日本医療政策機構とは 年報・最近の活動レポート

日本医療政策機構 年報

日本医療政策機構 最近の活動レポート



 

Current Activities (October ― December 2023)

最近の活動(2023年10月~12月)

CONTENTS


日本医療政策機構とは

非営利、独立、民間——そしてグローバル

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、2004年に設立された非営利、独立、超党派の民間の医療政策シンクタンクです。
設立当初より「市民主体の医療政策を実現すべく、独立したシンクタンクとして、幅広いステークホルダーを結集し、社会に政策の選択肢を提供すること」をミッションに掲げ、さらに「特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持する」との行動指針にもとづき活動を行ってまいりました。今後も、政治的な中立性はもちろんのこと、あらゆる団体からの独立性を堅持し活動を展開してまいります。

 

 

Top Global Health Policy Think Tanks 2020

世界3位のシンクタンクに

ペンシルバニア大学によって2021年1月に発表された「世界のシンクタンクランキング」に12年連続ランクインしました。“Global Health Policy” 部門で世界3位、“Domestic Health Policy” 部門では、世界2位という評価をいただきました。いずれもアジアで1位、日本から唯一ランク入りしました。

「政府から独立し、運営資金も多様性をもって活動を進め、かつグローバルに日英二カ国語で常に発信している点が評価されていると考えている。引き続き、医療政策に特化したシンクタンクとして社会にインパクトを出していきたい。」 ― 黒川 清(代表理事)
「市民や患者、当事者、そして現場の医療提供者など、現場目線に立った提言を続けていきたい。フラットに産官学民が立場を超えて議論を重ね、社会の集合知を紡ぎ出していくことが、コロナ禍のなか、特に求められている。」 ― 乗竹 亮治(理事・事務局長/CEO)

 

非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)

NCD アライアンス・ジャパン

NCDアライアンス・ジャパンとは、包括的かつ疾病横断的なNCDs対策の推進のため、日本医療政策機構が運営する市民社会のための協働プラットフォームです。 2013年より約2,000の市民団体・学術集団が約170か国で展開する協働プラットフォームであるNCD Allianceの日本窓口として活動し、2019年1月にNCD Allianceのフルメンバーとして正式に加盟しました。

 

患者当事者支援プロジェクト


アドバイザリーボード会合

政策形成の場における患者・市民参画の推進に向けて

市民主体の医療政策の実現を目指して、医療政策の政策形成過程における患者・市民の参画を推進すべく、政策提言活動等を行ってきました。近年では、政策形成の場である行政の会議への患者・市民参画が、中央省庁だけでなく地方自治体にも広がっています。一方で、患者・市民委員を希望する人材の不足や委員の固定化といった新たな課題が生じています。こうした背景を鑑み、患者当事者支援プロジェクトでは、2023年度、多様な患者・市民が政策形成過程に参画することを促進すべく活動しています。

アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順)

阿真 京子(「子どもと医療」 主宰/特定非営利活動法人日本医療政策機構 フェロー)
天野 慎介(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長/一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン 理事長)
有賀 悦子(帝京大学医学部 緩和医療学講座 教授)
桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長)
宿野部 武志(一般社団法人ピーペック 代表理事)
鈴木 和幸(ノバルティスファーマ株式会社 広報統括部 ペイシェントエンゲージメントグループ シニアリード)
千正 康裕(株式会社千正組 代表取締役/元厚生労働省企画官)
前田 哲兵(前田・鵜之沢法律事務所 弁護士/Medical Basic Act Community 代表)
武藤 香織(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授)
森田 朗(一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI) 代表理事)
山口 育子(認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML 理事長)
山崎 梨渚(中外製薬株式会社 渉外調査部 パブリックアフェアーズグループ)

2023.10.03


第1回

産官学民のマルチステークホルダーにアドバイザリーボードメンバーにご参画いただき、有識者への事前ヒアリングを踏まえて、行政の会議における患者・市民参画の目的・意義や患者・市民委員に求められる役割等について議論を深めました。

2023.12.08


第2回

多様な患者・市民の声を反映する政策形成過程のあり方や患者・市民参画を担う人材の確保に向け必要な施策について議論を深めました。

 

肥満症対策推進プロジェクト


アドバイザリーボード会合

患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策の実装を目指して

プロジェクト第2期となる2023年度は、肥満症の患者が適切な医療を迅速に受けられる体制の整備やそれらを推進するための具体的な肥満症対策の実装を目指し、国および地方自治体で今後推進・実装すべき現実的かつ持続可能な肥満症政策の同定を行い、提言活動を行います。

アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順)

岡村 智教(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室教授)
小熊 祐子(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院 健康マネジメント研究科 准教授
加隈 哲也(大分大学 医学部看護学科基盤看護学講座 健康科学領域 教授)
黒瀨 巌(日本医師会 常任理事)
齋木 厚人(東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病内分泌代謝センター部長)
今岡 丈士(日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部 糖尿病領域兼臨床薬理メディカルアソシエイトバイスプレジデント・メディカル)
新垣 友隆(日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部 糖尿病領域 シニアアドバイザー)
杉井 寛(ノボノルディスクファーマ株式会社 取締役副社長 開発本部長)
龍野 一郎(日本肥満症治療学会 理事長/千葉県立保健医療大学 大学長)
辻 沙耶佳(東邦大学医療センター佐倉病院 肥満症治療コーディネーター)
横手 幸太郎(日本肥満学会 理事長/千葉大学医学部附属病院 病院長)

オブザーバー

田邉 和孝 (厚生労働省 健康・生活衛生局 健康課 女性の健康推進室長)
西嶋 康浩 (厚生労働省 健康・生活衛生局 がん・疾病対策課長)

2023.10.05・2023.11.17


第1回・第2回

肥満症当事者のペイシェントジャーニーや臨床現場の経験を踏まえ、肥満症に対し医療や医療への接続がどのようにあるべきかマルチステークホルダーを交えて議論を行いました。

2023.12.15


政策提言

患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けた6つの提言

2023年3月31日に開催したグローバル専門家会合(公開シンポジウム)「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けて」で得られた知見や行われた議論を基に、政策提言を取りまとめました。

  • 提言1:医療的介入が必要な肥満症の定義を広く社会に浸透させ、介入が必要な当事者を同定するとともに、引き続き科学的根拠に基づく各種ガイドラインを整備していく必要がある
  • 提言2:医療的介入が必要な肥満症の治療においては、専門医や専門医療機関の関与のみならず、かかりつけ医や産業医との連携や多職種連携を推進する必要がある
  • 提言3:肥満症の発症要因は多様かつ複雑であり、過食や運動不足といった自己責任論に収束することなく、「健康の社会的要因」の視点を踏まえ、当事者および社会全体が抱える要因課題を再認識する必要がある
  • 提言4:肥満症の発症要因の多様性や複雑性を踏まえ、肥満症に対する介入方法を多様化させるべく、幅広い関係者の協働と参画を拡充させる必要がある
  • 提言5:肥満症や肥満に関連する出現状況は、国や地域によって異なるため、わが国における研究を拡充させ、エビデンスやデータに基づく政策を展開する必要がある
  • 提言6:肥満症対策のみならず保健医療システム全体を俯瞰した医療情報ネットワークやデータヘルスシステムの構築により、当事者にとって円滑な健康増進施策を推進する必要がある

 

腎疾患×肥満症×循環器病


2023.12.07


NCDs関連プロジェクト横断会合

第1回NCDs会合 九州開催

地域・職域で一体となって横断的に介入・管理が求められる慢性疾患・非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)について、腎疾患対策推進プロジェクト、肥満症対策推進プロジェクト、循環器病対策推進プロジェクト合同で会合を開催しました。行政関係者の疾患理解を深め、地域の実態とその特性に即したNCDs対策の在り方を検討すると共に、政策の横展開を推進すべく、自治体同士のネットワーク構築を目的としました。

グループディスカッションの論点

  • 論点1. 現行の行政による受診勧奨の限界があるなかで、対象者に対するより効果的な受診勧奨方法およびアプローチにはどのようなものがあるか。
  • 論点2. 都道府県と市区町村、保健所の役割及び、各自治体内での疾病横断連携のあり方はどうあるべきか。
  • 論点3. 地域における 循環器病対策/腎疾患対策/糖尿病対策の中で、新たに対策が期待される肥満症をどのように統合していけるか。

 

