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【申込終了】(オンライン開催)第98回HGPIセミナー「ワクチンの研究・開発体制の再構築に向けて~国民の健康と国家の安全保障を支えるために~」(2021年8月24日)

【申込終了】(オンライン開催)第98回HGPIセミナー「ワクチンの研究・開発体制の再構築に向けて~国民の健康と国家の安全保障を支えるために~」(2021年8月24日)

予防接種・ワクチンは、「医学史上最高の発明」と称され、まさに今、この新型コロナウイルス感染症の流行下で、予防接種・ワクチンがもつ公衆衛生上の価値が国内外で再認識されています。世界保健機関(WHO: World Health Organization)も予防接種・ワクチンは最も費用対効果の高い公衆衛生学的な介入であると指摘しており、「予防接種・ワクチンで防げる感染症(VPD: Vaccine Preventable Disease )」から人々の健康を守るためには、予防接種・ワクチン政策の更なる進展が不可欠です。

上記の認識のもと、日本医療政策機構では、2020 年度よりワクチン・予防接種政策プロジェクトを開始いたしました。まずは国内における予防接種・ワクチン政策の現状や問題点を洗い出すことを目的として、産学官民の有識者からなるアドバイザリーボードを立ち上げ、さらに国内外の専門家の皆さまと共に議論を重ねてまいりました。初年度の議論のとりまとめとして、2021年6月に政策提言書「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策  5つの視点と具体策」を公表いたしました。本提言書では、現在日本が置かれている状況を認識したうえで、今後のワクチン・予防接種政策に求められる視点として下記5つを挙げています。

視点1:ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策の推進をすべきである

視点2:医療従事者と市民を対象にした普及・啓発活動やコミュニケーション戦略を構築すべきである

視点3:科学的根拠に基づいた政策決定や評価に向けて、予防接種の実施と対象疾患の発生に関する情報システムを連携し、疫学的な効果を分析および共有できる体制づくりを推進すべきである

視点4:マルチステークホルダーでワクチン政策に関する議論を継続的に行える体制づくりを進めるべきである

視点5:平時や有事を考慮し、未来のワクチン需要を見据えた予防接種政策への投資を促進すべきである

(詳細はこちら:【政策提言】「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策」5つの視点と具体策(2021年6月15日)


2021年度は 5 つの視点について各分野の専門家と共にそれぞれの視点を掘り下げながら、今後取るべき政策的なアクションを検討し、具体的な提案を伴う実現可能な政策オプションを提言書等の形式で取りまとめ、作成することを目指しています。

視点5にあたるワクチンの研究・開発体制の再構築は国内外でも喫緊の課題と認識されています。2021年6月にはワクチン開発・生産体制強化戦略[1]が閣議決定され、経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)[2]や成長戦略実行計画[3]においても、国内におけるワクチンの研究・開発等の迅速化と体制構築が打ち出されています。特に、骨太方針2021と成長戦略実行計画においては、そのために必要な「財源を安定的に確保する」と記載されています。

実際に、2020年度第2次補正予算では新型コロナのワクチン開発推進事業に500億円が計上されています[4]が、ワクチンの研究・開発体制再構築に対する継続的な投資の重要性は2007年のワクチン産業ビジョン[5]以降、国家の安全保障や危機管理の側面から繰り返し強調されてきました。一般にワクチンの研究・開発には数十年単位の時間を要するため、平時からの継続的な投資が求められます。そこで、ワクチン・予防接種の重要性が再認識されている今こそ、ワクチンの研究・開発体制に対する継続的な投資の重要性を産官学民の共通の理解とし、実効性のある政策に繋げると共に、その投資を有効に活用するための具体的な方策が議論される必要があります。

このような背景から、今回のHGPIセミナーでは、東京大学 医科学研究所 ワクチン科学分野 教授の石井健氏をお迎えいたします。石井氏は国内外でワクチンの基礎研究に携わってこられ、現在は、国内企業と連携しながら、ワクチンアジュバント[6]やモックアップワクチン[7]の研究開発を先導されています。

モダリティの多様化やワクチン産業の構造的な課題をご説明いただきながら、研究所そして製薬企業にとって国家による継続的な投資がもつ意味やその必要性、国家による投資や支援を有効に活用するために望ましいワクチンの研究・開発体制の在り方、そして今後のワクチン・予防接種政策への期待等についてお話しいただきます。

 

 

スピーカー
石井 健 (東京大学 医科学研究所 ワクチン科学分野 教授)

■日時
2021年8月24日(火)18:30-19:45

■場所
Zoomウェビナー形式

■参加費
無料

■定員
500名

■プロフィール
石井 健 (東京大学 医科学研究所 ワクチン科学分野 教授)
平成5年横浜市立大学医学部卒業。3年半の臨床経験を経て米国FDA・CBERにて7年間ワクチンの基礎研究、臨床試験審査を務める。平成15年帰国しJST・ERATO審良自然免疫プロジェクトのグループリーダー、大阪大学・微生物病研究所・准教授を経て、平成22年より平成30年まで医薬基盤健康栄養研究所アジュバント開発プロジェクトリーダー、ワクチンアジュバント研究センター長、平成22年より現在まで大阪大学・免疫学フロンテイア研究センター教授。平成27年―29年まで日本医療研究開発機構(AMED)に戦略推進部長として出向、平成29-31年科学技術顧問を務める。平成31年より現職。

 


[1] https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai20/sankou6.pdf
[2] https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/2021_basicpolicies_ja.pdf
[3] https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/ap2021.pdf
[4] https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/02index.html
[5] https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0322-13d.pdf
[6] アジュバント(Adjuvant)とは、ラテン語の「助ける」という意味をもつ ‘adjuvare’ という言葉を語源に持ち、ワクチンと一緒に投与して、その効果(免疫原性)を高めるために使用される物質のことです。あくまでもワクチンの効き目を高めるためのものなので、アジュバントだけを投与してもワクチン効果は得られませんが、抗原の一部の成分を精製して接種するワクチンは一般的に効き目が弱いため、アジュバントの添加が必要になります。さらに、昨今のワクチン研究・開発は、感染症という対象疾患の枠を超え、がん等の 非感染症疾患にまで広がりを見せています。しかし、こうした非感染症疾患のワクチンのターゲットは免疫反応が誘導できず治療効果が低いため、そのような場合でも強い免疫反応をおこすことができるアジュバントは、今後のワクチン等の研究・開発や治療における鍵になると期待されています。(参考文献:東京大学 医科学研究所 感染・免疫部門 ワクチン科学分野 石井健研究室 https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/adjuvant/
[7] モックアップ(模擬)ワクチンとは、模擬の抗原を用いたワクチンのことです。ワクチンには病原体などの抗原が含まれており、その抗原が生体で特異的な免疫反応を誘導することで、ワクチン効果が発揮されます。モックアップワクチンは、その模擬の抗原を入れ替えるだけで、別のワクチンを製造することが可能になるため、感染症が実際に流行したときに素早く有効なワクチンを製造できると期待されています。(参考文献:東大新聞オンライン2021年4月13日 「なぜ日本はワクチン開発に出遅れたのか?連載・東大のワクチン開発の現状を追う①mRNAワクチン開発と研究環境」 https://www.todaishimbun.org/covid_19_vaccine_20210414/

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