2023年03月24日

※開催報告書を公開いたしました(2023年3月24日)
※シンポジウムのアーカイブ動画を公開いたしました。(2022年10月5日)

日本医療政策機構は、2022年10月10日(月・祝)世界メンタルヘルスデーに合わせて公開シンポジウム「災害時のメンタルヘルス支援~応急対応から継続対応に向けた支援者連携のあり方~」を会場(コモレ四谷タワーコンファレンス)とオンライン(Zoom)によるハイブリッド形式にて開催いたしました。

メンタルヘルス政策プロジェクトでは、2020年度「災害メンタルヘルスを念頭においた地域づくりを考える」専門家会合を皮切りに災害メンタルヘルスに関する議論をスタートさせました。2021年度には地方自治体の災害時メンタルヘルス対策の事例収集や今後の取り組みの在り方について検討を行い、2022年度は、前年度に収集した事例集の多言語によるグローバルへの発信に加え、命や安全の確保を目的とした応急期のメンタルヘルス支援から、被災生活の継続そして復興に向かう上で必要な、切れ目のない支援体制の構築に向けた論点整理と今後の打ち手を考えることを目指しています。災害時においても、誰もがこころの健康を保持しながら生活を送るには、組織や立場を超えた一体的なメンタルヘルス支援の体制整備が必要不可欠です。2つとして同じ災害はないと言われているように、メンタルヘルスも一人一人不調の基準は異なります。人々が災害に直面しても同じ地域で同じように生活していくためにも、過去の災害対応をメンタルヘルスの観点で整理し未知の災害に備えることは、地域の生活基盤を整備するという点で喫緊の課題であると言えます。

本シンポジウムでは災害フェーズの移り変わり、特に応急期から復旧・復興期における連携の課題に焦点を当て、基調講演およびリレートーク、並びに地域住民やメンタルヘルス当事者の視点を重視しながら下記のテーマでご登壇者全員によるパネルディスカッションを行いました。


主な論点は以下の通り:

  • 災害メンタルヘルス特有の課題の多様性とどう向き合うか
  • 多様な支援と多様なニーズをいかに適切にマッチングさせるか
  • 災害対応から生活支援にいかにスムーズに移行するか


誰もがメンタルヘルス課題を抱える可能性があることを前提に、人々が災害時であってもその人らしい生活を送ることができるような地域における災害メンタルヘルス対策の在り方についてシームレスな連携体制の構築に向けた今後の打ち手を考えました。

■セミナー動画(約2時間10分(130分)・日本語のみ)

 

【開催概要】

  • 日時:2022年10月10日(月・祝)13:00-15:00
  • 形式:ハイブリット形式(会場とオンラインでの登壇・参加)
  • 会場:コモレ四谷タワーコンファレンス/Zoomウェビナー
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料

 

【プログラム】(順不同・敬称略)

13:00-13:05 開会・趣旨説明

  • 栗田 駿一郎(日本医療政策機構 マネージャー)

13:05-13:15 基調講演1「災害時メンタルヘルス支援の特徴と特殊性」

  • 原田 奈穂子(岡山大学 学術研究院ヘルスシステム統合科学研究科看護科学分野/医学部保健学科看護学専攻基礎看護学 教授)

13:15-13:25 基調講演2「災害時メンタルヘルス支援の実態と課題~応急期から復旧・復興期への移行に焦点をあてて~」

  • 辻本 哲士(全国精神保健福祉センター長会 会長)

13:30-13:40 基調講演3「災害時の多組織連携~官民連携の実態と課題~」

  • 木脇 弘二(全国保健所長会 熊本県八代保健所 所長)

13:40-14:00 リレートーク「災害時メンタルヘルス支援への取り組みと課題」

  •    
  • 下田 章子(心理相談室 グリーンフィールド 代表)
    吹田 博史(武田薬品工業株式会社 グローバルコーポレートアフェアーズ グローバルCSR&パートナーシップストラテジー ジャパンCSR ヘッド)
    菅野 拓(大阪公立大学 大学院文学研究科 人間行動学専攻 准教授)
    須藤 雫(熊本県発達障害当事者会 Little bit(リルビット) 共同代表理事)
  • 明城 徹也(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 事務局長)
    山田 悠平(一般社団法人 精神障害当事者会ポルケ 代表理事)