産官学民で考えるがん個別化医療の未来プロジェクト


遺伝子変異などのがんの特徴に合わせて、一人一人に適した治療を行う「がん個別化医療」は、今後重要な役割を担っていくことが期待されています。しかしながら、「がん個別化医療」は、現時点では適応症例が限られていること、遺伝子情報を扱うこと、検査治療に係る費用が高額になりがち、といった特質を持っており、これらに起因して日本全国でがん個別化医療を偏りなく展開していく上で様々な課題が生じています。HGPIでは、「産官学民で考えるがん個別化医療の未来プロジェクト」を 2021年夏に立ち上げ、今後のがん対策に向けた政策提言活動を実施しています。

2023.10.11


招待制政策対話イベント

がんゲノム医療の患者アクセス改善に向けた課題と展望

2023年8月10日に公表した政策提言『「がんゲノム医療」への患者アクセスの改善に向けて』を基に議論を深化させ、社会へと実装させる橋渡しとするべく、政策対話イベントを開催しました。

2023.12.15


共同声明賛同

がん遺伝子パネル検査の実施に関する共同声明

共同声明は当機構のほか、一般社団法人 全国がん患者団体連合会、一般社団法人 欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan: European Federation of Pharmaceutical Industries and Associations, Japan)、米国研究製薬工業協会(PhRMA: Pharmaceutical Research and Manufactures of America)、公益社団法人 日本臨床腫瘍学会、一般社団法人日本癌治療学会、一般社団法人日本癌学会、内科系学会社会保険連合悪性腫瘍関連委員会が賛同し作成されました。

要望

がん遺伝子パネル検査について、初回治療から適切なタイミングで実施できるように保険適用を拡大すること。

 

慢性疼痛対策推進プロジェクト


慢性の痛みは、成人の約5人に1人が苦しみ、多大な経済損失をきたす重要な社会課題です。特に難治性の慢性の痛みは、効果的な治療の提供体制が十分に確立されておらず、昨今の研究が推奨する集学的な治療の提供体制の整備が喫緊の課題となっています。こうした背景を踏まえ、日本医療政策機構では、2022年度、慢性の痛みに関連する当事者団体、医療提供者、学術関係者を含むステークホルダーのヒアリングを行い、政策提言「集学的な痛み診療・支援体制の均てん化に向けて」を取りまとめました。

2023.11.16


グローバル専門家会合

国際潮流と日本の痛み政策

エビデンスに基づく包括的な疼痛治療・ケアの普及に向けて、国内外のマルチステークホルダーをお招きし、議論を発信しました。

参加者(敬称略・順不同)

牛田 享宏(愛知医科大学医学部 疼痛医学講座 教授/運動療育センター センター長)
Fiona Blyth (Professor of Public Health and Pain Medicine, Sydney School of Public Health, Faculty of Medicine and Health, University of Sydney)
桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長)
増田 靖子(全国脊柱靱帯骨化症患者家族連絡協議会 会長)
松原 貴子(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部 教授)
真野 俊樹(中央大学 戦略経営研究科 教授)
武村 展英(衆議院議員/農林水産副大臣/慢性の痛み対策議員連盟 事務局長)

 


薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)

AMRアライアンス・ジャパン

AMRアライアンス・ジャパンは、国内感染症関連学会、医薬品・医療機器関連企業等が2018年11月に設立した、AMR対策をマルチステークホルダーで議論する独立したプラットフォームです。
本アライアンスは、1. 患者や医療現場の現状に沿ったAMR対策を実現し、2. 国内外のAMRアジェンダを推進し、3. 我が国のAMR政策を進展すべく、政策提言の策定と情報発信を行っています。

2023.10.17


第10回日経・FT感染症会議 アジア・アフリカ医療イノベーションコンソーシアム AMR部会

感染症領域で経済的予見性をいかに確保するか~研究開発、イノベーションを続けるために~

これまでのAMR対策の進展とともに、AMR部会としての活動の成果を振り返りながら今後の感染症領域における経済的予見性を含む持続可能な研究開発のあり方について議論が行われました。また、過年度に引き続き、ステートメントの策定において、プル型インセンティブ制度の評価・改善、感染症対策にも資する創薬エコシステムの構築等についてAMR部会からインプットがなされました。

 

2023.10.31


薬剤耐性対策における検査・診断支援体制の抜本的な改革に向けたラウンドテーブル

薬剤耐性対策における迅速検査・診断体制の構築に向けて、国内外のオピニオンリーダーが参集し、それぞれの立場から薬剤耐性対策に資する検査体制の確立に向け診療報酬改定などに留まらない中長期的な視点に立った打ち手について議論を展開しました。

 

