2024年04月08日

当機構では、2022年より肥満症や肥満に関する社会全体の関心を引き上げ、効果的な対策を推進すべく「肥満症対策推進プロジェクト」を始動させています。

2023 年度は、2022 年度の提言内容の深堀および実装を目指し、肥満症当事者・医療関係者へのヒアリングおよび産官学民の有識者で構成されるアドバイザリーボード会合を開催しました。医療現場ならびに社会における肥満症当事者を取り巻く実態、課題の把握を踏まえて、当事者の視点に基づく社会、医療において求められる肥満症対策について、以下に提言します。

※本提言書は、3月4日に公表した提言概要【速報版】から更新された、提言本体【確定版】になります。


肥満症対策に求められる6つの提言(概要)

  • 提言1:行政機関と産業界が連携し、健康的な生活習慣に関する教育と健康リスクの少ない社会づくりを両輪として、肥満症を含めた生活習慣病の一次予防を強化すべき
  • 提言2:特定健康診査・特定保健指導におけるデータヘルスの推進と実効性の強化を通じた、疾病予防効果の高い二次予防政策を実現するべき
  • 提言3:肥満および肥満症の患者へ適切な介入を行うべく、地域において産官学民が連携の上、肥満症当事者の課題やニーズに寄り添った医療提供体制および支援体制を構築すべき
  • 提言4:高度肥満症の患者に集学的治療が行われるよう医療提供体制の整備と全国均てん化を推進すべき
  • 提言5:肥満症政策推進および医療提供体制の充実・均てん化のために、肥満症を含む慢性疾患対策への効果に関するエビデンスを創出すべき
  • 提言6:偏ったボディイメージを是とする風潮や、肥満への自己責任論から脱却するとともに、医学的な病態としての肥満や肥満症に関する理解を醸成し、適時適切な医療の妨げとなるスティグマを解消すべき

詳細については下部PDFをご覧ください。

 

■ヒアリングにご協力いただいた自治体、専門家及び当事者(敬称略・県と市・専門家・当事者ごとに五十音順)

佐賀県 健康福祉部 健康福祉政策課
福島県 教育庁 健康教育課
宮城県 保健福祉部 健康推進課
北海道釧路市 こども保健部 健康推進課
肥満症当事者4名

■「肥満症対策推進プロジェクト」アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順・ご所属・肩書はご参画当時)

今岡 丈士(日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部 糖尿病領域兼臨床薬理メディカルアソシエイトバイスプレジデント・メディカル)
岡村 智教(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室教授)
小熊 祐子(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院 健康マネジメント研究科 准教授)
加隈 哲也(大分大学 医学部看護学科基盤看護学講座 健康科学領域 教授)
黒瀨 巌(日本医師会 常任理事)
齋木 厚人(東邦大学医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授)
新垣 友隆(日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部 糖尿病領域 シニアアドバイザー)
杉井 寛(ノボノルディスクファーマ株式会社 取締役副社長 開発本部長)
辻 沙耶佳(東邦大学医療センター佐倉病院 肥満症治療コーディネーター)
龍野 一郎(日本肥満症治療学会 理事長/千葉県立保健医療大学 学長)
横手 幸太郎(日本肥満学会 理事長/千葉大学医学部附属病院 病院長)

 

■協賛企業・団体(五十音順)

国立大学法人 政策研究大学院大学 グローバルヘルス イノベーション政策プログラム
日本イーライリリー株式会社
ノボノルディスクファーマ株式会社

2024年04月08日

2024年4月24日から30日までの7日間は、世界保健機関(WHO: World Health Organization)により世界予防接種週間(World Immunization Week)として定められています。

日本医療政策機構(HGPI)では、世界予防接種週間に合わせ、感染症対策、および予防接種・ワクチンの価値について皆様と考えるべく、この度HGPIセミナーを開催いたします。

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中に深刻な影響を与えると同時に、がんや循環器疾患などの非感染性疾患(NCDs: Non-communicable diseases)対策に注目が集まっていた現代社会に対して、改めて感染症に対する予防、備え及び対応の重要性を再認識させる契機となりました。