14:05-15:00 パネルディスカッション「シームレスな災害時メンタルヘルス支援に向けて」

 

パネリスト

  • 木脇 弘二(全国保健所長会 熊本県八代保健所 所長)
    下田 章子(心理相談室 グリーンフィールド 代表)
    吹田 博史(武田薬品工業株式会社 グローバルコーポレートアフェアーズ グローバルCSR&パートナーシップストラテジー ジャパンCSR ヘッド)
    菅野 拓(大阪公立大学 大学院文学研究科 人間行動学専攻 准教授)
    須藤 雫(熊本県発達障害当事者会 Little bit(リルビット) 共同代表理事)
  • 辻本 哲士(全国精神保健福祉センター長会 会長)
  • 原田 奈穂子(岡山大学 学術研究院ヘルスシステム統合科学研究科看護科学分野/医学部保健学科看護学専攻基礎看護学 教授)
    明城 徹也(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 事務局長)
    山田 悠平(一般社団法人 精神障害当事者会ポルケ 代表理事)

モデレーター

  • 滋野 界(日本医療政策機構 アソシエイト)

 

 

 

 

 

 

2023年03月22日

日本医療政策機構は、超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線:こどものメンタルヘルスを考える~教育現場の抱える課題とストレスマネジメント~」を開催いたしました。

今回は、早稲田大学人間科学学術院 教授/日本ストレスマネジメント学会 理事長の嶋田洋徳氏が講演し、こどものストレスマネジメントについて、その要因や近年の動向、ストレス反応とその気づき方や対象方法などについて概要をご紹介いただいたほか、最近の政策動向や学校や家庭が抱える課題について、さらには今後のあるべき方向性についてご説明いただきました。

講演後の質疑応答では、出席議員から多くの質問や意見が相次ぎ、活発な意見交換の機会となりました。


<講演のポイント>

  • 子どもたちへのストレスマネジメント教育は、その重要性が広く認識されてきており、科学的なエビデンスや、学校関連の法令・指針等の整備が整いつつある
  • しかしながら、学校現場では、多様かつ大量のカリキュラム実施が求められており、ストレスマネジメント教育を新たに充実させる余地が少ない
  • 現行では、保健体育科や総合的な学習、特別活動の時間内でやりくりしている状況であるが、その他の科目内でも取り扱う余地は広く、全体を俯瞰しながらカリキュラムの中に取り込んでいくといった観点も必要である
  • まだGIGAスクール構想によって、児童・生徒へのタブレット等の配布も進んでおり、従来の教員による講義等に限定せず、成人でも実施されているストレスチェックやその他ICTを活用した取り組みは実現可能性も高く、検討を進めるべきである

 

【プログラム】(敬称略)

趣旨説明
栗田 駿一郎(日本医療政策機構 マネージャー)

開会の辞
青山 周平(衆議院議員)

講演「こどものストレスマネジメントと教育現場の課題」
嶋田 洋徳(早稲田大学人間科学学術院 教授/日本ストレスマネジメント学会 理事長)

指定発言
伊藤 孝恵(参議院議員)

梅村 みずほ(参議院議員)

2023年03月20日

日本医療政策機構(HGPI)認知症政策プロジェクトでは、この度、認知症の早期発見・早期対応の推進に向けて、先進的な取り組みを進める関係者のヒアリングを行い、「認知症の早期発見・早期対応の促進に向けた好事例集」を取りまとめました。詳細については下部PDFをご覧ください。

日本医療政策機構(HGPI)では、認知症を取り巻く様々な政策課題を取り上げ、その解決を目指し、取り組みを重ねてまいりました。2022年7月には、これまでの活動から得られた知見を基に、政策提言「これからの認知症政策 2022~認知症の人や家族を中心とした国際社会をリードする認知症政策の深化に向けて~」を公表し、今後の認知症政策に求められる視点を「社会環境」「ケア」「研究」「政治的リーダーシップ」の4つに整理しました。そのうち、「ケア」の主要項目として、当事者のニーズに基づく早期発見・早期対応の推進を提言しています。