プラネタリーヘルス

2023.10.03


長崎プラネタリーヘルス専門家会合 報告書公表

COP27およびCOP15からG7広島サミットへ:地球規模で生じている気候変動、環境、生物多様性と人間の健康に関する課題解決に向けた新しいパートナーシップ

2023年9月21日に開催された「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)」ハイレベル会合では、新たな「UHC政治宣言」が採択され、プラネタリーヘルス課題についても取り上げられました。報告書をもとに、国内外のステークホルダーによって取り組みがより一層深まることを期待しています。

 

アドバイザリーボード会合

プラネタリーヘルス~持続可能な地球環境を確立するために~

当機構では、プラネタリーヘルスに関する議論を前進させ、地球と人の健康の向上に資することを目的に、2022年度にプラネタリーヘルスプロジェクトを立ち上げ、アドバイザリーボードを組成しました。2023年度も当分野における産官学民のオピニオンリーダーや関係者に参画いただき、ステークホルダーごとの好事例や考え方を共有し、課題を明らかにし、その対策についても提言していきます。

アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順)

有馬 覚(第一三共株式会社 サステナビリティ推進部 環境経営・グローバルヘルスグループ)
鹿嶋 小緒里(広島大学 IDEC 国際連携機構 プラネタリーヘルスイノベーションサイエンス(PHIS)センター長/広島大学大学院 先進理工系科学研究科 環境保健科学研究室 准教授)
神ノ田 昌博(環境省 大臣官房 環境保健部長)
工藤 泰子(一般財団法人日本気象協会 環境・エネルギー事業部 主任技師)
近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 社会疫学分野 主任教授)
菅原 聡(一般社団法人Green innovation 代表理事)
鈴木 定彦(北海道大学 ディスティングイッシュトプロフェッサー/北海道大学 人獣共通感染症国際共 同研究所 バイオリソース部門 教授/北海道大学 ワクチン研究開発拠点 研究支援部門長・教授)
中野 夕香里(公益社団法人 日本看護協会 常任理事)
中村 桂子(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 国際保健医療事業開発学分野 教授)
南齋 規介(国立環境研究所 資源循環領域 国際資源持続性研究室長)
橋爪 真弘(東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学 教授)
原口 真(MS&ADインターリスク総研 フェロー/MS&ADインシュアランスグループホールディングス TNFD専任SVP)
日下 英司(厚生労働省 大臣官房 国際保健福祉交渉官)
夫馬 賢治(信州大学 グリーン社会協創機構 特任教授 /株式会社ニューラル CEO)
細川 秀一(公益社団法人 日本医師会 常任理事)
松尾 雄介(公益財団法人 地球環境戦略研究機関 ビジネスタスクフォースディレクター)
光武 裕(アストラゼネカ株式会社 ジャパンサステナビリティディレクター)
山野 博哉(国立環境研究所 生物多様性領域 領域長)
山本 尚子(国際医療福祉大学 大学院 教授/国際医療協力センター長)
渡辺 知保(長崎大学 プラネタリーヘルス学環長/熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授)
日本国際保健医療学会学生部会(jagh-s: Japan Association for Global Health, Students Section)
アジア医学生連絡協議会日本支部(AMSA Japan: Asian Medical Students’ Association Japan)

2023.10.30


第3回アドバイザリーボード会合

自然災害が多く、少子高齢化社会を迎えている日本においても独自の課題をマルチステークホルダーで設定し理解を広めていくことが、今後の議論を深め、課題を解決する上で必要です。第3回会合では、3名のメンバーから課題意識と取り組みについて議題提供をいただきました。

 

2023.11.02


プラネタリーヘルス専門家会合

健康な地球・健康な人々:アジア太平洋地域における気候変動と健康をきっかけとした新たな協力体制の構築に向けて

G7広島サミットや国連総会などにおいて日本政府が果たした役割を再確認するとともに、今後、日本がアジア太平洋地域において、多様なステークホルダーとの緊密な連携を推進し、持続可能で強靭なヘルスシステムの構築を推し進めていく際に、果たすべき役割や課題について議論しました。

 

2023.11.29


政策提言

共に守り、共に育む:強靭な保健医療システムの構築に向けたアジア太平洋地域の革新的・持続的プラネタリーヘルス推進

アジア太平洋地域における気候変動、環境汚染、生物多様性の喪失などが人々の健康に与える影響について、以下の3つの主要な方針を踏まえた行動が求められます。

  1. プラネタリーヘルスの視点をあらゆる取り組みの基礎に位置づける
  2. プラネタリーヘルスの視点をもとにした保健医療システムの構築する
  3. プラネタリーヘルスの視点をもとにした連携を推進する

