【開催報告】第6回HGPIサロン2025-2026:日本の社会保障の未来を見据えて「世界の安全保障からみた日本の保健医療政策」(2026年10月13日)
日本医療政策機構(HGPI)は、非営利・独立・超党派の民間シンクタンクとして、医療・社会保障の課題に取り組んできました。当機構は多様なステークホルダーの集合知を活かして、社会に新たな選択肢を提示することで市民主体の医療政策の実現を目指しています。
現在、日本の社会保障制度は急速な高齢化と生産年齢人口の減少という構造的な課題に直面しています。後期高齢者の増加に伴う医療介護サービスの需要拡大により、社会保障給付費は2040年までに190兆円に達すると予測され、これに生産年齢人口の減少による労働力不足が重なり、現役世代の負担増大と制度の持続可能性の危機をもたらしています。一方で、政府や民間の有識者の中では、これらの課題を克服するための前向きな取り組みが進展しています。医療・介護分野では技術革新が加速しており、新たなサービスやシステムイノベーションが生まれつつあります。また、共生社会の実現を目指した政策や活動が全国各地で展開されるなど、希望ある動きが広がっています。こうした取り組みは、日本の医療介護産業を成長産業としてさらなる発展に導くとともに、地域社会の活性化にも寄与する可能性を秘めています。
過去には社会保障制度改革国民会議が2012年に設置され、長期的な視点で社会保障制度の持続可能性や成長の方向性を議論しました。この議論は、「自助・共助・公助」の最適なバランスを探りつつ、社会保障制度の充実と効率化を追求する中で、日本の社会保障政策の土台を築きました。現在は、その流れを受け継ぎ、全世代型社会保障構築会議が開催され、さらに前進する議論が行われています。さらに、厚生労働省は2024年に「近未来健康活躍社会戦略」を公表し、持続可能な社会保障制度の構築に向けた具体的なビジョンを示しています。この戦略では、「医療・介護産業の成長促進」「国民への還元を目指したイノベーション活用」「健康活躍社会の実現」を主要目標として掲げています。
このような変化の兆しを背景に、2025年に実施した「HGPIサロン2025」を通じて、未来に向けた議論の場を提供してきました。チャタムハウスルールの下、参加者同士が自由かつ率直に対話を行い、政策形成のための洞察やアイデアが創出され活発な意見交換が行われました。2026年は、HGPIサロン2025で議論された内容をさらに広げるべく、「HGPIサロン2025-2026」として展開いたします。移り行く社会情勢における医療の価値や次世代の医療を見据えた議論、また今一度感染症対策から医療政策の課題を掘り下げることに焦点を当て、そしてこれらを総括として、当機構のミッションである市民主体の医療政策の実現を見つめなおします。
HGPIサロンは、医療・社会保障における課題を共有しながら、未来を見据えた解決策を共に探求する明るい場です。本企画で得られた収入は、運営費を賄うための会場費等に限定して使用されておりますが、個人賛助会員の皆様には無料でご参加いただけます。ぜひこの機会にご参加いただき、私たちとともに日本の社会保障の明るい未来を描いていただければ幸いです。
第6回となる今回は、国際文化会館 地経学研究所 主任研究員の相良祥之氏をゲストにお迎えし、当機構アソシエイトのケイヒル エリがモデレーターを務め、参加者の皆様とともに議論を行いました。相良氏からは、安全保障および経済安全保障の基本的な考え方、第2次トランプ政権の特徴や自由主義と重商主義が混在する国際経済の潮流、日本を取り巻く安全保障環境についてのプレゼンテーションがありました。あわせて、医薬品・医療資材のサプライチェーンや防衛政策における衛生分野、AIや合成生物学がもたらす新たなリスクを含む健康安全保障についても論じられました。また、戦略的自律性と戦略的不可欠性という観点から、医薬品・医療機器などの分野で日本がいかに強みを発揮しうるかが取り上げられました。さらに、デュアルユース技術との向き合い方、水資源の戦略的活用、日本発の創薬をグローバルに展開する際にどの工程を国内で確保すべきか、次の感染症危機への備えと国際協力のあり方などにも話題が及びました。保健医療と安全保障の関係者が脅威認識を共有し、対話を重ねていくことの重要性について、会場全体で活発な議論が交わされました。