国の認知症政策においても、早期発見・早期対応の推進は、2012年策定の「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」の時代から一貫して主要項目として位置づけられていますが、依然として課題であり続けています。現在は、主に介護保険制度における地域支援事業のうち包括的支援事業として市町村(基礎自治体)が中心的な役割を担い、都道府県(広域自治体)がその支援を行うという体制が敷かれています。そのため、その推進状況は自治体の対応力に大きく左右される状況にあり、日本全国での更なる推進に向けては、先進的な自治体の取り組みを他の自治体に横展開していくことが重要です。また、早期発見・早期対応の推進には、自治体職員の孤軍奮闘ではなく、地域の保健医療福祉の関係者をはじめマルチステークホルダーと広く連携し、地域包括ケアシステムの枠組みの中で、効果的・効率的に対応体制を構築することも期待されます。実際に、市民・当事者団体や医療・介護施設、民間企業と自治体とが連携した取り組みも見られ、多様なステークホルダーによる取り組みの推進が期待されます。

本プロジェクトでは、早期発見・早期対応のさらなる推進に向けて、先進的な取り組みを進める様々なステークホルダーへのヒアリングを行いました。「認知症の早期発見・早期対応の促進に向けた好事例集」では、これらの好事例の横展開を目指して、各取り組みの詳細、更にはその実現の過程で乗り越えてきた課題や、その際の工夫を取りまとめました。

※なお、英語版は後日公表を予定しております。

2023年03月20日

日本医療政策機構(HGPI)認知症政策プロジェクトでは、認知症の早期発見・早期対応の推進に向けて、先進的な取り組みを進める関係者のヒアリングを行い、「認知症の早期発見・早期対応の促進に向けた好事例集」を公表しました。この度、事例集の取りまとめに向けたヒアリングや、当機構のこれまでの活動の中で得られた知見に基づき、早期発見・早期対応の深化に向けて必要な政策を、政策提言「早期発見・早期対応の深化に向けた今後の論点」に整理しました。

※なお、政策提言は、当機構がこれまでの議論、インタビュー等を踏まえて独自に取りまとめたものであり、特定の個人または団体の意見を記載するものではありません。

 

■政策提言「早期発見・早期対応の深化に向けた今後の論点」の概要

  1. 今を生きる認知症の本人のメッセージを受け取り、「古い認知症観」から脱却する
  2. 地域コミュニティやかかりつけ医など、自分が信頼できる相談先を見つけておく
  3. デジタル技術をはじめとした民間企業の新しいソリューションの実装に向けた「官・民・当事者連携」を強化する
  4. 自治体の相談窓口のワンストップ化と多様化する相談へ対応するための連携体制を強化する
  5. 認知症の気づきから診断前後まで、一体的支援体制を構築する
    • 一体的支援の核となる「認知症初期集中支援チーム」の再定義
    • 多様な地域資源のコーディネーターとしての認知症地域支援推進員の位置づけ
    • ピアサポートの普及促進と質の向上に向けて
2023年03月17日

少子高齢化が喫緊の課題となっている我が国においては、今後如何に出生数を増やしていくかと同時に、子どもに対して妊娠中から成人するまでの間に切れ目ない支援を提供することで、子どもの成長にとって安心できる環境を整備していくことが必要です。2018年には子ども・子育てのサポートを一層推進するための理念法である成育基本法(正式名称「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」)が成立しました。さらに、2021年には政府が今後進めるべき施策である成育医療等基本方針が閣議決定されています。画期的な進展であるものの、成育基本方針の記載内容は、現状では基本的な方針部分のみであり、今後国及び各自治体の具体的な施策の実施内容や、政策評価を行う上でのモニタリング指標のあり方については議論の途上であり、マルチステークホルダーによる課題や論点の抽出が希求されています。

そこで、日本医療政策機構では、子どもの健康推進プロジェクトを立ち上げ、今後進められる国や自治体での取り組みにも反映されることを目的とし、各分野の有識者に対するヒアリングなどをもとに、2023年2月に緊急提⾔を策定しました。緊急提言では、官民連携や省庁間・自治体間の連携の推進、バイオサイコソーシャル(身体的・心理的・社会的)な視点での政策評価の必要性、各自治体で生まれつつある好事例の横展開の重要性などが提起されています。

■【緊急提言】成育基本法・成育基本計画の実施と運用に向けた課題と展望(2023年2月17日)

