収効果も、杉の多い産業林に比較して3.3倍であり、地域社会にとって欠かせない自然である。ところでヨーロッパを地方の列車等で旅すると、各々の集落には必ず教会があることに気付く人も多いだろう。日本の神社やお寺もそのような役割を担っている。しかし、西洋の教会は尖塔が空に高くそびえており、神に近づくことを志向するのに比較して、日本の寺社は建物自体はみすぼらしいが、こんもりとした森に抱かれているという違いがある。日本的な風土には鎮守の森がイメージしやすい。
それでは自然と医療はどのように繋がっていたのか。かつての日本では個人とコミュニティは深く結びついていた。しかしながらこの両者がどんどん離れていく現在、ケアとは個人をコミュニティ、自然そしてスピリチュアテイにつなげていくことではないだろうか。自然や八百万の神を意識することにより、物理的なものを超えて、人間と自然とを結びつけることができるのではないか。
現在は医療・福祉・環境・宗教、全てが縦割りであるが、本来は深く関連している分野である。これらを再びつないでいくためにはどうしたら良いだろうか。
事例研究としては、現代版・鎮守の森として神社を使ったプレイセンター・ピカソ(国分寺市)が挙げられる。行政が行う保育所ではなく、地域住民による保育の試みである。遊びを中心とするプレイセンターであるが、地域の高齢者が集まるコミュニティにもなっている。次に「NPOちんじゅの森」は、地域に伝わっている民話を、現代風の演劇にして保育所などで上演している。ホスピスと結び付ける試みも進めているが、私も「鎮守の森ホスピス」があってよいと思う。またお寺の活動としては、法然院(京都市)はよく紹介されるが、地域に開かれたコミュニティとしての役割を果たしている。
環境学習は住職が中心となり、檀家という閉鎖的なコミュニティではなく、本来のお寺の役割を果たすべく「森の教室」、「共生き堂」といった活動を行っている。神社やお寺に限らないが、高度成長期に忘れられていた空間は、貴重な社会資源として、地域の高齢者、世代間交流、空間の再利用、地域再生に活用すべく見直す段階だろう。
またキリスト教でも生者と死者の共同体という言葉あるように、コミュニティは本来死者をも含む言葉である。戦後の日本は経済成長と都市への人口大移動に伴い、コミュニティの中心にあったものを失ってきた。日本の今後の課題として、何を中心にしてコミュニティを再生していくのか、考える段階にあるだろう。
(要旨)
本日のテーマにある「鎮守の森」は医療と関係がなさそうなテーマだが、最終的にはつながっている。最近の調査では、鎮守の森はCO2の吸収効果も、杉の多い産業林に比較して3.3倍であり、地域社会にとって欠かせない自然である。ところでヨーロッパを地方の列車等で旅すると、各々の集落には必ず教会があることに気付く人も多いだろう。日本の神社やお寺もそのような役割を担っている。しかし、西洋の教会は尖塔が空に高くそびえており、神に近づくことを志向するのに比較して、日本の寺社は建物自体はみすぼらしいが、こんもりとした森に抱かれているという違いがある。日本的な風土には鎮守の森がイメージしやすい。
それでは自然と医療はどのように繋がっていたのか。かつての日本では個人とコミュニティは深く結びついていた。しかしながらこの両者がどんどん離れていく現在、ケアとは個人をコミュニティ、自然そしてスピリチュアテイにつなげていくことではないだろうか。自然や八百万の神を意識することにより、物理的なものを超えて、人間と自然とを結びつけることができるのではないか。
現在は医療・福祉・環境・宗教、全てが縦割りであるが、本来は深く関連している分野である。これらを再びつないでいくためにはどうしたら良いだろうか。
事例研究としては、現代版・鎮守の森として神社を使ったプレイセンター・ピカソ(国分寺市)が挙げられる。行政が行う保育所ではなく、地域住民による保育の試みである。遊びを中心とするプレイセンターであるが、地域の高齢者が集まるコミュニティにもなっている。次に「NPOちんじゅの森」は、地域に伝わっている民話を、現代風の演劇にして保育所などで上演している。ホスピスと結び付ける試みも進めているが、私も「鎮守の森ホスピス」があってよいと思う。またお寺の活動としては、法然院(京都市)はよく紹介されるが、地域に開かれたコミュニティとしての役割を果たしている。
環境学習は住職が中心となり、檀家という閉鎖的なコミュニティではなく、本来のお寺の役割を果たすべく「森の教室」、「共生き堂」といった活動を行っている。神社やお寺に限らないが、高度成長期に忘れられていた空間は、貴重な社会資源として、地域の高齢者、世代間交流、空間の再利用、地域再生に活用すべく見直す段階だろう。
またキリスト教でも生者と死者の共同体という言葉あるように、コミュニティは本来死者をも含む言葉である。戦後の日本は経済成長と都市への人口大移動に伴い、コミュニティの中心にあったものを失ってきた。日本の今後の課題として、何を中心にしてコミュニティを再生していくのか、考える段階にあるだろう。
申込締切日:2006-02-17
開催日:2006-02-18
調査・提言ランキング
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【政策提言】保健医療分野における気候変動国家戦略(2024年6月26日)
- 【出版報告】医療政策の形成過程における患者・市民参画(PPI)の手引き―患者・市民と行政それぞれに求められる取り組みとその好事例(2024年3月31日)
- 【政策提言】腎疾患対策推進プロジェクト 2023「患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて」政策提言・地方自治体における慢性腎臓病(CKD)対策好事例集(2024年2月14日)
- 【お知らせ】若年層へのブレインヘルスに関する国際調査に参画「The Next Generation (NextGen) Brain Health research program」(2024年7月1日)
- 【調査報告】「2023年 日本の医療の満足度、および生成AIの医療応用に関する世論調査」(2024年1月11日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【翻訳公開】「薬剤耐性(AMR)の脅威の高まりに対応するための実践的な打ち手の要求」(2024年7月3日)
- 【政策提言】「認知症施策推進基本計画策定へ、今必要な3つの視点」~誰もが、いつでも、「共に生きる」社会の実現を目指して~(2024年4月1日)
- 【政策提言】患者当事者支援プロジェクト「政策形成過程への患者・市民参画の推進に向けて」(2024年5月14日)
注目の投稿
-
2024-07-01
【申込受付中】患者当事者プロジェクト オンライン専門家会合「患者・当事者・市民と作る、これからの医療政策」(2024年7月26日)
-
2024-07-17
【開催報告】超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線:腎臓病の克服を目指してーCKD対策のさらなる強化に向けてー」(2024年6月7日)
-
2024-07-18
【申込受付中】(ハイブリッド開催)腎疾患対策推進プロジェクト 公開シンポジウム「患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて」(2024年8月28日)
-
2024-07-22
【HGPI政策コラム】(No.44)-プラネタリーヘルスプロジェクトより-第9回:コネクティング・クライメート・マインズ-気候変動とメンタルヘルスを結びつける
-
2024-07-23
【申込受付中】(オンライン開催)HGPIセミナー特別編「カビが引き起こす感染症と薬剤耐性対策を考える ~薬剤耐性真菌という新たな脅威」(2024年8月23日)