新型コロナウイルス感染症対策の教訓を踏まえ、2023年9月には内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁が発足しました。2013年に策定し、2017年に一部改定した「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の再改定も2024年夏を目指して進んでいます。また、2025年には、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合と、それに伴う新たに国立健康危機管理研究機構の創設も予定されており、感染症危機管理に対する国内の体制強化が加速しています。

このように、国を挙げた感染症への備えに向けた議論が本格化していますが、感染症対策の基本が予防接種・ワクチンです。予防接種・ワクチンは「医学史上最高の発明」と称され、予防接種・ワクチンを通じて防ぐことが可能な疾患が多く存在しています。新型コロナウイルス感染症のみならず、2024年3月現在国内メディアで問題として取り扱われている麻疹(はしか)や2023年度末に経過措置が終了する肺炎球菌もその1つです。また、予防接種・ワクチンの効果は乳幼児期や小児期に限定されるものではなく、成人期や老年期にも及び、本来であればライフコースアプローチに基づく生涯を通じた予防接種・ワクチンが望まれます。しかしながら、その普及に向けては市民社会とのコミュニケーション、医療従事者間の認識、国や地方自治体の立場の違い、審議会等の役割や期待と限界、公費補助のバランス等の多様な課題が存在します。

そこで、今回のHGPIセミナーでは、予防接種・ワクチンを中心とした今後の感染対策に必要な打ち手を考えることを目的に、感染症対策の議論をリードする一人である堀成美氏にご講演いただきます。地域での予防接種・公衆衛生政策の担い手である医療従事者の役割や、社会的に脆弱な人々やハイリスク層も包摂したライフコースアプローチの必要性なども交えながら、皆様と共に改めて感染症対策について理解を深める機会としたいと思います。

 

 

【開催概要】

  • 登壇者:堀 成美 氏(看護師/感染対策コンサルタント)
  • 日時:2024年4月26日(金)13:00-14:30
  • 形式:対面(オンライン配信なし)
  • 会場:グローバルビジネスハブ東京 フィールド >アクセス
    〒100-0004 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 3階)
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料
  • 定員:50名(先着順)
    ※申込締切:4月21日(日)23:59
    ※登録完了時に、ご登録のメールアドレス宛に自動確認メールが届きます。確認メールが届かない場合は、info@hgpi.org までメールをお送りください。
    ※イベント運営の最適化を図り、できるだけ多くの方にお越しいただけるよう、スケジュールをよくご検討の上、結果発表後のキャンセルはご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

 


■プロフィール

堀 成美(看護師/感染対策コンサルタント/感染対策ラボ 代表/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野 非常勤講師/国立感染症研究所 感染症疫学センター 協力研究員)

神奈川大学法学部、東京女子医科大学看護短期大学卒業、東京学芸大学大学院 博士課程満期退学(教育学修士)、国立保健医療科学院(健康危機管理学、公衆衛生学修士(MPH: Master of Public Health))修了。民間病院、公立病院の感染症科勤務を経て、2007-2009年国立感染症研究所 実地疫学専門家コース(FETP9期)修了、2009-2012年 聖路加国際大学・助教(看護教育学/感染症看護)、2013年より国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務(感染症対策専門職)。2015年4月より同 国際診療部 医療コーディネーター併任。2018年7月より国立国際医療研究センター 退職。2018年8月よりフリーランスのコンサルタント(感染症対策・地域や組織のグローバル対策)

 


2024年04月02日

日本医療政策機構 医療DXプロジェクトでは、2023年10月26日及び11月21日にエキスパート・パネル会合をオンライン形式にて開催いたしました。

データ・インフラ構築や医療DXの推進の必要性は、世界的な議論となっています。日本においても、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、平時の慢性疾患対策を含め、統合的に運用できるデータ・インフラ構築の遅れや医療DX推進の遅れが、国民的関心事となりました。こうした中、与党による「医療DX令和ビジョン2030」の提言をもとに、2022年10月に総理大臣を本部長とする「医療DX推進本部」が設立され、現在、厚生労働省、総務省、経済産業省、デジタル庁を中心に関係省庁が連携して、「全国医療情報プラットフォーム」の創設、電子カルテの標準化、診療報酬改定DX等を推進するべく工程表に基づいた取組を進めています。

「医療DX」とは単なる目標ではなく、市民・患者に信頼され得る保健医療システムを構築するための手段です。その実現に向け、当機構では市民・患者の期待に応えるシステムのあるべき姿を模索し、医療DXを通じた実現策を議論する必要があります。