この政策提言の内容を広く発信し議論を深化させるべく、日本医療政策機構では以下の通り公開フォーラムをハイブリッド形式で開催いたします。本フォーラムでは、長年にわたり、子どもの健康政策を推進され、当機構「子どもの健康推進プロジェクト」スペシャルアドバイザーとしてご助言をいただいている五十嵐隆氏(国立成育医療研究センター 理事長)をお招きし、ご講演いただきます。また、「Children Firstの子ども行政のあり方勉強会」の共同代表を務められ、子ども家庭庁創設に向けた提言を取りまとめられた、自見はなこ氏(参議院議員)にもお話しいただきます。


 

 

【開催概要】

  • 日時: 2023年4月6日(木)16:00-18:00
  • 形式: ハイブリッド開催
    (現地参加・オンライン(ZOOMウェビナー))
  • 会場: 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ Global Business Hub Tokyo
    アクセス
  • 主催: 特定非営利活動法人 日本医療政策機構(HGPI)
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料
  • 定員:会場 30名(応募多数の場合、抽選)・オンライン 200名
    会場参加でのお申し込みの締め切りは2023年4月2日(日)23:59とさせていただきます。イベント申し込み時点では確定せず、当機構にて抽選の後、会場参加申し込みをいただいた皆様には結果を2023年4月3日(月)中にお知らせいたします。個人賛助会員の方は、優先的にご案内いたします。

 

【プログラム】(敬称略・順不同)

16:00-16:20 開会・趣旨説明・日本医療政策機構による緊急提言の紹介

乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)

16:20-16:30 緊急提言を踏まえた 成育基本法・成育基本計画の実施と運用に向けた次の打ち手

千先 園子(国立成育医療研究センター こどもシンクタンク企画調整室 副室長)

16:35-17:20 基調講演(1) “異次元”の子ども関連施策の推進に向けて期待される視座

五十嵐 隆(国立成育医療研究センター 理事長)

17:25-17:45 基調講演(2) 「チルドレン・ファースト」社会の実現に向けて

自見 はなこ(参議院議員)

17:50-18:00 閉会の辞

黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)

 

■登壇者プロフィール

五十嵐 (国立成育医療研究センター 理事長)
1978年東京大学医学部医学科卒業。清瀬小児病院、Harvard大学Boston小児病院での研修後、2000年より東京大学小児科教授。副院長、東京大学教育研究評議員を兼務。東京大学名誉教授。2012年より国立成育医療研究センター理事長。日本学術会議第二部会員、日本小児科学会会長、東京大学医師会会長、日本小児腎臓病学会理事長、日本腎臓学会理事を歴任。現在、子ども環境学会会長、日本小児科学会監事、東京大学医師会監事、American Pediatric Society名誉会員。

自見 はなこ(参議院議員)
長崎県佐世保市生まれ北九州育ち。1998 年筑波大学第三学群国際関係学類卒業、2004年東海大学医学部医学科卒業。小児科専門医。日本医師連盟・日本小児科医連盟参与、東海大学医学部医学科客員准教授。東京大学医学部付属病院小児科、青梅市立総合病院小児科、虎の門病院小児科等での勤務を経て、2016 年参議院議員選挙比例区(全国区)より初当選。自民党女性局長代理、厚生労働大臣政務官等を歴任し、現在参議院厚生労働委員会理事、自民党政務調査会厚生労働部会副部会長、自民党政調新型コロナウイルス対策本部「訪日外国人観光客コロナ対策PT」事務局長、自民党女性局長等を務める。

 

2023年03月15日

日本医療政策機構 女性の健康プロジェクトでは、女性の健康週間(3月1日~8日)に合わせて調査報告書「社会経済的要因と女性の健康に関する調査提言」を公表いたしました。

女性の活躍推進は、2014年に当時の安倍政権が「人材の活躍強化」の重要項目として打ち出して以降、様々な取り組みが行われています。2016年には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性の活躍推進法)」が制定されました。また2022年には、「女性版骨太の方針2022 」が公表され、厚生労働省・経済産業省・文部科学省・内閣府男女共同参画局など様々対策が省庁横断的に進められています。

しかしながら、女性の健康に関しては各種取り組みが進められているものの、必ずしもその状況は十分ではありません。近年では個々人が属する社会経済的階層が健康水準に関係するという「健康の社会的要因(SDH: Social Determinants of Health)」が注目されていますが、女性の健康に関しても、こうした社会経済的要因に配慮した対策が求められる一方で、我が国における社会経済的要因と女性の健康の関係性については必ずしも十分に検証されていない状況です。