 

2023.12.03


調査報告

日本の医師を対象とした気候変動と健康に関する調査

気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の開催を前に、東京大学SPRING GXと共同で、気候変動と健康、持続可能な医療システム、気候変動政策に関する意見を集めるため、日本の医師を対象に調査を実施しました。

主な調査結果
  1. 医師の多くは、気候変動に関する知識を十分に有さず(半分以上正解は36.1%)、「プラネタリーヘルス」という言葉は、浸透していない(18.2%)
  2. 医師の多くは、気候変動が日本人の健康に与える影響を実感しており、自身の患者への健康への影響も実感している
    • 78.1%の医師が、気候変動が人々の健康に影響を及ぼしていると感じている
    • 51.5%の医師が、気候変動が自身の診療分野の患者の健康に影響を及ぼしていると感じている
  3. 70の医師が、気候変動による現時点での健康への影響を認識、今後10年間で気候変動が以下の健康問題に大きな悪影響を及ぼすと考えている
    • 異常気象(洪水、台風、地滑り、山火事など)による外傷(83.3%
    • 熱関連疾患(79.5%
    • 節足動物媒介感染症(75.8%
  4. 気候変動が健康に与える影響に関して医師が教育を受ける機会は限定的である
    • 医学部在学中に気候変動と健康に関する講義を受講したことがある(6.5%
    • 気候変動と健康に関する専門的な研修を受けたことがある(11.6%
  5. 70の医師は、より環境負荷が低く、持続可能性を考慮した製品、設備等の選択肢がある場合には、選択したいと考えている
  6. 半数以上の医師は、医師は、患者や自身の所属する医療施設に対して啓発を行うべきであると考えている
    • 患者に対して、気候変動と健康について啓発を行うべき(56.7%)
    • 勤務する施設が持続可能な医療への転換のための啓発を施設に対して行うべき(57.5%
  7. 半数以上の医師は、気候変動と健康に関するより多くの行動を起こすことを妨げる主な障壁として、情報や資源不足(54.4%)、知識不足(52.7%)、時間不足(51.7%)を挙げている

2023.12.06


政策提言

診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス報酬の改定にあたり、持続可能性と地球環境への配慮を踏まえた強靭かつグリーン保健医療システムの構築に関する提言

2024年4月から6月の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定に向けた議論が進められている現在、政府にプラネタリーヘルスの視点から、以下の4つを提案いたします。

提案1:再生可能エネルギー導入による入院基本料等加算の見直しや増額する
提案2:医療材料等へのグリーン調達に関するインセンティブを付与する
提案3:機能強化加算に在宅生活環境の把握、評価に関する追加加算を設ける
提案4:介護報酬における在宅生活環境整備(熱中症予防等)支援に対する加算

 

2023.10.24


コネクティング・クライメート・マインズ 第2回ダイアログ・セッション

コネクティング・クライメート・マインズ(CCM: Connecting Climate Minds)による東アジア・東南アジアの地域招集、第2回ダイアログ・セッションにて、副事務局長の菅原丈二とプログラムスペシャリストの五十嵐ナーヤ ハーパーが、地域共同招集者(Regional Co-Convenor)として参加し、グループディスカッションのファシリテーターを務めました。

Read More


2023.11.22


パブリックコメント提出

外務省:持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改定案

パブリックコメントのポイント

  • 「新しい資本主義」は、社会課題に加えて、気候変動・環境汚染・生物多様性の喪失などのプラネタリーヘルス課題に対する取組それ自体を成⻑のエンジンに変え、裾野の広い成⻑と適切な分配が相互に好循環をもたらす「成⻑と分配の好循環」を目指すものであり、まさにSDGs達成に繋がる取組である
  • SDGsの達成において生じてしまうトレードオフへの意識づけやコベネフィットと言われる手法について、元来の個別の目標達成を超えた対応が期待される
  • 地方におけるSDGs達成に向けた取組については、地方創生SDGs、環境未来都市構想、広域連携SDGsモデル事業等を通じてより強力に後押ししていくとともに、新しく概念が確立しつつあるプラネタリーヘルスの考え方などで再評価できる取り組みについては、積極的な国内外への発信も検討する
  • 特に、保健医療分野においては、日本政府が国内外で推進してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の考え方を発展させ、世界の潮流を加速化させるために、「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH: Alliance for Transformative Action on Climate and Health)」への参画を検討するとともにGreener UHCの実現を目指す
  • 地域環境の保全と住民の健康を統合したプラネタリーヘルスアプローチを取り入れ、例えば地域の緑化や持続可能な地域食料システムの促進などを目指す


