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【パブリックコメント提出】グリーンボンドガイドライン及びグリーンローンガイドラインに関する意見募集(2026年7月17日)

【パブリックコメント提出】グリーンボンドガイドライン及びグリーンローンガイドラインに関する意見募集(2026年7月17日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、環境省が実施した「グリーンボンドガイドライン及びグリーンローンガイドライン付属書1別表(グリーンリスト)に関する意見募集」に対して、意見を提出しました。

環境省は、グリーンボンドやグリーンローンの環境改善効果に関する信頼性を確保し、国内での普及を図ることを目的として、2017年3月に国際原則(国際資本市場協会(ICMA: International Capital Market Association)のグリーンボンド原則)に準拠したグリーンボンドガイドラインを策定しました。その付属書1別表である「グリーンリスト」は、グリーンボンド・グリーンローンの対象となるグリーンプロジェクト等を、グリーンな資金使途の例として整理・例示したものです。2022年7月の策定以降、市場・政策・技術の動向を反映するため累次の改訂が重ねられており、特に新規の資金調達者や分野への裾野拡大に向けて、その一層の充実化が図られています。本年度の意見募集は2026年6月12日から7月17日まで実施され、グリーンリストとして拡充すべき、(1)具体的な資金使途例(小分類)、(2)環境改善効果を算出する際の具体的な指標の例、(3)ネガティブな環境効果の例について、広く意見が求められました。

気候変動は、人々の健康に深刻な影響を及ぼす喫緊の課題です。とりわけ近年の急速な気温上昇のもとで、暑熱による健康被害への対策は、保健医療・福祉の現場において重要性を増しています。グリーンリストの小分類8-5「健康」は、こうした暑熱対策を対象としていますが、この領域には固有の難しさがあります。ここには、健康被害を抑制するために必要不可欠な取り組みが、機械空調への依存等を通じて、かえって温室効果ガスの排出を増加させ、気候変動を助長しうるという緊張関係が存在するのです。当機構は、人と地球の健康を一体として捉える「プラネタリーヘルス」の観点から、短期的な健康の保護と長期的な脱炭素化を両立させる視点がグリーンリストにおいても重要であると考え、意見を提出しました。


提案(意見)のポイント

【小分類(資金使途例)】
小分類8-5「健康」の具体的な事業例として、暑熱下での健康被害の抑制という喫緊の目的と、施設の脱炭素化という長期的な目的の両立を目指す取り組み(医療機関等におけるZEB Ready認証取得に向けた取り組み、低GWP冷媒を搭載した冷房設備の採用、再生可能エネルギー設備の導入等)を対象に含めること

【環境改善効果の指標】
レポーティング等において環境改善効果を算出する際の指標として、(1)施設・支援の利用者のうち、熱中症の重症化・死亡のリスク要因(独居、基礎疾患、エアコンの未設置・不使用、低所得等)を有する者に支援が届いた割合、(2)年間の暑熱関連超過死亡数の減少、を加えること

【ネガティブな効果】
機器等の設置・使用による「温室効果ガス排出量の増加等」に加えて、「空調設備による対処の固定化(ロックイン)が、低炭素な暑熱対策への移行を遅らせる懸念」を明記すること

【その他】
短期的な健康保護と長期的な低炭素化の双方を可視化し、両立を図る取り組みや指標がグリーンリストに反映されること。さらに、現状は暑熱対策に限られている対象事業を、将来的には感染症媒介生物の分布拡大や大気質・アレルゲンの変化等、より広範な気候変動の健康影響へと拡充すること

提案の背景と根拠

提案では、その根拠として、被害が特定のリスク層に集中している実態を示しました。熱中症による死亡者の8割超を高齢者が占めており、東京都23区のデータでは、屋内で亡くなった熱中症死亡者の約85%がエアコンを使用していない(未設置を含む)状況にあったと報告されています。支援の総量だけでなく、リスクの高い「熱中症弱者」に支援が届いているかを評価することが、実質的な被害軽減の観点から重要です。また、熱中症として計上される死亡は暑熱がもたらす健康被害の一部にすぎず、実際には循環器疾患や呼吸器疾患を通じた暑熱関連の超過死亡がこれを大きく上回るとされます。気候変動に伴う健康被害の全体像を把握するうえでは、狭義の熱中症死亡数のみならず、こうした超過死亡への着目が欠かせないことも示しました。

ネガティブな効果については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC : Intergovernmental Panel on Climate Change)が指摘する「不適応(maladaptation)」の観点を提示しました。健康被害抑制のための機械空調への大規模な依存は、当面の健康保護に資する一方で、その「固定化(ロックイン)」を通じて、建物の受動的冷却や緑化といった、より持続可能で低炭素な暑熱適応への転換を長期的に困難にするおそれがあります。単に排出量が増加する懸念にとどまらず、低炭素な選択肢への移行が阻害されるという長期的な懸念についても、ネガティブな効果の例として記述されるべきであると提案しました。

グリーンリストは、グリーンファイナンスを通じて明確な環境改善効果をもたらすプロジェクトへと資金を導くための指針です。小分類8-5「健康」は、健康被害の抑制と温室効果ガス排出の削減とが構造的に緊張しうる項目であり、両者の両立を可視化する取り組みや指標がグリーンリストに反映されることは、気候変動下の健康を守りながら脱炭素化を進める資金の流れを後押しすることにつながります。本提案が、プラネタリーヘルスの実現に資するグリーンファイナンスの発展の一助となることを期待します。

当機構では引き続き、知見の提供や対話の促進を通じて、プラネタリーヘルスの推進に貢献すべく、政策提言および関係団体との連携を進めてまいります。

 

意見募集に関して、詳しくはこちらをご覧ください。

 

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