そこで日本医療政策機構 女性の健康プロジェクトでは、より包括的に社会経済的要因と女性の健康の関係性について検証し、政策提言することを目的として、全国25歳から59歳までの男⼥10,000名を対象にインターネットでアンケート調査しました。

本調査結果から、月経随伴症状や更年期症状が女性の社会生活に大きな影響を与え、経済的損失を生んでいること、企業規模や雇用形態によって、生理休暇の利活用状況に大きな差があり、広く労働政策まで含めた対策が必要であることが示唆されました。さらには、性別問わず女性の健康に関する知識を得る機会は非常に限られており、健康格差の固定化や再生産を防ぐために学校教育・職場研修はじめ生涯を通じて学習の機会を提供する必要があることが明らかとなりました。

 

本提言書では、これらの結果をもとに、4つの提言を行っております。

■4つの提言

提言1.女性の健康への取り組みは、女性のセクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ推進の観点に加えて、社会経済的損失抑制の観点からも重要であることを認識すること

提言2.未だ多くの女性が月経困難症や更年期による症状に悩まされており、また受診抑制が起きている現状を鑑み、医師による早期治療を受けられるよう、プライマリケア・かかりつけ産婦人科の取組を推進すること

提言3.企業間、業種間、職種間での格差、性別間での認識差を是正すること

提言4.学校教育の中で、包括的性教育の機会を作ること。また乳幼児健診や職場研修などのタイミングで親世代への再学習の機会を提供すること

※なお、英語版は後日公開いたします。

 

「女性の健康と社会経済的要因に関する調査研究プロジェクトチーム」

坂元 晴香(日本医療政策機構 シニアマネージャー)
栗田 駿一郎(日本医療政策機構 マネージャー)
河田 友紀子(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)
鈴木 秀(日本医療政策機構 アソシエイト)
本多 さやか(日本医療政策機構 プログラムスペシャリスト)

 

外部有識者(敬称略)

飯田 美穂(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室 専任講師)

 

調査研究協力者(敬称略・順不同)

岡本 翔平(東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム 特別研究員)
後藤 励(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 教授)
笠原 真吾(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 大学院生)
野村 周平(慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学 特任准教授)
江口 哲史(千葉大学予防医学センター 講師)

 

協賛企業・組織

バイエル薬品株式会社
富士製薬工業株式会社

 

※本提言は、ヒアリングをもとに、独立した医療政策シンクタンクとして日本医療政策機構が取りまとめたものであり、アドバイザリーボード・メンバー参加者などの関係者、および関係者が所属する団体の見解を示すものでは一切ありません。また、当機構の「寄附・助成の受領に関する指針」に基づき、協賛社の有無や意向に関わらず、事業の方向性や内容を独自に決定しております。

2023年03月15日

日本医療政策機構 循環器病対策推進プロジェクトでは、地域の特性を活かした循環器病対策の推進と、各自治体に蓄積された教訓や好事例の共有を目的とし、九州・四国地方の行政担当者を対象に、「循環器病対策推進に向けた九州・四国サミット(意見交換会)」を2022年10月に開催いたしました。

本サミットで議論された課題や今後の展望について、以下の通り論点を抽出しました。(詳細はページ下部PDFを参照)

 

論点整理

  • 論点1 各都道府県(以下、各県)において循環器病対策推進基本計画(以下、循環器病計画)の策定と実施が求められている一方で、各県はその他保健医療に関する計画も多く策定する必要があり、循環器病計画の独自性とその他計画との整合性を両立することが課題である
  • 論点2:各県においてロジックモデルを用いた循環器病計画の策定が検討・進行中であるが、各県の課題に応じたロジックモデルの最終アウトカム・指標の選定や項目の整理を行う必要がある
  • 論点3:国の脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業(下記、モデル事業)を各県が積極的に実施するためには、県と連携する医療機関や大学病院などの理解と協力、官学医連携に際する人材確保・育成などが課題として挙がっており、各県において官学医連携が促進されるモデル事業の設計が求められている
  • 論点4:循環器病対策の均てん化に向けて、国によるモデル事業の実施は有用であり、県によってはモデル事業の後継事業を独自予算で継続できるよう協議がされているが、国の経年的で十分な財政的支援も必要である
  • 論点5:各県が循環器病計画の実施を促進するにあたり、民間企業との連携協定を締結するケースが見られるが、連携する民間企業の選定基準がないことが課題になりえる
  • 論点6:循環器病計画策定後、各県の県庁内において様々な担当部局で経時的に多岐にわたる取り組みが進むため、県庁内での進捗把握・評価が課題となる
  • 論点7:循環器病領域での患者・当事者参画を促進すべく、各県における循環器病に関する患者・当事者組織の実態把握を行うと同時に、患者・当事者が循環器病計画に関する議論に積極的に参加できるよう、患者・当事者側に十分な情報提供を行う必要がある
  • 論点8:各県が他県の取り組みを相互参照できるプラットフォームの創出が必要である
2023年03月13日