署名および賛同


2023.10.16


環境省主催「デコ活宣言」「デコ活応援団」

プラネタリーヘルスチームは「デコ活宣言」を表明し、「デコ活応援団(官民連携協議会)」への参画を行いました。

2023.11.01


国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)グローバルヘルスおよびヘルスコミュニティからの化石燃料に関する公開書簡

本書簡は、気候変動と健康のコミュニティを代表して、ヘルス・ケア・ウィズアウト・ハーム(HCWH: Health Care Without Harm)とグローバル・クライメイト・ヘルス・アライアンス(GCHA: Global Climate and Health Alliance)が調整したものです。この書簡に署名した当機構を含む関係者は、COP28においてヘルスを前面に押し出す各国のリーダーシップを支持します。

2023.11.30


人々と地球の健康のために-健康なCOP28の優先事項

この書簡では、COP28の締約国に対し、人々と地球の健康を守り、促進する野心的な成果を採択するよう求めています。当機構のプラネタリーヘルスチームからも、本書簡の内容最終化においてフィードバックをさせていただきました。

 

2023.12.12


気候変動と健康に関する行動を共に促進している人々と組織のためのシェアード・ナラティブ

当機構のプラネタリーヘルスチームは、2023年11月にClimate x Healthによって取りまとめられた「気候変動に対して行動せよ ― 私たちの命がかかっている:気候変動と健康に関する行動を共に促進している人々と組織のためのシェアード・ナラティブ」に賛同・協力し、日本語訳は当機構が作成しました。

 

 

こどもの健康/メンタルヘルス

2023.10.24


世界メンタルヘルスデー2023オンラインセミナー

10代、20代のメンタルヘルス
~みんなで考えよう若者たちのこころの健康を支えるヒント~

10月10日の『世界メンタルヘルスデー』の啓発活動の一環として開催しました。10代、20代のメンタルヘルスについて、社会的偏見(スティグマ)をなくす教育の可能性から、ストレスへの対処方や早期のケアなど、多くの人に役立つ実践的な情報も交えて、メンタルヘルスと教育の専門家に解説いただきました。

 

 

認知症

2023.10.24


第13回認知症条例比較研究会

2023年6月14日に成立した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(認知症基本法)を踏まえ、今後の地方自治体における認知症施策の展望について議論したほか、研究会の今後の方向性についても検討を行いました。議論の中では、認知症基本法において努力義務とされている都道府県や市町村の認知症施策推進計画の展望について様々な意見が交わされました。

2023.12.12


オンライン公開シンポジウム

認知症共生社会における「認知症予防」を考える~リスクの個人化に社会はどう向き合うべきか~

海外事例を含めた認知症リスクに対する最新の研究や取り組みについて紹介し、産官学民それぞれの立場から、社会のリスクへのアプローチについて共有、民間のソリューションをいかに活用していくかという観点も含め、官民連携のあり方についても考えました。また、認知症という観点から予防・健康増進施策の財源・負担の在り方についても議論を深めました。

参加者(敬称略・順不同)

鈴木 隼人(衆議院議員/共生社会の実現に向けた認知症施策推進議員連盟 事務局長)
瀬川 真吾(ゲッティンゲン大学医療センター医療倫理・医学史学部 博士研究員)
荒井 秀典(国立長寿医療研究センター 理事長)
近藤 克則(千葉大学 予防医学センター 教授)
徳本 直紀(株式会社Splink 取締役副社長)
仙波 太郎(SOMPOホールディングス株式会社 認知症プロジェクト推進室 担当部長)
柴田 崇徳(産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 上級主任研究員)
大田 秀隆(秋田大学高齢者医療先端研究センターセンター長・教授)
中島 円(順天堂大学医学部 脳神経外科学講座 准教授)
小菅 聡一郎(認定NPO法人 市民セクターよこはま ジャーナリスト)
首藤 健治(神奈川県副知事)

 


