【開催報告】定例朝食会 特別編「ヘルステクノロジー政策アクションシリーズ 第3回~世界の医療ICT~」(2016年10月21日)
日付:2016年11月1日
タグ: HGPIセミナー

本朝食会では、「オランダにおける医療ICT政策の推移と教訓」と題して、オランダ国立医療ICT研究所(NICTIZ)シニア・アドバイザーのDr. Michiel Sprenger氏にご講演頂きました。Sprenger氏が長年にわたり関わり、現在も戦略アドバイザーを務めているNICTIZの設立から現在までの経緯とオランダにおける医療ICT政策の推移と教訓についてお話しいただきました。
Q&Aセッションでは、現代の民主国家において、医療情報の収集と利活用について、どのようなコンセンサスを国民や患者などの利用者と得ていくべきか、日本とも共通する政策課題や倫理的課題も多く、会場からもオランダの好事例と教訓について、活発な質問やコメントが寄せられました。
~講演内容要旨~
■NICTIZの取り組み
NICTIZは、オランダ国内の医療ITシステムの連携および医療機関間の患者の情報共有を目的として発足した第三者機関であり、さまざまな医療システムにある患者の情報を、全国規模に整備されたITインフラを介して取り出す仕組みの開発に取り組んできた。
一方で、その道のりは平たんではなく、国主導の一体型の情報集約システムの構築と収集された情報の利活用に関するNICTIZの提案は、当初はプライバシー保護の懸念などの理由によって、議会で否決された。
その後、国民的議論や欧州レベルでの議論を経て、2014年に、オランダ医療情報協議会(HC Information Council)が設立され、持続可能ですべてのステークホルダーが双方向的に接続可能な医療ICTプラットフォームの構築を目指している。
■国民主体の医療ICTプラットフォームの構築
2016年10月には、患者や市民が自分自身の医療情報に電子的にアクセスできる権利と、医療情報の共有範囲や共有相手を、患者や市民が個々人で決定できる権利についての法案が成立。患者主体で国民主体の医療ICTプラットフォームの構築を、常に目指している。
■医療ICTの推進について
医療ICTの推進にあたっては、電子カルテや医療ICTのシステムを導入すれば、すべてがうまくいくのではなく、適切な政策、適切な医療プロセス、適切な情報内容、適切な実施体制、適切なテクノロジーが一体となって、本質的な推進が可能となる。
開催日:2016-10-21
調査・提言ランキング
- 【論点整理】ラウンドテーブル・ディスカッション「社会課題としての更年期女性の健康推進」(2024年11月19日)
- 【政策提言】「災害級の暑さ」への備えを骨太の方針2025に(2025年6月9日)
- 【政策提言】成長戦略としての「プラネタリーヘルス」の統合に向けて~新しい資本主義実行計画(2025年改訂版)への提案~(2025年6月9日)
- 【調査報告】「2025年 日本の医療に関する世論調査」(2025年3月17日)
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【政策提言】「がん遺伝子パネル検査への患者アクセス保障と保険外併用療養費制度活用にあたっての留意点」(2025年4月28日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【論点整理】血液疾患対策推進プロジェクト「血液疾患対策の推進に向けた現状の課題と展望」(速報版)(2025年6月13日)
- 【政策提言】肥満症対策推進プロジェクト2023「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策の実装を目指して」(2024年4月8日)
- 【調査報告】「2023年 日本の医療の満足度、および生成AIの医療応用に関する世論調査」(2024年1月11日)
注目の投稿
-
2025-01-31
【提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本の国際保健政策と国内プロセス」報告書(2025年1月31日)
-
2025-07-04
【申込受付中】(オンライン開催)第136回HGPIセミナー「精神保健研究におけるPPIの現在地とこれから ― TOGETHERプロジェクトに学ぶ共創のかたち ―」(2025年7月28日)
-
2025-07-04
【開催報告】循環器病対策推進プロジェクト オンライングローバルシンポジウム 「アジア・太平洋地域の政策事例とともに考える、これからの循環器病対策」(2025年3月13日)
-
2025-07-04
【HGPI政策コラム】(No.62)―認知症プロジェクトよりー「国際社会の認知症施策の現在地 2025」
-
2025-07-04
【政策提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本における『医薬品の費用対効果評価』のより良い活用に向けて」(2025年5月7日)