日本医療政策機構 シニアマネージャー菅原丈二が、GGG+誰一人取り残さない持続可能な社会構築のために~私たちは国境を越えて連帯できるのか?~「第6部 学生との未来への対応」に登壇しました。

会合および日本リザルツの活動についてはこちらよりご覧ください。

2023年03月13日

日本医療政策機構は、2023年3月31日(金)グローバル専門家会合(公開シンポジウム)「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けて」をハイブリッド形式にて開催いたします。

生活習慣の変化や都市化などの複合的要素を背景として、先進工業諸国のみならず低中所得国においても、肥満症をはじめとした慢性疾患、非感染性疾患(NCDs)が増加しており、サイレントパンデミックとも称されて久しくなります。多くの慢性疾患の要因となりえる肥満症についても、2008年から各医療保険者に「特定健康診査」及び「特定保健指導」の実施が義務付けられ、慢性疾患の重症化を予防する施策が進展してきました。いわゆる「メタボ健診」であり、メタボリックシンドロームという専門用語がひろく一般社会に浸透しました。肥満のもたらす健康被害について、市民の健康意識の改善が図られた点においても、シンボリックな政策的パラダイムシフトだったと言えます。

一方で、医療的介入も検討すべき肥満症と、一般的な肥満では対処アプローチが異なり、予防も含めた多様な介入手法が議論される必要があります。一般的な肥満の予防や介入においては、食や身体活動といった生活習慣をマネジメントしやすく、肥満の原因となる心理的ストレスの少ない社会環境を構築することが求められています。「健康の社会的要因(SDH: Social Determinants of Health)」と呼ばれる、所得や生活環境と健康の相関関係も明らかになっており、自己責任論に陥ることなく、所得格差や教育格差が健康格差につながらないよう、社会全体としての健康増進の取り組みも求められます。肥満症における医療的介入や薬物的介入手段についても、科学的で多様なアプローチが国際的に進められつつあり、各種ガイドラインの策定や更新も期待されています。

このような背景を踏まえて、日本医療政策機構では、肥満症や肥満に関する社会全体の関心を引き上げ、一段と効果的かつ有機的に対策を推進していく機運を作るべく2022年から「肥満症対策推進プロジェクト」を始動させました。当プロジェクトの第一弾として2022年9月に開催した、「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けて」アドバイザリーボード会合では、多様な専門領域からなるアドバイザリーボードを組成し、意見交換を行い、今後検討すべき論点を抽出しました。主な論点として、医学的視点での肥満症の定義づけとそれを広く社会に浸透させる重要性、科学的根拠に基づく各種ガイドライン整備、医療的介入だけでなく非医療的介入を含めた介入方法の多様化、わが国における肥満症や肥満に関する研究の拡充、エビデンスやデータに基づく政策展開、当事者にとって円滑な健康増進施策を推進するための医療情報ネットワークやデータヘルスシステム構築の必要性といった点が挙がっています。

本シンポジウムでは、上述の論点整理で浮かび上がった現状の課題や、肥満症対策における今後の展望や求められる次の打ち手について、国内外のマルチステークホルダーとともに、改めて議論し、広く社会的に発信することを目指します。特に、欧州における産官学連携で進む好事例の紹介や教訓も交えながら、慢性疾患という現代的課題の過度な「医療化」を避けつつも、適切な医療や治療が必要な当事者に届く社会を目指し議論を深めます。本シンポジウム開催後、議論の内容を取りまとめ、関係機関や政策立案者にも発信していく予定です。

 

事前登録制となりますので、ご参加希望の方は、下記登録ページよりお申込みをお願いいたします。プログラムは下記をご覧ください。

 

 