特別朝食会

2023.10.23


第52回特別朝食会

米中競争とヘルスケア産業:経済安全保障の新たなフロンティア

Kurt Tong氏(アジア・グループ マネージング・パートナー)をお招きしました。30年にわたる米国国務省での外務官僚及び上級外交官としてのご経験の後、現在はアジア・グループでマネージング・パートナーとしての役割を担われているTong氏に、地域安全保障、ヘルスケア及び経済が交錯する日米中間の複雑な地政学的観点からご講演いただきました。

 


議員勉強会

2023.12.05


超党派国会議員向け勉強会

薬剤耐性問題の喫緊課題~サイレント・パンデミックの脅威~

国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンター長の大曲貴夫氏と、GARDP ビジネスディベロップメント&パートナーエンゲージメント ディレクターのヤン・フェリス氏が講演を行い、薬剤耐性の喫緊の課題と国内外の最新動向をご説明いただきました。世界保健機構(WHO: World Health Organization)などにより設立されたAMRグローバル・リーダーズ・グループと共催し、開催しました。

 

2023.12.12


超党派国会議員向け勉強会

がんゲノム医療の患者アクセス改善に向けた課題と展望

京都大学大学院 医学研究科 腫瘍薬物治療学講座 教授の武藤学氏が講演を行い、がんゲノム医療の患者アクセス改善に向けた政策的課題についてご説明いただきました。全国がん患者団体連合会の後援の下、開催しました。

 

 

HGPIセミナー

2023.10.10


第120回HGPIセミナー

診断直後から終末期を包括した緩和ケアの推進に向けて
―がん性疼痛対策を中心に

東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部 部長/同大学医学部 准教授の住谷昌彦氏をお招きし、がん性疼痛や緩和ケアの定義のひろがりや、診断早期から治療期、終末期、さらにはサバイバーを包括した緩和ケアの推進に向けて、お話しいただきました。

 

2023.10.30


第121回HGPIセミナー

グローバルヘルス課題としてのAMR-低中所得国と高所得国の視点を包摂した抗菌薬のアクセスとは-

米国のシンクタンクであるグローバル開発センター(CGD: Center for Global Development)のシニアフェローのRachel Silverman Bonnifield氏をお迎えし、世界的な健康危機としての薬剤耐性についてお話しいただきました。Bonnifield氏は、世界的な健康危機であるAMRに対処し、低中所得国含む全ての人々いつでも必要なときにすぐ抗菌薬を使うためには、地理的、経済的、産業あるいは専門分野の境界を越えた連携が必要であると強調しました。

 

2023.12.19


第122回HGPIセミナー

医療情報の多様化に伴うヘルスコミュケーションのあり方

医療情報をわかりやすく発信するプロジェクトの代表としてご活躍されていらっしゃる山田恵子氏をお招きしました。「とりあえずやってみる」が許されない医療の世界、そして人々の健康を直接的に左右する医療情報の特殊性にも注目しつつ、ヘルスコミュニケーションにおけるあるべき姿や課題、医療機関の外で人々が正しい情報を取得し、自身の健康情報を継続的に把握・管理するために期待される方策等についても、ご講演いただきました。

 

2023.10.27


HGPIセミナー特別編

WHO健康都市とコンパッションコミュニティの台頭〜パブリックヘルスに求められる今後の変革〜

一般財団法人 オレンジクロスと共催で、コンパッションコミュニティについて、その第一人者であるAllan Kellehear氏をお招きしご講演いただきました。コンパッションコミュニティが台頭するに至る国際的な政策的背景について説明され、その上で、コンパッションコミュニティ/都市が採用している主要な政策と実践戦略の概略を紹介し、この新たに出現した医療・社会的ケアについての動向と国際的な専門職の進化に焦点をあてることで、パブリックヘルスに求められている変革について議論を深めました。

 

 

医療政策アカデミー

医療政策アカデミー第12期Advance「医療政策を視る眼を養う」が開講しました。

2023.10.13


第3回講義

政策決定とエビデンス

杉谷和哉氏(岩手県立大学総合政策学部 講師)にご登壇いただき、日本のEvidence-Based Policy Making(EBPM)の特徴や問題点、政策の分析や政策の背景にある価値について講義が行われました。

2023.11.09


第4回講義

医療政策の歴史

三谷 宗一郎氏(甲南大学法学部 准教授)にご登壇いただき、医療政策の歴史の中で改革案などの重要な政策知識がどのように継承されてきたのかについて講義が行われました。

