2004年に日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)が設立し、あっという間に流れた20年間。この間、皆さまからの温かい支援に支えられ、今日に至ります。ここまで来られたのは、ひとえに、この文章をご覧いただいている一人ひとりの方々のおかげです。本当にありがとうございます。 私たちは、これまで「市民主体の医療政策を実現する」という使命のもと、幅広いステークホルダーと手を取り合い、国内のみならず海外のシンクタンクやNGOなどグローバルなパートナーと共に、多角的な政策の選択肢を提供してきました。また、実際に政策の実装のために伴走してまいりました。私たちの活動が、健全な議論のある市民社会の醸成へとつながっていることを感じています。人口構造の変化、世帯構造や雇用形態の多様化といった社会の変動を目の当たりにし、これらの変化に応じた医療政策の重要性が日に日に高まっています。 そのような中で、Healthy Debateを次の20年も推進すべく、市民社会(パブリック)、そして世界が直面する新たな課題に対して、いかに取り組むべきかを考え、議論を深めていきたいと思います。私たち一人ひとり、これを読んでくださっている一人ひとりが何をすべきか、どのように世界に貢献できるのか、具体的な行動が求められています。 2011年の福島での原子力発電所事故は、日本にとって大きな挑戦であり、世界中に多大な影響を与えました。デジタルでつながった世界において、日本だけの課題、日本だけで解決できる課題というのは存在しないのです。そのことは医療政策であっても、その他の政策であっても同様です。HGPIでは、「医療政策」をきっかけとした「新たな20年に向けた市民社会(パブリック)のあり方と求められる社会基盤」をステークホルダーの皆さんや世界のパートナーたちとともに議論し、その醸成を目指したいと考えています。 信頼できるグローバルな若いリーダーがHGPIでも育っています。ここ数年、組織も拡大し安定し、多様な政策提言を皆さんと作ることができています。素晴らしいことです。世界のシンクタンク・ランキングなどでも高評価を受け続けています。そして、その評価の理由のひとつは、政府から独立した非営利の立場で、事業を運営している点にあります。そのためには、皆さんからのご支援が欠かせません。これまでのご支援に、重ねて感謝申し上げます。 20周年の節目に当たり、私たちは過去を振り返るとともに、未来に目を向けたいと思います。皆さんと一緒に、健全な議論(Healthy Debate)が活発に行われる市民社会を目指し、グローバルにこれからの活動に取り組んでいきます。皆さんからの引き続きのご支援とご協力を、心よりお願い申し上げます。 理事・終身名誉チェアマン 黒川 清 |