【開催概要】
- 第6回登壇者
ゲスト:相良 祥之(国際文化会館 地経学研究所 主任研究員)
モデレーター:ケイヒル エリ(日本医療政策機構 アソシエイト) - 日時:2026年10月13日(火)19:00-21:00
- 形式:対面のみ
- 会場:国際文化会館(〒106-0032 東京都港区六本木5-11-16)
- ルール:チャタムハウスルール
- 言語:日本語のみ
- 参加費:個人賛助会員・学部生:無料
一般:4,400円(クレジットカード決済のみ)
※会場では軽食を提供させていただき、本参加費は軽食・会場運営費に全額充てられました。
【プログラム】
| 19:00-19:10 | オープニング・開会のあいさつ 河田 友紀子(日本医療政策機構 マネージャー) |
![]() |
| 19:10-20:30 |
クロスセッション *プレゼンテーションと会場を交えたインタラクティブな意見交換 テーマ「世界の安全保障からみた日本の保健医療政策」 ゲスト:相良 祥之(国際文化会館 地経学研究所 主任研究員)モデレーター:ケイヒル エリ(日本医療政策機構 アソシエイト) |
|
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
| 20:30-21:00 | レセプション | |
■プロフィール
相良 祥之(国際文化会館 地経学研究所 主任研究員)
公益財団法人 国際文化会館 地経学研究所 主任研究員。研究分野は国際政治経済、外交・安全保障政策論、経済安全保障、国際紛争。民間企業、JICA、国連事務局ニューヨーク本部政務局、外務省アジア大洋州局北東アジア第二課などを経て現職。慶應義塾大学法学部卒、東京大学公共政策大学院修了。主な著書に『国際政治経済学 第二版』(共著、名古屋大学出版会、2024年)、『新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)調査・検証報告書』(共著、2020年)。
ケイヒル エリ(日本医療政策機構 アソシエイト)
国立政治大学のアジア太平洋研究英語修士課程を修了。在学中から日本医療政策機構にてインターンとしてプラネタリーヘルスに関する業務に携わる。これまで、アメリカ、台湾、日本などのNPOにおいて、アドボカシー活動、政策調査、法的支援などに関わってきた。現在は、プラネタリーヘルス、薬剤耐性(AMR)、グローバルヘルスに関するプロジェクトに従事。
■今後の予定
- (終了)第5回 2026年6月29日「令和の時代に考える、社会における医療の価値」
五十嵐 中(日本医療政策機構 フェロー) - (終了)第6回 2026年10月13日「世界の安全保障からみた日本の保健医療政策」
相良 祥之(国際文化会館 地経学研究所 主任研究員) - 第7回 2026年12月18日「健康危機を見据えた政策基盤固めに向けて」
尾身 茂(公益財団法人結核予防会 代表理事) - 第8回 2027年2月19日「日本社会が目指す“ヘルスケア”の未来」
武藤 真祐(日本医療政策機構 理事)
調査・提言ランキング
注目の投稿
-
2026-08-28
【お知らせ】第3回「黒川清賞」候補者推薦を募集(2026年11月30日締切)
-
2026-09-17
【申込受付中】(オンライン開催)第145回HGPIセミナー「高齢者施設におけるより良いAMR対策に向けて―超高齢社会の感染症対策を政策的な視点から考える」(2026年10月27日)
-
2026-10-06
【申込受付中】(オンライン開催)第146回HGPIセミナー「臓器提供をめぐる選択を支える社会をどうつくるか―戦略的ソーシャルマーケティングから考える国民の意思決定と多層的アプローチ―」(2026年11月9日)
-
2026-10-19
【HGPI 政策コラム】(No.78)―血液疾患プロジェクトより―「長期化する血液がん治療における生活の質(QOL)―カナダの経験から―」