2023.12.14


第5回講義

日本の医療・介護提供体制の現状と論点

三原岳氏(ニッセイ基礎研究所 主任研究員)にご登壇いただき、地域医療構想の概要と背景や「生活を支える医療」と連携の意義について、情報検索ワークなども交えながら講義が行われました。

 

主な講演・メディア掲載実績

多様なメディアを通じて常にアジェンダを発信し、政策の選択肢を提起することで、アジェンダの設定で終わることなく、地球規模の健康・医療課題の解決をすべく、社会にインパクトを与え続けます。

2023.10.01


Tokyo FM「SDGs学部ミライコード」

シニアマネージャー 栗田駿一郎がラジオ出演し、認知症基本法の成立を受け、法律の内容やこれからの社会のあり方について語りました。


2023.10.02


認知症グローバル・ハイレベル会合 “Defeating Dementia Conference”

オランダのハーグで開催された、オランダ政府と世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)共催の、認知症に関するハイレベル会合に、理事・事務局長/CEO の乗竹亮治が登壇しました。

 

2023.10.16-18


第10回日経・FT感染症会議 「感染症に強い社会へ 東京感染症ステートメント 2023」

日本経済新聞社主催、Financial Times共催の第10回 日経・FT感染症会議で、代表理事 黒川清、理事・事務局長/CEO 乗竹亮治、副事務局長 菅原丈二が複数のプログラムに登壇しました。

 

2023.11.24-26


グローバルヘルス合同大会2023

グローバルヘルス課題としての薬剤耐性(AMR)

マネージャー河野結が登壇しました。

プラネタリーヘルスの使い方

副事務局長 菅原丈二が登壇しました。

 

主な掲載メディアとテーマ

東京新聞
首相官邸の会議に呼ばれたのに「期待外れで終わりそう」 政府の認知症対策 当事者と岸田首相の思いにズレ

国際学術誌 Preventive Medicine Reports
月経随伴症状および更年期症状に対する受療忌避に関連する要因の探索:日本の女性における横断的研究

日本経済新聞
地域と企業が連携し、感染症への対応力強化を

国際学術誌 Health Systems & Reform
プラネタリーヘルスフレームワークの観点から日本の保健医療システムの持続可能性を再考する

毎日新聞、共同通信社、東京新聞、沖縄タイムス+、西日本新聞ほか
『気候変動が健康に影響』医師の78%が実感 シンクタンクが調査

 

政策提言の実現に向けたアドボカシー活動

当機構では、各プロジェクトにおいて報告書・政策提言書を作成・公表しています。それらの内容を実際に実現させるため、国や地方自治体の担当部局や国会議員・地方議会議員に対し、報告書・提言書の内容について個別に説明を行くなどのアドボカシー活動を行っています。さらには、国や地方自治体の担当者と各プロジェクトにおいて緊密な連携を図っているほか、議員向け勉強会のコンテンツ作成や法案作成時の専門家コミュニティとのハブ機能を担うなど、具体的な政策の実現に向けたアプローチを共に考え、協働しています。これまでも、行政内の各種会議体や超党派の議員連盟・政党のプロジェクトチームなどでの発表やそこで作成される提言書などに当機構の報告書・政策提言書などが引用されることで、実際の政策実現につながっています。

 


プロフェッショナルな知見の提供

政府会議などにも広がる活躍の場

主要メンバーは政府会議などにも参画し、政策提言はもちろん、医療政策の新たな視点を常に発信し続けています。

  • 黒川 清世界認知症審議会 委員、内閣官房 健康・医療戦略参与、東京都「超高齢社会における東京のあり方懇談会」座長、内閣府AI アドバイザリー・ボード委員長、内閣特別顧問、野口英世アフリカ賞委員会 座長ほか
  • 乗竹 亮治東京都「超高齢社会における東京のあり方懇談会」委員ほか
  • 小野崎 耕平厚生労働省 保健医療政策担当参与、内閣官房 行政改革推進会議 社会保障チームほか
  • 津川 友介厚生労働省 予防・健康づくりに関する大規模実証事業 有識者会議 委員、厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 構成員ほか
  • 永井 良三厚生労働省 社会保障審議会委員、文部科学省科学技術・学術審議会臨時委員、内閣府AI アドバイザリー・ボード委員ほか
  • 堀田 聰子厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会委員、総務省 政策評価審議会 専門委員ほか
  • 武藤 真祐厚生労働省情報政策参与ほか
PageTop