【開催概要】

  • 日時: 2023年3月31日(金)15:00-17:30
  • 形式: ハイブリッド開催
    (現地参加・オンライン(ZOOMウェビナー))
  • 会場: 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ Global Business Hub Tokyo
  • 主催: 特定非営利活動法人 日本医療政策機構(HGPI)
  • 使用言語:日本語および英語(同時通訳有り)
  • 参加費:無料
  • 定員:会場60名・オンライン200名程度
    ※登録制
    会場登録が上限に達した場合は、登録画面上で参加方法が「オンライン登録」のみとなります。

 

【プログラム】(敬称略・五十音順・暫定版のため今後変更になる可能性がございます)

15:00-15:10 開会・趣旨説明・日本医療政策機構による論点整理の紹介

乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)

15:15-15:30 基調講演(1)「わが国の肥満症対策における今後の課題と展望」

横手 幸太郎(日本肥満学会 理事長/千葉大学 医学部附属病院長)

15:30-15:40 基調講演(2)「肥満症対策を含む慢性疾患対策の政策状況(仮)」

田邉 和孝(厚生労働省 健康局 健康課 女性の健康推進室長)

15:45-16:00 基調講演(3)「海外好事例:産官学連携で進む肥満症対策」

Diana Arsovic Nielsen(デンマーク・ライフサイエンス・クラスター CEO)

16:10-17:20 パネルディスカッション「肥満症対策に求められる次の打ち手」

パネリスト:
小熊 祐子(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター・大学院 健康マネジメント研究科 准教授)
黒瀨 巌 (日本医師会 常任理事) 
近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 社会疫学分野 主任教授)
龍野 一郎(千葉県立保健医療大学 学長)
Alexandra Søgaard Helbo(ノボ ノルディスク財団 肥満・栄養科学 医学博士・シニアサイエンティフィックマネージャー)

モデレーター:
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)

17:20-17:30 閉会の辞

(調整中)

2023年03月10日

日本医療政策機構は、緊急提言「成育基本法・成育基本計画の実施と運用に向けた課題と展望」を公表しました。

少子高齢化が喫緊の課題となっている我が国においては、今後如何に出生数を増やしていくかと同時に、子どもに対して妊娠中から成人するまでの間に切れ目ない支援を提供することで、子どもの成長にとって安心できる環境を整備していくことが必要です。2018年には子ども・子育てのサポートを一層推進するための理念法である成育基本法が成立しました。さらに、2021年には政府が今後進めるべき施策である成育医療等基本方針が閣議決定されています。

これらは、画期的な進展であるものの、今後国及び各自治体の具体的な施策の実施内容や、政策評価を行う上でのモニタリング指標のあり方については議論の途上であり、マルチステークホルダーによる課題や論点の抽出が希求されています。

日本医療政策機構では、子どもの健康推進プロジェクトを立ち上げ、今後進められる国や自治体での取り組みにも反映されることを目的とし、各分野の有識者に対するヒアリングなどをもとに、以下の通り緊急提⾔を策定しました。


提言は、以下7つの要素から構成されています。

提言1:成育基本法の基本理念を広く市民社会に浸透させるとともに、成育基本法の重要な要素である「包括性・網羅性」が保たれ続ける必要がある

提言2:成育基本法に基づく各政策が全国偏りなく、広く実効性をもって展開されるために、省庁間・自治体間の連携を強化する必要がある

提言3:子どもの健康に関連するバイオサイコソーシャルな視点での政策評価・モニタリングを官民連携で行うべきであり、その指標の標準化を行い、全国での比較評価を可能とするべき

提言4:子どもの健康に関連する研究結果の速やかな社会的実装を行うべく、研究体制の構築、財政的な支援の拡充、官学間連携の継続的な推進が求められる

提言5:デジタルヘルス等を活用し医療提供体制を集約化するとともに、医療と福祉や行政の連携を推進する必要がある

提言6:家族全員を支援対象としてとらえ、子育て支援を切れ目なく実施するための、官民を含めた複合的な体制を構築する必要がある

提言7:周産期から学童期にかけて、支援・対策が不足している課題については、重点的に支援を充実させる必要がある
無痛分娩、産後ケア、母乳育児、新生児マススクリーニング、0歳児虐待、心理・社会的健康に関する診療・健康診査、学童期スクリーニングによる家族性疾患の早期発見・早期治療、包括的性教育や健康医療に関連する倫理教育


