スタッフの声 インタビュー
プラットフォーマーとしての役割を担うスタート地点に立つ

公開日:2022年9月26日

プラットフォーマーとしての役割を担うスタート地点に立つ

河田 友紀子 Yukiko Kawata
日本医療政策機構 シニアアソシエイト

薬剤師の仕事を辞めて公衆衛生学を学ぶために大学院へ

2021年10月、HGPIに入職した私は、今、医療政策立案の一端を担うスタート地点に立ったばかりです。

振り返れば、ここまで来るのにさまざまなことがありました。あとでお話ししますが、実はHGPIでは、かつて大学院生時代に週2回の勤務で働いていた時期があり、今回、正職員となって戻ってきたのです。 

私は薬剤師で、薬学部を卒業後は大手薬局チェーンの保険薬局で働いていました。薬局で患者さんと一対一でコミュニケーションをとりながら服薬指導などを行う日々は充実してはいたのですが、次第に、患者さん個人だけでなく、集団の健康にも貢献したいと感じ始め、公衆衛生学を学びたいと思うようになっていました。

そこで、夫の海外赴任を機に薬局を辞め、夫とともに諸外国をめぐる期間を活用し、公衆衛生学大学院をめざして勉強に励みました。結果、帰国と合わせて慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科修士課程(公衆衛生学)への進学を果たせたのです。

人材を募集中であると聞き迷わずアプライ

HGPIで働くようになったきっかけは、大学院の特別講義です。HGPIの理事を務める小野崎耕平氏が講師として招かれ、その中で「政策立案においては、さまざまなステークホルダーとのかかわりが必要で、HGPIはそのプラットフォーマーのような役割も担っている」という話があり、HGPIに強く惹かれました。

ちょうどそのころ、大学院での疫学研究を通して、経験や勘ではなく、実験やデータをもとに検証をしつつ効果が見込める政策立案を行うEBPM(Evidence-based Policy Making)の重要性を感じるとともに、多種多様なステークホルダーを巻き込んで政策実現を推し進めていくことの必要性も感じていたからです。

そこで、しばらくした後にHGPIが人材を募集中であると聞き、私は迷わずアプライしました。

大学院の勉強と週2回勤務の二足のわらじ

大学院で研究をしながら働くことになりましたが、HGPIの勤務は週2回でしたので学業とも両立できました。

想像していたとおり、HGPIはとても刺激にあふれていました。薬局で働いているときは、目の前の患者さんや薬剤の管理のことで毎日が忙殺されていました。そのため、数年ごとに改定される調剤報酬制度をはじめ、医療政策についてなど、残念ながら深く考える余裕がなかったのが実状でした。

HGPIで働く中で、さまざまなステークホルダーの方を交えて今後の医療政策について話し合い、どのような政策が必要なのかについて主体的に考えていくことは、自分自身がずっと医療界の中にいたにもかかわらず初めての体験で、きわめて新鮮でした。

ただ、プライベートでは子どもを望んでいたので、大学院修了と同時に出産し、HGPIも辞め1年間は育児に専念することにしました。

子育てとやりたい仕事を両立できるHGPIに再び入職

そして、冒頭で申し上げたとおり2021年10月に、今度は正職員としてHGPIに戻ってきます。これは、決めていたコースではありません。1年後の仕事への復帰は予定していましたが、製薬会社や大学などの研究所等も就職先の候補でした。けれども、実際に就職活動をしてみて、仕事と子育てを両立することがいかに難しいかを痛感しました。

そのような中でHGPIは、正職員、週4日の勤務で、しかも時短という、自分の思い描いている育児ができ、仕事のキャリアも積める理想的な待遇条件を提案してくれたのです。

もちろん、子どもの成長を見守りながら、これまでの臨床経験と公衆衛生学の知識の両方を最大限に生かせる場所として、私はHGPIを選びました。

それぞれの人に合った働き方を柔軟に認めてくれる場所

HGPIは、人それぞれのバックグラウンド、たとえば、「ほかの仕事もしている」、「子どもがいて育児がある」、「大学院に通っている」など、その人が置かれている状況を理解し、それぞれの人に合った働き方を認め、働きやすい条件を提案してくれます。

HGPIで働いていて感謝するのは、そうした点だけではありません。いっしょに働くチームのメンバーの配慮にも、とても助けられています。私の場合、子どもと接することができる時間帯は夕方から子どもが寝るまでの間なのですが、その時間を確保できるように、チームのメンバーがミーティングなどをその時間帯をはずして設定してくれます。

柔軟な働き方を認めてくれるので、たとえば、臨床現場で働いている医療者で医療政策に興味がある方や、大学院で公衆衛生学を学んでその知識を生かしたいと考えている方などにも、HGPIは活動するフィールドとして有力な候補になるでしょう。

プラットフォーマーとしての役割を担うスタート地点に立つ

現在、私はHGPIで「認知症プロジェクト」、「肥満症プロジェクト」、「こどもの健康プロジェクト」、「女性の健康プロジェクト」などにかかわっています。

中でも2016年からスタートした「女性の健康プロジェクト」においては、生涯にわたる女性の健康に関する法案の立案に向けて動きが活発化しています。ここまでたどり着くには、長年にわたる調査の実施のみならず、国会議員の先生方との意見交換などさまざまな活動がありました。今、まさに自分たちがステークホルダーの一員として政策が動き出すために力を発揮したことを実感するととともに、確かな手応えを感じています。

また、今年度から始動した「肥満症プロジェクト」では、薬物治療や外科的治療、運動療法、食事療法のみならず、社会疫学のアプローチも含めて議論を深めています。薬剤師時代の臨床経験と大学院で得た疫学の知見といったこれまでのスキルを、このプロジェクトで生かせるのではないかと思っています。

今後、自らの知識と経験をもってしてシンクタンクの立場からどのようにして医療政策にアプローチできるのか――。模索しながらも、政策議論を深めるためのプラットフォーマーとしての役割を担い、社会に必要とされる政策立案の後押しとなる一助となりたい。私は、そのスタート地点に立ったばかりです。

 

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