当機構では、産官学民が一体となりグローバルな視点で医療DXの推進を議論し、市民・国民に信頼される持続可能な保健医療システムの確立を目指します。この過程で、医療DXが果たす役割と将来の戦略について、今後の打ち手を提案していきます。

先般実施したHGPIセミナー特別編 特別対談「医療DXで可能になる国民目線の保健医療システム」においては、医療DXによる市民・患者へのメリットの不明瞭さやデータ利活用への不安などが、議論の中で浮き彫りとなりました。そこで本エキスパート・パネル会合では、市民・患者が求める真の医療DX政策において目指すべきビジョンや目標、関連するこれまでの課題や障壁、そしてこれらを打開するための具体的方策について、以下の観点から議論しました。

  • これまでの医療DX推進に向けたデータ・インフラ構築の整理
  • データの2次利活用に向けた課題と期待
  • 市民・患者目線の医療DXの根幹
  • 採るべき打ち手とその優先順位


【目指すべきビジョン】
個人データの社会的な利活用が進むことで、個人および国民全体にメリットがもたらされる医療DXを目指す

医療DXでは、社会のデジタル化が基盤にあり、あらゆる情報が電子データ化されクラウドを介して共有できることが最大の強みである。このような強みを保健医療分野で活かすためには、まず市民・患者の健康医療データを収集するための環境整備が必要である。しかし、共有を前提としたデータの蓄積を進めるには、安全性が担保されていることが前提であり、個人の生活体験において利便性の向上を実感するようなメリットがないことには国民の協力は得られないだろう。現在明示されているような公共的なメリットに加えて、個人が自身の健康医療行動において直接メリットを実感できるような取り組みの明示も重要であり、個人と公共の双方に利益をもたらす医療DXを目指すことが望ましい。

【ビジョン達成に向けた3つの目標】
目標1:健康課題に対する国民の主体的な自己決定の促進

医療DXにより個人の健康医療データの連結が実現することによって、市民・患者は自身の健康医療データをいつでもどこでも確認できるようになる。また、疾患を患った際に、蓄積されている患者データから似た病態や境遇の患者の経験が共有されれば、その後病気と向き合う際に有用な参考情報となる。AI技術等の活用により主体的な自身の健康課題に対する解決策の選択のみでなく、個人に合ったペイシェントジャーニーの可視化及び選択も可能となる。

目標2:市民・患者一人一人がメリットを享受し満足できる持続可能な保健医療システムの構築

医療DXで可能となる保健医療システムにおいて、より多くの国民が納得できるサービスを具体的に示し、その実現に向けた多角的取り組みを実施する。

目標3:イノベーションの促進と差別等への適切な対応が担保されたデータ利活用システムの実現

健康医療データの利活用によるイノベーションは、データ利活用による世の中の改善とデータ公開により生じ得る課題(不当な差別等本人の不利益となる利用)への適切な対応の両者を併せて実現することが重要である。


本エキスパート・パネル会合における議論を踏まえ、「個人データの社会的な利活用が進むことで、個人および国民全体にメリットがもたらされる医療DXを目指す」というビジョンの下、同ビジョンの達成に向けた目標、医療DXにより可能となる生活上の変化、並びに、国、立法府、メディア、民間企業、アカデミア、医療現場及び市民・患者が取り組むべきポイントについて、論点整理を行いました。

 

【エキスパート・パネルメンバー】(敬称略・順不同)

青木 眞(日本医療政策機構 フェロー)
佐々木 淳(医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長)
桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長)
市川 衛(メディカルジャーナリズム勉強会 代表)
落合 孝文(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士)
板倉 陽一郎(ひかり総合法律事務所 弁護士)
黒田 知宏(京都大学医学部附属病院 医療情報企画部長、京都大学大学院 医学研究科/情報学研究科 教授)

 

【医療DXプロジェクト政策調査部門メンバー】(敬称略・順不同)

津川 友介(日本医療政策機構 理事/UCLA 医学部・公衆衛生大学院(医療政策学)准教授)
藤田 卓仙(日本医療政策機構 リサーチフェロー/世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター プロジェクト長/慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室 特任准教授)

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