詳細については下記PDFをご覧ください。

 

「子どもの健康 推進プロジェクト」アドバイザリーボード(敬称略・五十音順)

阿真 京子(「子どもと医療」プロジェクト 代表/日本医療政策機構 フェロー)
五十嵐 隆(国立成育医療センター 理事長)
遠藤 文夫(熊本大学 名誉教授/くまもと江津湖療育医療センター 総院長)
千先 園子(国立成育医療研究センター こどもシンクタンク企画調整室 副室長)
中村 公俊(熊本大学大学院 生命科学研究部 小児科学講座 教授)
羽田 明 (ちば県民保健予防財団 調査研究センター長/千葉大学 予防医学センター 特任教授)
平原 史樹(横浜市病院経営本部長/横浜市立大学 名誉教授)
堀内 清華(山梨大学大学院 総合研究部医学域 社会医学講座 特任助教)
山縣 然太朗(山梨大学大学院 総合研究部医学域 社会医学講座 教授)

 

協賛

武田薬品工業株式会社
ノバルティスファーマ株式会社

 

※本提言は、ヒアリングをもとに、独立した医療政策シンクタンクとして日本医療政策機構が取りまとめたものであり、アドバイザリーボード・メンバー参加者などの関係者、および関係者が所属する団体の見解を示すものでは一切ありません。また、当機構の「寄附・助成の受領に関する指針」に基づき、協賛社の有無や意向に関わらず、事業の方向性や内容を独自に決定しております。

2023年03月10日

日本医療政策機構(HGPI)では、AMR特別シンポジウム「薬剤耐性対策推進に求められる次の打ち手 G7、国連総会ハイレベル会合を見据えたマルチステークホルダー連携」(協力:駐日英国大使館、英国保健省、欧州復興開発銀行(EBRD))を開催いたしました。

AMRに関わる各分野のステークホルダーが一同に集い、抗菌薬の研究開発や市場経済の課題、ESGファイナンスにおけるAMRの位置づけ、今後期待されるマルチステークホルダー連携の在り方について議論を深めました。会場ではAMRをご経験された患者・当事者の声も共有されました。

本シンポジウムの報告書は後日公開予定です。

【開催概要】

  • 日時:2023年2月28日(火)15:00-17:00
  • 場所:九段会館テラス コンファレンス&バンケット
  • 言語:日本語、英語(同時通訳あり)
  • 主催:日本医療政策機構(HGPI)
  • 協力:駐日英国大使館、英国保健省、欧州復興開発銀行(EBRD)

 

【プログラム】

15:00-15:05 開会挨拶・趣旨説明

乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)

15:05-15:25 基調講演「AMR 対策に求められるアクション」

デーム・サリー・デービス(英国政府 AMR 特使)

15:25-15:40 発表「抗菌薬市場の課題 ー研究開発に対するインセンティブとアクセスー」

澤田 拓子(塩野義製薬株式会社 取締役副会長)

15:40-15:55 発表「ESGファイナンスにおけるAMRの位置づけ」

夫馬 賢治(株式会社ニューラル CEO/信州大学 特任教授)

15:55-16:10 発表「パンデミック時代におけるマルチステークホルダー連携の重要性」

石井 菜穂子(東京大学 理事/未来ビジョン研究センター 教授/グローバル・コモンズ・センター ダイレクター/Global Preparedness Monitoring Board(世界健康危機モニタリング委員会 ) メンバー)

16:10-16:15 患者・当事者の声「私の経験」

丸山 純一(前 駐セルビア日本大使)

16:15-16:55 マルチステークホルダー・ディスカッション「私たちのコミットメント」

16:55-17:00 閉会挨拶

乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)


(写真:井澤 一憲)

2023年03月09日

キルギス保健省の局長級、キルギス医師会長、病院長などが日本医療政策機構を訪問しました。訪日団は、JICA事業「非感染性疾患の早期発見・早期治療のためのパイロットリファラル体制強化プロジェクト」の一環で来日しました。

当機構の理事・事務局長/CEOである乗竹亮治からは、「Paradigm Shift in Healthcare in Japan and Beyond」と題して、日本の高齢化や非感染性疾患領域の課題に対し、政策としてどのような対応をしているか、また、他国の医療や制度に関する様々な側面について、どのように国際比較をしているかについて説明し、参加者と意見交換をしました。

 

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